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「こっちも再開するか。次は手甲の練習でもするか。」
「さぁ、やりましょう!」
やっぱりノリノリじゃないか。
「んじゃちょっと離れて。」
少し離れてもらう。
「では今から木片を投げます。それを魔力を込めた手甲で弾いてください。」
「準備出来てますわよー!」
手甲に魔力が通るのが分かる。
「じゃあいくぞー。」
最初は軽く投げる。それをガツンと下に叩けつけるようにして弾く。叩け付けると木片が消し飛んだけど。
「もっと速くてもいいですわよ!」
こちらに手をふってそう答える。
「んじゃちょっと速くしていくぞー。」
そういってどんどん木片を投げる。流石に顔はまずいので顔には投げずに体を狙って投げる。
「はっ!やっ!たっ!」
リズムよく木片を弾いていくレイ。
「避けられそうなのは避けてもいいんだぞー!」
そういいながらさらに投げる。弾くのに避けるのも加わっていい感じに出来てる。
「その調子だぞー。」
「このくらい、簡単、にうっ!」
喋った途端に木片が体に当たる。手を止めずにさらに木片を投げ込む。
「ほらほら、敵は待ってくれないぞー。」
「くっ!」
よろけながらも弾くのを続けるレイ、このくらい激しくやらないとね。
何回か体に当たりつつも弾いたり避けたりを繰り返すレイ、この辺でやめとくか。
「はい、終了。」
最後の木片を投げつけ終わりの合図をする。最後の木片はきっちり下に叩きつけるレイ。
「…ふぅ。」
深く深呼吸をしながらレイが構えを解く。
「んじゃレイは休憩しときな。銀とシェリー、お前らも動くぞ。」
銀はお座りの形でずっと眺めているしシェリーなんて欠伸してたからな。動かさないと。
「鬼教官ー。」
「はい、どうしますか?」
銀はいい子だなー。
「さっき兵士達にやったのと同じ感じかな、ただ威力はそれなりに出すから避けるか魔法使って防ぐかしろよ?」
そういって魔力を込めて銀とシェリーに向けて魔法を放つ。
二人共その場からスっと避けて間合いをとっていく。それを追尾しながらボール系の魔法を連射する。
どちらも避けたり魔法で相殺したりして綺麗に動いている。こんな感じにしたかったんだけどなぁ、新米にこれをもとめるのは酷なことか。
「そっちからもこっちにむかって魔法撃ったりしていいからなー。」
そう言った瞬間にシェリーが葉っぱを飛ばしてくる。さすがだな、さっき言われたことをすぐに使ってくるとは。それを避けつつ魔法をぶっぱなす。
銀も風魔法で隙が出来たらこちらに攻撃してくるようになった。
数十分くらいその攻防を繰り返し適当なところで切り上げる。
「…ふぅー、よし、これくらいでいいだろう。」
魔法を打つのをやめる。シェリーと銀もやめこちらに近づいてくる。
「はぁ、このくらいだったら簡単でしたね。」
「主様は少し魔法使いすぎじゃないですか?大丈夫ですか?」
「まぁ消費はしたけど別にそれほどでもないな。むしろもっと体を動かしたかったな。」
「…やはり化物。」
レイ聞こえてんぞ。その役目はシェリーのはずなんだけど。
「レイは休憩すんだし俺と組手でもいっておくか?」
「遠慮しますわ。」
チッ、気絶するくらいボコボコにしようと思ったのに。
「まぁこれくらいでいいだろう、俺は別にこれ以上強くなってもしょうがないしな。」
そういっても別に鍛錬は怠るつもりはないけど。
「ありがとうございました。」
レイが頭を下げる、礼儀はあるんだよなぁ。