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「…私が気がつかなかっただと?」

ティスカ公が身構える。マーカスもちょっとびっくりしてる。

「…この者はわたくし達を助けてくれましたの。」

「ほう?」

レイがフォローをする、ナイス援護射撃。

「実は、私が見回りをしていたところ、姫様御一行が魔物に襲われているところを発見しまして、そこを助けました。私はお礼などいいと言ったんですが、姫様が是非にと申しますのでここまで付いてまいりました。」

一気にザッと経緯を説明する。こういうときは早口で相手に突っ込まれる前に言うに限る。

「そうですわ、言わば命の恩人ですの。お父様も何かされたら礼をしろと言ってましたのでつれてきたんですわ。」

レイきれっきれやな。

「…マーカス本当か?」

「はい、申し訳ありません。彼がいなかったら私たちは今ここにいなかったでしょう。」

「ウォードとかいったな、お前は?」

「ハッ!まさにリード君は命の恩人です。」

ティスカ公が油断なく周りに訊いていく、俺は地面に跪いて頭を下げたままだ。

「…面をあげよ、娘たちの恩人ならば私も礼を尽くさねばならない。」

顔を上げる。おっし、まずは一歩前進だな。

「こんなとこでは礼も出来たもんじゃないな、城の中に入りなさい。」

銀は?銀もいいの?って言いたかったけど我慢。

普通にレイが乗って入っていこうとしてるしいいんだろうな。


「この度は娘達が世話になったな、礼を言おう。ありがとう。」

出来た親父さんじゃねぇかレイ。王座?に座ったティスカ公が言う。

「ハッ。ありがたいお言葉を。」

ボロが出そうだし短く返事をする。

「礼の言葉だけでは不十分だろう。何か他にないか言ってみろ。」

ほんまに出来た人やでぇ…。

「ハッ。では少々、人払いをしてもらってもいいでしょうか?」

「む?…。」

少し考え込むティスカ公。まぁここではいそうですかって周りの兵士とか下げたら暗殺し放題だしな。

「大丈夫ですわ、お父様。ね、マーカス?」

「はい、心配はないでしょう。」

二人の援護射撃。

「…そうか、ならお前たち、下がりなさい。」

やっぱマーカスよほど信頼されてんだな。まぁ娘の言葉もあるし問題はないか。

周りの兵士たちやメイド達が素早く下がっていく、教育も行き届いてんな。軽く気配を探るが別に聞き耳立ててる奴はいなさそうだ。

「ありがたき幸せ、それともう一ついいでしょうか?」

「ん?なんだ言ってみろ。」

「言葉遣いを崩しても大丈夫でしょうか?」

正直しんどい、ちょっとくらいの敬語ならいいけどこれはしんどい。

「そうだな、まだ子供ではないか。そのくらいの無礼は許そう。」

「マジ?言ってみるもんだな。」

速攻で素が出る。我慢は体に悪いしね。マーカスが頭抱えてるのが見えるけど気にしない。

「…先ほどといい、私を目の前にしてこの態度を取れるのは素晴らしいな。」

なぜか絶賛される俺。

「ありがとうございます、そんでちょっと言いたいんですけど。レイ達を助けたのはついでみたいなもんであんまりお礼とか求めてないんですよ。」

「ほう?金銭などはいらぬと申すか?」

「あんまりいらないっすね。」

ティスカ公が考え込む。

「…バトルウルフはそなたが?」

睨むように俺を見てくるディスカ公。

「銀は俺の家族ですよ?ついでにシェリーも。」

「主様…。」

「ついでってなんですか。」

息を潜めて俺の服の中にいたシェリーが我慢できなくなって出てくる。

「さっきから似合わないセリフばっかりでお腹が捻れるほど笑いました。」

「俺の体バンバン叩いててよく言うぜ。」

「なんと、バトルウルフに続いて妖精までも使役しているのか。」

公爵も驚いてるようだった。

「話を戻しますが、少し村を出るためにレイ達に協力してもらったのでその時にもう礼はしてもらってるようなものなんです。」

「…いやしかし…人族にこんなことが…?」

ティスカ公考え込んじゃってるわ。あかん、話できへん。

「お父様。」

「ハッ、そうだったな。してリードとやら、俺に仕える気はないか?」

はやっ。マーカスが頭抱えてる。こんなんばっかりだな。

「遠慮しときます。」

「いや、そうだな。給料は月に金貨5枚でどうだ?」

金貨5枚ってすごいな。銅貨100枚で銀貨1枚、銀貨100枚で金貨1枚だから結構な給料だな。

「遠慮しときます。」

「では10枚でどうだ?望むならお前の為に兵士も用意しよう。」

どんだけ必死なんだよ、いきなり倍かよ。

「いや無理っす。」

「娘か?娘が欲しいなら手柄を立てればくれてやらんこともないぞ!」

「お父様!!」

レイが顔真っ赤にしてティスカ公に詰め寄ってる。

「いや脳筋はちょっと…。」

考える前に殴るしな。

「むむむ…。では力ずくでいくとしよう!!」

そう言って剣を片手に立ち上がるティスカ公。

「うぉい、お前の親父さんむちゃくちゃだな!さっきまで出来た人だと思ってたけど全然違うわ!」

「すいません!マーカス、そっち抑えて!」

「ティスカ公落ち着いて!」

さっきまでお座りしてた銀もちょっと立ち上がってる。座っときなさい。

「…冷静に考えたらバトルウルフには勝てそうにないな。」

ティスカ公は銀をチラッと見ると座り直した。

「主様の方が勝機がないと思いますけど。」

銀余計なこと言わないの。

「…ほう、そなたも強いのか?」

「まぁ、人並みには?」

「…どこがですか。」

レイも余計なこと言うんじゃない。

「あー、そうだ。ちょっと訳あって自分力隠してるんすよ。」

「バトルウルフを使役しておいて何を今更…。」

ごもっともですわ。

「それは置いといて、なんで少しお城に匿って欲しいなって。ダメ?」

「…追われておるのか?」

ティスカ公が鋭い眼光を向けてくる。

「いやそんなことないんですけど、力が強い人って狙われるじゃないですか?」

「私の部下になれば問題ない!はい、解決!」

「一回ぶん殴っていいか、このおっさん。」

「リード殿!これでも公爵ですよ!」

マーカスが慌てて止めに入る。

「ぶん殴ったら合法的に部下にしてやる。」

「この人すごいわ…。」

ティスカ公マジでレイのお父さんだわ。

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