26
「バトルウルフだ!!!!」
「姫様、お逃げください!」
「逃げきれるわけないでしょう!」
銀の背中に乗ってマーカス達のとこに帰っていくとみんな慌てて戦闘用意してた。
「待った待った。」
慌てて背中から飛び降りる。
「…リード殿?」
マーカスが顔面蒼白でそう聞いてくる。
「用事ってこれのことだ。ちょっと使役してきた。」
「…バトルウルフを?」
「初めまして、我は銀牙と申します。銀とお呼びください。」
「私の後輩ですので仲良くしてくださいね。」
銀が頭を下げる、それだけで風圧が発生しそうだ。
「まぁそうゆうことだから。よろしく頼む。」
「わー、初めて見ましたわ!触ってもよろしいかしら?」
たくましいなレイ、使役されてるとわかるとすぐに走ってきてそんなことを言う。
「銀がいいならいいぞ。」
「我は別にいいですよ。」
「毛並みがいいですわね…。」
返事を聞いてんのかしらんがすぐに触ってるレイ。
「バトルウルフを使役ですか・・・、そんなことは聞いたことありませんぞ。」
恐る恐るマーカスも近づいてくる。ウォードも既に銀を触りに来てる。
「やっぱり?かなり強かったからさ。」
「当たり前ですよ。ランクで言えばB+に値しますからね。」
聞いてみたところ魔物にはランクがあり、冒険者ギルドがそのランクを決めているらしい。D、C、B、Aの4つのランクがあり、そこに+と-がつくので合計12個だ。
「銀。よかったな、お前ランク高いぞ。」
「はぁ…。人族の決めたことなどあてにはしてませんが…。」
関心がなさそうだ。私に傷をつけたのはあなたが初めてですよ?
「もっふもふですわー。」
「寝床にちょうど良さそう。」
レイとウォードがそんなこといってる。お前らはもうちょっと…。
「リード殿、食事はどうされますか?」
マーカスももう気にしてないようだった。
「食べる食べるー。あっ、銀はどうすんだ?」
「別に食べなくても大丈夫ですが…。」
「このサイズでは食費がかかりそうですね。」
「そうだなー、ちゃんと食べてもらいたいしな。」
「気にしなくても大丈夫ですよ。魔力さえあれば。」
「当面の目標は食費稼ぎだな。」
銀の言葉を遮るように言う。部下の体調管理はしっかりしないとな。
マーカスからサンドイッチのようなものを受け取る。
「リード殿はいつも予想できないことをやりますね。」
「そうか?魔物使いならやれないことはないだろ。」
「一人で魔物使いの実力もあり、バトルウルフに認められる程強い者なんていませんよ。」
パンを飲み込みそう答えると呆れた顔のマーカスがそう言った。
「強かったからなー。うん、俺には経験が足りない。マーカス、色々と教えてくれないか?」
「強いってものではないと思うのですが…。私に答えられることなら答えますよ。」
おし、これで騎士の知恵ゲットだぜ。マーディの剣は我流だったからな。正式なやつを見ておいて損はしないだろ。
「わたくしもバトルウルフ欲しいですわ!」
「一家に一匹バトルウルフを!」
既に毛並みの虜になってるレイとウォード。気持ちはわからんでもない、上に乗ってる時寝そうだったからな。
「さて、銀は初めてだし、これからの予定を伝えたいと思う。」
「そういえば、そうですな。具体的な案が何もなかったですな。私としたことが…。」
マーカスが頭を抱えてる。まぁ俺が無理やり言わせたようなもんだったしな。
「うちのお父様は絶対リーを欲しがると思いますわ。」
「ん?どういうことだ?」
レイが自信満々にそんなことを言う。
「…ティスカ公は少々変わってまして。」
「お父様は強い者が好きですわ。そして自分の認めた強者を部下にするのが多くて…。マーカスもそれで認められたのですわ。」
「いや、俺は別に公爵に仕える気はないぞ?」
「そこが悩みどころですな。絶対ティスカ公はリード殿を手元に収めようとします。」
マーカスがその時の事を思い出してるのか苦い顔でそんなことを言う。かなりしつこかったんだろうな。
「まぁ別に俺は公爵に会わなくてもいいんだけどな。」
「それではわたくしが困りますわ。」
「こうだもんなぁ。」
当面は困るだろうが暮らしてけないほどではないだろう。自分で何か錬金してそれ売ってもいいしな。
「ティスカ公も悪いようにはしないでしょう。いざとなれば逃げればいいのです。」
マーカス・・・忠誠心ないのか?いやあのマーカスにここまで言わせるティスカ公がある意味すごいのか。
「それで少し困ったことが、銀殿をどうしようかと…。」
「我がどうかしたか?」
あぁ、このサイズだとまずいのか。確かにバトルウルフが街とか城に行ったらパニックになるだろ。
「あー、別に銀が悪いんじゃないんだけど、街とかに銀が行ったらまずいのか?やっぱり。」
「まずいでしょう。いくら使役してるといってもバトルウルフですからね。」
「我がまずいなら外で待っていましょうか?」
「それも考えたがこれからずっとそれでやるのもダメだろ。もう銀は家族だしな。」
「主様…。」
「銀、ちっちゃくなれない?犬くらいにさ。」
「…主様。」
二通りの主様をありがとう。
「それならわたくしが乗ればいいんですわ!」
レイが素っ頓狂な事を言い出す。




