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「大丈夫かな?」
「…ちょっと刺激が強かったみたいですわね。」
それまで黙って見ていたレイがそんなことを言う。
「確かに連続で見せすぎた感はあるな。」
「驚きの連続であまり聞いてなかったんじゃない?」
「主様がいつもの調子でやるとこうなりますね。」
あれ?俺が悪いのか?
「…まぁこんな魔法があるよってのがわかってもらえればいいや。」
「「「はい!」」」
返事はいいんだよな。
「じゃあ次は実戦でどうなるかだな。」
「もうそこまでやるのですか?」
「実践に勝る経験はないからね。はい、じゃあみんなちょっと広がってー。」
教官が心配そうに聞いてくるがまぁ俺には細かいことは無理だ。この人数相手に一々教えるのも面倒だしな。
ざわざわと兵士達が横に広がり間隔を取る。
「はい、じゃあこれからそっちに向かって魔法打つので躱すかどうにかしてください。」
そう一言言って威力抑えたボール系の魔法を連射する。
「そんなっ!」
「やばい、こっちくる!」
「助けてくれ!」
阿鼻叫喚、いやいや別に殺す気ないしそんな痛くないよ?
「ほらほら、当たっても少し痛いだけだから大丈夫大丈夫、むしろ慣れろ。」
バラバラと逃げる兵士たちに魔法で追撃をかける。
「やばい、少し楽しい。逃げるなよー、避けるのはいいから逃げるのはなしだ。」
「リードってこういうとこで性格でますわよね。」
「マスターですからね。」
人聞き悪いこと言うなよ。
「はー、ちょっとやめやめ。逃げ回ってて訓練にならん。」
「…あまり無茶は。」
散り散りになった兵士達を見て教官がそう言う。
「はいはい、集まって。治癒魔法かけるから。」
そういって兵士達の近くに行き治癒魔法をかける。
「…治療魔法も出来るのですね。」
「出来なかったらこんな訓練してないからね?」
粗方治療が終わる。
「こんなもんでいいのかな?」
「頼んだのはこちらなので文句は言えませんが…。」
教官に聞くと微妙な顔してる。まぁ適当にやりすぎたか。
「あくまで魔法に慣れてもらうのが目的だから…。多少はね?」
言い訳じみてるがしょうがない。兵士達のこっちを見る目が辛い。
「こんな感じでやっていこうと思うんだけどどうかな?」
「…かなり荒っぽいですが確かに慣れるって言うのでは効果的ですね。」
教官に聞いてみると以外にもいい返事が帰ってきた。
兵士達が悲しそうな目でこちらを見てくる。頑張ってくれとしか言い様がない。
「次はもうちょいルールとか決めてやるから。」
「はぁ…。ではこれから頼みます。」
「時間はレイの訓練のあとでいいかな?レイの休憩も兼ねてやるってことで。」
「こちらはそれで構いません。」
「レイはどうだ?」
「わたくしも構いませんけど…。」
少し歯切れが悪いな。
「まぁレイの訓練、兵士の訓練、そんでまたレイの訓練っていう風にするからさ。」
「構いませんって言ったのですけど。」
そういいながらも顔が明るくなってる。強さに貪欲すぎるだろこいつ。
「んじゃレイの訓練に戻りますか。」
「私たちもこちらの訓練に戻ります。」
そういって教官は兵士達を集める。
文句一つ言わない出来た兵士達ですね。