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フッと景色が入れ替わる。初めて使ったがどうやら成功のようだ。

何回もアタックしては断られた見覚えのある転送石がある。

「援軍か?」

「いや…。リードか?なんでここに?」

「ごめんなさい、話は後で。」

避難するところだったのだろう、周囲には人が沢山いて話をかけてくるがそれを遮る。

(フラン?どこにいる、転送石についたぞ。)

周囲を見渡しフランに念喋で話しかける。

(リード?ちょっと待ってて!)

すぐに人並みをかき分けてフランが来るのが見えた。

「リード!」

「感動の再会は後々。」

フランが抱きついてくるがそれを引き離す、ちょっとお胸が…今は、そんな事はどうでもいいんだ。重要な事じゃない。

「状況は?」

「今みんな避難しているとこ…。」

「父さん達は?」

「みんなで食い止めるんだって村の端の方に行ったよ!少しでも足止めするんだって。」

やっぱりそうなったか、時間がないな。

「銀、元に戻れ。」

「はい!」

返事と共に銀が本来の姿にもどる。

周囲の人から悲鳴が上がる。

「大丈夫だ!味方だから!公爵からの援軍だ!」

恩を売っといてもいいだろ。この方が混乱も収まりやすいだろう。

「フラン、父さん達の場所はわかるか?」

「うん!」

「どっちだ?」

「私も行く!」

「フラン…。遊びじゃないんだぞ?」

少し厳しい顔でフランに言う。

「わかってる!お父さん達が心配だもん!」

「それでもな…。」

「リードもまだ一緒の子供だもん!」

「いや俺は…。しょうがないな。シェリー、フランから目を離すな。絶対に守ってくれ。」

「承知しました、マスター。」

シェリーがフランの肩に止まる。

「フラン、絶対に無理はするな。むしろ何もするな。父さん達のとこにいったらそこから動くなよ。」

「リードの言うとおりにする。」

真剣な顔で頷くフラン。これなら大丈夫か。

「んじゃ、いくぞ。」

「みゃっ!!」

フランをお姫様抱っこで持ち上げ銀の背中に飛び乗る。フランが変な声出してたけど可愛い、いやいや雑念死ね。

「フランどっちだ?危ないからみんな下がっててくれ!」

フランに方向を聞くついでに周りにも注意を促す。

「…あっち!」

「銀、遠慮するな。思いっきりいけ。」

「承知。」

フランが指差した方向に銀が走り出す、飛び出した衝撃で周囲の人がちょっとよろけてたけど注意したし大丈夫だろ。


ものの数分でマーディ達の気配を発見する。

「銀、もう少し左だ。」

「…見えました、向かいます。」

銀も見えたようでそちらに方向を変える。近づいていくがまだ魔物の気配はしない。

マーディ達はこちらを見てびっくりしている、敵の援軍だと思ったのだろう。武器を向けられたが銀の背中から声をかける。

「公爵からの援軍だ!俺たちは敵じゃない!」

「…リー…か?」

マーディがさらに驚きの表情に変わる。

数十人の男達が武器を片手にそこにはいた。頼りないが木の柵で防壁を作ったりしてここで向かい打つつもりだったのだろう。

男達に混じってセリーとラニの姿も見える。ミュウもいた。家族の感動の再会だな。

「リー!なぜここにいる。」

マーディの前で銀が止まる。

「公爵からの援軍…ってことになって。」

「お前がか?それにこのバトルウルフは…。」

「…あの時の人族か。」

「あれ?知り合いだったの?」

あら、銀は昔マーディと会ったことあったのか。

「やはりお前だったのか。…そんなことはいい、そのバトルウルフが援軍か?シェリーはどうした?」

「まぁ、そうなんだけど…。あっ、フラン。ここで降りてくれ。」

「うん。」

フランをまたお姫様抱っこして下に飛び降りる。

「…なんでフランまで連れてきた。」

険しい顔のマーディ。当然だな、子供が来ていい場所じゃない。俺もだけど。なんて答えようか迷っていたら。

「待って!私が頼んだの!」

「…リー、お前の決断か?」

「…はい。」

一発殴られる事はもう覚悟してる。魔物の気配がしてきた。だがまだ大丈夫だろう。

「…。」

「…待ってくれ。」

マーディが近づいてくるところをフランのお父さんが止めた。

「フランももう戦える、最初の予定では戦う予定だっただろ。」

「…しかし、まだ子供だ。しかも勝手にリーがつれてきてしまった。」

「それは褒められることではないが、リードの事だ。何か考えがあるのだろう。」

持ち上げ過ぎですってフランのお父さん…、なんにも考えてないです、はい。

「はい。シェリー、まずここら一帯の柵の強化だ。」

「はい、マスター。」

フランの服からシェリーが顔を出し、柵に植物を巻きつけ、ていうか原型がなくなるほど強化した。

「完了です、マスター。」

「よし。じゃあ、あとはみんなを守ってあげてくれ。」

「まぁマスターがいくなら流れ弾も心配ないでしょうし、むしろマスターからみんなを守らないとですね。」

「油断するなっての…、冗談言えるなら大丈夫だな。」

「お前…シェリーを使役したのか?」

マーディが驚いた顔をしている。あっ、そういえばお友達大作戦続いてたわ。忘れてた。

「あー、うん。ついでに銀も使役してる。」

銀がペコリと頭を下げる。

「…はぁ?」

まぁそうなるよな、みんな口あけてこっち見てるし。ミュウだけなんか胸張ってる、出来て当然みたいな扱いだな。

「まぁそういうことだから、ちょっと行ってくる。」

「行くってお前…。」

「銀、見えてるだろ?行くぞ。」

「はい。」

柵を飛び越える銀、5mくらいあるのに流石だわ。

「おい!ちょっと待て!どこいくんだ!」

後ろからマーディの声が届く。

「ちょっと全滅させてくる!」

簡潔にそう答えて前を向く。

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