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「話を戻しますが、シェリーはともかく銀は目立つじゃないですか、それでここなら銀がいても問題はないかなって思いまして。」
「…確かに城の中なら問題はないな。」
「もちろん、タダで置いてもらおうなんて思ってません。」
「仕えるか?私に仕えてくれるのか?」
「おっさんちょっと黙って、…レイの家庭教師なんてどうですか?」
チラっとレイを見ながら言う。
「そうですわ!お父様!リードのおかげでわたくし魔法が使えるようになったんですわ!」
「…お前が魔法?」
ティスカ公が訝しげな顔をする。
「リード!」
「へいへいっと。」
宝物庫から薪を取り出し上に放り投げる。そこにレイが詠唱をし風魔法で薪を切り裂く。教えてる時にやってた練習だ。
「おおおおぉぉぉ!!!まさかレイが魔法を使えるなんて…。」
銀見たときより驚いてんじゃねぇか。
「私ちょっと魔法もかじってまして、それをレイに教えるってのでどうですかね?」
「まさかレイに魔法の才能があるなんて…。殴るだけしか能がないとばかり…。」
ひどいこといいやがる、俺もその意見には賛成だけど。
「レイ、お前はどうなんだ?リードの家庭教師について。」
ティスカ公が真面目な顔をしてレイに尋ねる。今更遅いけどな。
「…リードは教えるのがとてもうまいですわ。お父様を追い抜くためにも是非わたくしはリードに教えてもらいたいですわ。」
お、打ち合わせなんてなんにもしてなかったのにうまいこといったな。てっきり断られると思ったんだが。
「…そろそろ要注意ですね。」
シェリーがなんか言ってるけどよくわからん。
「それでどうです?」
「レイもこう言ってるしな、これよりリードとその家族を客人として迎えよう。」
ティスカ公結構思い切ったことするんだよな。これはこれですごい才能だよな。シェリーと銀を家族って言ってくれたのもポイント高いわ。
「やったぜ。」
「…マスターといると本当に退屈しませんね。」
「主様も公爵もむちゃくちゃだってのはわかりました。」
「おいおい、俺なりに必死に考えたんだぜ?褒めてもいいのよ?」
あんまり俺をいじめないでくれよ、これでもシェリーと銀のこと結構第一に考えてるんだぜ?
「では、部屋に案内しよう。ウォード、メイドを呼んできてくれ。」
「ハッ!」
そう言ってウォードが扉をあける。
「あっ、そうだ。今回の旅は結構マーカスとウォード頑張ってたよ?少しは労ってやってください。」
「…リード殿。」
「リード君…。」
「ほう。マーカスとウォード、よき働きであった、娘を守ってもらい感謝する。」
おう素直。マーカスとウォードがちょっと泣きそう。これくらいはしなきゃね。
メイドから来て部屋に案内してもらう。流石に銀は入れないので外で待ってもらってる。
一応銀の姿が見えるようにしてくれっていったけどどうなるんだろ。
「こちらでございます。」
「ありがと。」
「では何かありましたらお呼びください。」
メイドが部屋の扉を開ける。流石に広いな。ベッドもあるし、ちゃんとガラスみたいな窓もついてる。実家だと木の窓だったからな。
窓の方に行き窓を開けるとすぐ近くに銀がいた。
「銀、こっちだ。」
「主様。」
銀も気づいてこっちにくる。
「大丈夫だったか?」
「はい、兵士達がチラチラこっちを見てきますが別に敵意はないです。」
「まぁそうだろ。すぐ慣れると思うけど我慢してくれよ。そのへんの庭使っていいってさ。」
「では私はここで待機してますね。」
「すまんな、一緒にいれるようにまたなんとかするから。」
「…主様。」
ベッドに乗ってふわふわしてたシェリーが、
「やっぱり小さくなった方がいいんじゃない?」
とか言い出した。
「それが出来たらあんな苦労してないだろ。」
「え?出来ないの?ずっと思ってたんだけど銀なら出来るんじゃないの?」
「いやいや、だったらあんな作戦立ててないし、むしろシェリーだって大きくなったり出来ないだろ。」
何言ってんだこいつと。
「出来ますよ?」
といいシェリーが光に包まれる、光が晴れた時そこに美女が立ってた。
「は!!???」
「妖精特性ってスキルがあって、ある程度妖精は姿形を変えることが出来るんです。」
「いやいや、は?」
ちょっと頭が混乱してきた。確かにあのスキルは効果見てなかったわ。
「でも銀は妖精じゃないよね?」
「見りゃわかるでしょうに。」
「じゃあ出来ないんじゃないの?」
「試してないのに?」
シェリー(大人)がゆっくりとこちらに近づいてくる、シェリーの癖にちょっとドキドキしちゃう。
「ちょっと試してくる。」
このまま近づかれたらちょっとやばいと思ったから窓から外に飛び出た。
「主様どうかしたんですか?」
「いやシェリーが大きくなった。」
「???」
「違うな、銀。ちょっと、試そう。」
「何をですか?」
頭にはてなマークが大量発生してるだろうな。俺もだ。
「小さくなろう。」
「…主様。」
「いや今回は違うぞ。銀の魔力と俺のスキルがあればそれが可能だと思うんだ。」
「本当ですか?」
「あぁ、俺を信じろ。…まず、自分のイメージを固めるんだ、心の中でな。」
「…はい。」
「そしたら魔力を込めながら念じる。その姿になりたいと。」
「…はい。」
銀から魔力が溢れる、しばらくして銀の大きな体が光に包まれる。そして、
「主様やりました!形態変化ってスキルらしいです。」
中型犬くらいの大きさの銀がそこに立ってた。




