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朝起きて、巻き付いてるシェリーを引き剥がして、銀が起きて、窓開けて、外に飛び出し朝の運動。
朝のサイクルを終わらせる。
そのあとは朝食だ。
食堂にいくとティスカ公が朝食食ってた。
「おう、リード!部下になろうぜ!」
「おはようございます。」
華麗にスルーしつつ、メイドに朝食を頼む。
「おいおい、公爵様が話しかけてるんだぜ?ってお前妖精か?」
大人シェリーを見たティスカ公がびっくりしてる。まぁ美人さんがいたらそうなるよな。
「スキルの方で少々いじりましたの。」
「ほう、妖精はそんなことも出来るのだな。」
「そういえば訓練の件ってどうなってるんです?」
話を遮る。
「お前マーカスみたいに受け流してくるな。もちろんレイの家庭教師代に上乗せして報酬は払うぞ?」
「それはよかったです。」
「面白いことしてるらしいな、初日は殺されると思ったって言ってたぞ。」
「そんなわけないじゃないっすかー。」
「うちには魔法使いなんて貧弱な奴はあんまりいねぇからな、助かってる。」
後方支援だし貧弱なんだろうか。この人基準はよくわからんな。
「この頃は戦争もないから新人たちは魔法に対する知識が薄くてな。戦争を経験させるのが一番手っ取り早いんだがな。」
「物騒なこと言わないでくださいよ。…戦争ねぇ。」
正直ピンとこないんだよな。前の世界でもそんなの遠い国のお話だったし。
「戦争なぁ、俺は戦闘は好きだがな。戦争は大っ嫌いだ。」
あら意外、てっきりヒャッハー系だと思ってた。戦闘好きな時点でヒャッハー系なんだけど。
「戦闘ってのははっきり言えば命の奪い合いなんだが、戦争はそれが大規模になった奴だ。」
「まぁ確かに。」
ピンと来てない俺に対する説明なんだろう。
「ただ戦争には人の意思ってもんがなくなるからな、兵士は命じられたまま突っ込むし、貴族は引きこもって出てこやしねぇ、農民は畑を荒らされ、町人は虐殺されたりする。戦闘ってのは相手もこっちも全力でぶつかるからおもしれぇんだ。それがない戦争なんて糞くらえだな。」
食事中ですよ公爵さん。
「つまり、子供同士の喧嘩に大人が突っ込むようなもんですか。」
「あぁ、いいこと言うな!そんな感じだ。」
余計話こじれそうだもんな。まぁ俺も戦争なんてやりたくもない。
「まぁ子供にこんな話してもしょうがないんだけどな!お前は色々と規格外だからな。」
「今はただパン食ってる子供ですけどね。」
運ばれてきたパンをかじりながらそう答える。
「そうだな、こう見ると可愛いもんなんだがな。まぁそれは置いといて、お前金がないだろ?給料前借りしておくか?」
またもや意外、でも下心ありそう。
「いえ、魔石売ったお金があるんで大丈夫ですよ。」
「…チッ。そうか。」
ほら、絶対恩売ろうとしてたぜ。いい話で終われんのかこいつは。
「まぁ、レイの訓練の方もしっかり頼むぜ!」
そういいながらティスカ公は椅子から立ち上がり笑いながら去っていった。
「やっぱり面白い方ですね。」
シェリーが果物食べながらそういう。
「我としてもあの考え方には賛同します。」
銀も武人だからなぁ、根っこは同じ感じなんだろうな。
「戦争って言われてもあんまりわかんねぇんだよなぁ。」
呟きつつパンをかじる。今日は鍛冶屋見に行くんだ。もちろんスキルを使えるようにするために。
またメイドに出かけてくると言い街に繰り出す。
街を練り歩きながら目的の鍛冶屋っぽいとこを探す。
「んー、どこにあるんだろうな。」
「どこでしょうねぇ。」
「順当に考えれば武器が置いてあるとこでしょうか?」
いつものメンバーで歩く、他の人からみたらお姉さんと一緒に犬の散歩してる感じに見られてるのかな?
「俺の知ってる感じなら煙突とかあるんだけど…。」
そういいながらさっきから煙突っぽいのがある家を探してるけど全然ない。
俺の考えてるのと違うのかな。
「また訊いてみるのはどうですか?」
「んー、そうする…。あっ、あれっぽくね?」
剣がクロスしてる看板に入口に木で出来た鎧っぽいオブジェクトが置いてある。
武器屋っぽいけどまぁ違ったらそこで聞けばいいだろ。
人の気配があんまりないのがちょっと気になるけど。




