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(どうした?)

(リー、よかった!)

布団から飛び起きる、銀とシェリーが何事かとこちらを見る。

(落ち着いて、どうしたのか言ってくれ。)

シェリーと銀を手で制してそう返す。

(村に魔物が来るんだって!)

(それで?どんな魔物かわかるか?状況は?)

(オークが来るって言ってた!今はみんなで作戦会議みたいなのしてる。)

「まずい、フランが村にオークが攻めてくるって言ってる。」

簡潔にシェリーと銀にそう言う、シェリーと銀も立ち上がる。

「状況は?」

「…まさか、あのオークか?」

「ちょっと待て、今聞いてる。銀、心当たりがあるならあとで教えてくれ。」

(フラン、相手がどのくらいかわかるか?)

(かなり多いんだって。戦えない人は避難して王国に助けを呼ぶって言ってた。)

(父さん達はどうしてる?)

(マーディさんとお父さん達は少しでも数を減らすために戦うんだって。)

「数が多いそうだ。父さん達は戦って、ほかの人は避難するらしい。」

「…私たちもいきましょう。」

「だけど時間がかかりすぎる。銀でも半日かかるぞ?」

「転送石を忘れてますよ、マスター。」

「それだ!とりあえず公爵とかに言わないと。」

扉を開ける、ちょうど見回り中のメイドがいるはずだ。

「すいません、そこのメイドさん。緊急事態なんですが、公爵か姫様に話が出来るようにつないでもらえますか?」

「…かしこまりました。」

いきなり出てきた俺にびっくりしたがすぐに理解して用件を伝えに踵を返す、出来るメイドだ。

(俺たちもそっちに向かう、父さん達には…、いや、大丈夫だろう。無理をしないように言ってくれ。フランもな?)

(わかった!)

村では力を隠してたしな、ここで父さん達に俺が行くまで無理しないでくれ、とか言ってもしょうがないだろう。


「とりあえず、銀。さっきの事話してくれ。」

心当たりがありそうな銀に聞いてみる。

「はい。実は森には何個か派閥的なのがありまして、我はあまり気にしてませんでしたが。」

「ふむ。」

まぁ広い森だしな。縄張り的なのがあるんだろう。

「その一つにオークジェネラルが率いるオークの群れがいまして。ちょうど人族と我の縄張りに近いのですが、そのオーク共ではないかと。」

「なるほどな、銀がいなくなった今その縄張りとあわよくば人族も滅ぼそうってことか。」

「…我がもう少し思考を広げて考えてれば。」

「いや、これはしょうがない。今はオーク共をどうするかだ。相手の強さはわかるか?」

「オーク共は雑魚ですが如何せん数が多くてですね、オークジェネラルは私よりも弱いはずです。何度か戦いましたが横槍がなければ倒せていたでしょう。」

「油断は出来ないな、父さん達も数には勝てないだろう。」

一旦まとめよう。

数はわからんがオークが村に攻めてきてる。一匹一匹は雑魚だが銀が苦戦する程の戦力。マーディ達はおそらく足止めに徹するだろうが厳しい。

こんなところか。

「とりあえず、移動しよう。公爵に話すにもここにいてもしょうがないだろう。」

「そうですね、王座の辺りまでいきましょうか。」

そう話してると扉がノックされる。

「ティスカ公様がお会いになるそうです。」

メイドの声が扉の後ろから聞こえる。

「おし、今から行く。」

「その必要はないぞ!」

バーンっと扉が開く、そこに公爵が立っていた。

「行動力ありすぎだろ…。」

「何、メイドが、リードが真剣な顔して緊急事態だ、と言っておったのでな。」

本当に出来るメイドだ。すぐに動くティスカ公も流石だわ。

「お、そこにいるのはバトルウルフか?小さくなれたのだな。兵士がいなくなったと騒いでおったぞ。」

「あぁ、伝えるのを忘れてたな。すまん。いや、今はそんなことはいい。簡潔にいうが俺の村が魔物に襲われた。まだ被害は出てないが俺もすぐに戻ってそれを食い止めようと思ってる。」

「…それは誠の話か?」

「あぁ、確かな情報だ。」

「…ふむ。」

考え込む公爵。

(こういうことだ、これで村の人から情報を受け取った。)

信じてもらうようにティスカ公に念喋を使う。びっくりして周りを見渡すティスカ公。

「…なるほど。これならば納得した。」

物分りが早くて助かる。また誰か来る気配がする。

「リード、どうかしましたの?」

扉からレイが顔を出す。

「村が魔物に襲われた。すぐに俺たちも帰って撃退する。」

「村が!?大丈夫ですの?」

「まだ被害は出てない、だけど父さん達だけじゃ心配だ。」

レイも心配そうだ。

「ティスカ公、許可をもらえますか?」

「うむ、私達も部隊を出したほうがいいか?」

お、まさか公爵直々に部隊派遣してもらえるとは思わなかった。恩を売るつもりもあるんだろうけど予想外。

「いえ、時間との勝負なので大丈夫です。」

「…そうか、ではすぐにでも転送石で向かえるように手配しよう。」

「お父様、アレをあげればいいのでは?」

「転門石か?だが使えるものがいないとなると…。」

「リード、トラベルワープは使えまして?」

「使えるぞ?」

「ほう、使えるのか。では…。」

ティスカ公が宝物庫を開き、青色に光る石を取り出す。

「転門石は知ってるか?」

「いや、知らないです。」

「転送石の簡易版のようなものでな。少人数でしか使えず使い捨てだが転送石と同じものだ。」

そういって俺に転門石を手渡す。

「ありがとうございます。この恩はまた返します。」

「そうだな、結構高価なものだからな。期待しておこう。」

にやりとティスカ公が笑う。抜け目なさすぎだけどこの際いくらでも返してやろう。

「では行ってきますね。朝方には戻ると思います。」

そう言ってシェリーと銀を触る。トラベルワープは自身とその人と接触している人が対象になるからだ。

「気をつけて行ってこい。死んだら魂を雇ってやるからな。」

「リードなら心配はないと思いますが、気をつけて。」

ティスカ公とレイがそう言う。メイドも頭を下げてる。

頷き、ココリ村を思い浮かべトラベルワープを念じた。

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