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「こいつただ乗りたいだけだろ。」

「マスター、この顔見てくださいよ。」

レイを煽っとく。

「ち、違いますわ!そりゃちょっとはそう思ってますけど!」

「確かに姫様なら違和感ないかなー。」

ウォードがそんなことを言う。

「なんでだ?」

「これでも姫様は人気者ですからね。そりゃもう色々とやってますので。」

ウォードがそう言う。マーカスを見てみるとその色々を思い出してるのか頭を抱えてる。

「別に悪いことはしてないですわよ?ちょっと冒険してみたり迷宮に潜ったりしてるだけですわ。」

「それが悪いことだというのです。」

マーカスが突っ込む。確かに姫様がそんなことしてたらシャレにならんな。

「それは置いといて、レイならなんとかなりそうか?」

「わたくしならばイベントの一環として見てもらえると思いますわ。」

「マーカス、どう思う?」

「まぁ、姫様なら、と皆の衆は思うでしょうな。」

ふむ、レイはみんなに人気があるらしい、ならこの案もいけそうだな。

「じゃあ、サプライズイベントとしてレイがバトルウルフを使役している者に頼んで連れてきて乗せてもらってる作戦でいこう!」

「マスター、長い。」

「作戦名で作戦がわかるって素敵やん?」

「頭がお花畑ですね、妖精も近寄らないお花ですけど。」

「おう、そのお花畑に使役されてるのはどこのシェリーさんですか?」

「それで大丈夫なのですか?あまりにも単純な作戦な気がしますが…。」

「大丈夫だろ、いざとなったら逃げようぜ。」

「そればっかりですわね、リードは。」

さて、大体の方針は決まったし、出発しますか。


「そういえば聞いてなかったんだけどどのくらいでティスカ公国につくの?」

「大体3日くらいでしょうか。何もなければですが。」

マーカスがそう答える。

「3日かー。長いのか短いのか。」

「それなりに近くはありますね。大体ティスカ公国からアトラス王国まで7日ですから、ちょうど半分くらいです。」

「そんなもんかー。」

馬車の上から銀の背中の上に場所を移して移動してるが暇だ。

「銀ならどのくらいでつきそう?」

ちょっと訊いてみる。

「ティスカ公国と言うところの場所がわかりませんが、この速度からして本気を出せば半日ってところでしょうか。」

「ちょっと先にいってくる。」

「場所わからないでしょ、マスター。」

はええ、さすが銀。いや俺のおかげってことにしておこう。

「そういえば銀、ちょっと色々することがあったわ。」

「なんですか主様?」

銀に熟練度4倍と超健康、無詠唱を追加する。

「ほい、これで魔法が無詠唱で使えるようになったはず。あと回復力とか上げといた。」

「はい?」

まぁそうなるよな。

「試しにやってみ。風魔法使えたよな?」

「主様がそういうなら…。」

困惑しながらも銀が魔力を込めるのがわかる。少し遠くの木がスパっと切れて倒れる。

「…は?」

「そういうことだから、そのうち他のことも教えるからなー。」

そういうことなのでそういうことなのだ。深く聞かれても答えれん。

「…主様は本当に人族なのですか?」

「マスターは、マスター、って種族ですよ。深く考えたらダメです。」

「シェリーも大概おかしいけどな?棚上げはよくないぞ。」

「そんなこといったらお銀だって大概です。」

「我は元々が…。」

擦り付け合いの開始である。不毛なすぎてなんも言えねぇ。

「また何かしてますねー。」

「我々には到底考えがつかないことをしているのだろう。」

「絶対お父様が逃がさないですわ。」

あっちもあっちで何か盛り上がってるな。

「あぁ、さっきの木拾ってこなきゃ。」

さっと銀から飛び降りて銀が切った木をさらに自分が持てるくらいに風魔法で切る。

矢消費してるから作っときゃなきゃな。


「何やってるかみたいですわ。」

切った木を持って銀の背中に戻るとレイが興味ありそうな感じでこっち見ている。

「だからお前乗りたいだけちゃうんかと。」

「いいじゃないですかマスター、見せるくらいなら。」

珍しくシェリーさんのフォローが入りました。レイと仲良さそうだしな。

「あー、んじゃ飛び乗って…無理か。ちょっとまってろ。」

銀から飛び降りてレイの元にいく。

「何するんですの?」

「はいはい、ちょっと失礼しますよっと。」

レイをお姫様抱っこする。

「ちょ、ちょっと!」

「暴れないの。」

そのまま銀の背中に飛び乗る。こうした方が早いしな。

「…。」

「なんだよ、その目は。」

「マスターってそういうとこずるいですよね。」

シェリーもなんか言ってる。いや見たいって言ってたじゃん。

「ほら、思う存分見とけ。」

そう言って手頃な大きさに木を風魔法で削る。

「…本当に詠唱しないんですのね。」

「無詠唱ってそんな珍しいのか?」

「おとぎ話のようなものですわ。過去の大魔法使いの一部が詠唱を行わずに魔法を使ったってことくらいしか。あとは魔族ですわ。」

「だから最初魔族なんて言われたのか。」

ちょうどいい大きさに揃えた木を並べる。

「んじゃいくぞ、今からやるのは錬金だな。つっても色々普通のとは違うけど。」

魔力を込めて、木を矢に変える。ここで大事なのは念じることだ。まずはいつもの風の魔法の矢を作ってみる。

「ほい、これが【風きりの矢】だ。」

「見た目は普通の木の矢ですわね。」

「マスターは普通にやってますけど効果ついた矢なんて普通作らないですよ。」

「主様は弓矢も使うのですね。」

「銀のときは見せてなかったな。」

そう言いながらもまた一本と作っていった。

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