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その前に鑑定鑑定、っと。
【】【630:25 】【メイン職業:狼46】
【バトルウルフ】
HP:380
MP:120
力:390
敏捷:380
健康:350
知識:310
知恵:340
威厳:250
運:120
【パッシブスキル:嗅覚、統率、念喋】
【アクティブスキル:風魔法3、四肢強化5】
おぅ、つええ。
これはやばいかもしれん。
「来ないならこちらからいこう。」
そう言ってバトルウルフが足に力を込め、飛びかかった来た。
(はやっ!)
大型だからって少し甘く見てた。これは避けられん。
「…チィッ!」
めいいっぱい横っ飛びで避けようとしたが右腕を爪が掠める、そこにバトルウルフが追撃してくる。
右に、左に、と体を大きく動かし躱していく、右腕を治療する暇など与えてくれない。
「どうした?体捌きだけで認めてもらおうなんて思ってないよな?」
喋りながらも休むことなく爪を繰り出してくる。
「…。」
正直ナメていた。自分は強いのだと、いつもの調子でいくなら楽勝だと。
それが出来ていたのははるか格下の相手だけだった。
本気でやるならばさっさと出会った時に鑑定を使い、魔法で先制攻撃をしておくべきだ。
右腕がしびれて動かなくなってきた。さて、どうするべきか。
「…何か考えているようだが、果たしてそれが出来るか?」
「やるしかないだろ?…死にたくないしな!」
必死に頭を回転させ答えを探す、まずは腕の治療からだ。痛くて集中出来ない。間合いを上手くとれるか。
「そらよ!」
初めて剣を振るう、狙いは爪だ。
「…それがどうした?そのまま潰れろ!」
爪を保護した木剣で受け止める、しかしバトルウルフはそのまま押しつぶそうと力を込める。狙い通りだ。
純粋な力比べじゃ負けはしない。そのままの状態を維持し、治療魔法を使い右腕を治療する、まだしびれが残ってるが動けば問題はない。
「…子供一人押しつぶせないのか?」
「…貴様!」
さらに足に力を込めてくるバトルウルフ。まだ大丈夫だ、耐えられる。次だ。
口を動かしながら土魔法を唱え、バトルウルフの足元にひび割れを起こす。【グランドライン】の魔法だ。
「魔法だと!!」
バトルウルフが驚いて後ろに間合いを離す。これも狙い通り。
「そうくると思ったぜ!」
続いて【ファイアーボール】、【ウォーターボール】、【ウィンドボール】と連続でボール系の魔法を唱える。これも口を動かしながらだ。
「…しかも複数だと。」
落ち着いてそれを躱していくバトルウルフ。当然だ、躱せるように打ってる。
「だが間合いを詰めればそれも出来まい!」
最初よりも速く鋭くバトルウルフが飛びかかってくる。
「…そうなるよな。」
こちらに爪が伸びてくる、その瞬間に無詠唱で土魔法【グレイブ】をバトルウルフの体を下から吹っ飛ばすように唱えた。
飛び上がってる今なら避けられまい。
「グッ…。」
バトルウルフの大きな体が跳ね上がる。飛びかかったとこをカウンターで迎え撃ったのでこれは効いたのだろう、跳ね上がった体が地面にドシンという音と共に落ちた。
「…。」
油断せずにバトルウルフを睨みつけ出方を待つ。
「…見事だ。」
その言葉と共に力を抜くバトルウルフ。
「…ふぅー。」
「何やってるんですか、マスター。」
戦闘終了の合図が出たのでシェリーが慌てて飛んでくる。
「ナメてた。」
「だから言ったじゃないですか。」
「いや違う、この世界をってことだ。」
シェリーが首を傾げる。
そうだ、俺は今ゲームをしているんじゃない、この世界を生きているんだ。このところ気を抜きすぎてた。
絶対的な力を持って生まれてきてもそれを使いこなせなければ意味がない、俺に足りないのは経験だ。
俺が知らない即死魔法でいきなり死ぬかもしれない。致死性の毒で殺されるかもしれない。もっといえば切られただけで死ぬのだ。
「またマスターが意味のわからないこと言ってますね。」
「まぁ気にすんな、俺の心構えの話だ。」
シェリーの頭を撫でる、こいつにも治療魔法は覚えさせておこう。何があるかわからないしな。
「おっと、すまん。忘れてたわ。」
蹲っているバトルウルフに治療魔法をかけてやる。
「…やはり無詠唱で使えるのだな。」
「隠しておいて正解だっただろ?」
「そうだな、腕の傷も治していたのだな。」
「痛いのはやだしな。」
バトルウルフが座り直し、こちらをじっと見る。お座りしてるみたいで可愛い。
「…それでどうするんだ?」
「もちろん、使役させてもらうぞ。」
「負けてしまってはしょうがないからな。」
そのままの姿勢で待つバトルウルフ。待てさせてるみたいで可愛い。
「古き盟友よ、我に力を貸したまえ、使役。」
まぁ雰囲気ださなきゃね?やっぱこれに関しては詠唱いるわ。
バトルウルフの体が光に包まれる、そしてちょっと大きくなっていく。おい、さっきまででも十分でかかったのに今じゃ俺の2、5倍くらいあるぞ。
「…これは!」
バトルウルフが驚いた声をあげる。力が溢れてくるんだろうか?
「…只今をもって我はあなたを主人と認めます。」
「おう、役に立ってもらうぞ。」
乗り物ゲットだぜ!なんて言えるわけない。
「そうだな、お前にも名前をつけなきゃな。…銀牙、なんてどうだ?」
ここはセオリー通りにポチってつけたかったけど絶対文句言われる。
「また、なんでそんな名前に?ポチじゃダメなの?」
シェリーが言ってくる、お前もバトルウルフナメとるやないか。めっちゃ睨まれてるぞ。
「いいんだよ、今日からお前は銀だ。文句は言うなよ。」
「いい名です、主様が決めたことなら我は従いましょう。」
「おい、シェリー。銀を見習えよ、これが使役した人に対する態度だぞ。」
「え?私いつもこんな感じじゃないですか。」
「はっ倒すぞ。」
「主様とシェリー先輩は仲がいいんですね。」
「どこがだよ。」
「今のもう一回言って!先輩のとこ!」
シェリーが後輩出来たからって調子乗りそうだ。
「ほら、もういくぞ。レイ達が待ってるしな。上乗ってもいいか?」
「もちろんです。」
銀がしゃがむ、それでもちょっと乗れそうにないので無魔法ジャンプで飛び乗る。
「乗り心地はよくないと思いますが…。」
「大丈夫、大丈夫。固定は出来るから。」
「はぁ。」
わかってない感じの銀。まぁそっちの奥の手は見せてないしな。向こうに着くまでに色々話すか。ついでに銀のステータス見ておこう。
【銀牙】【630:25 】【メイン職業:狼46】
【ケロベロス】
HP:580
MP:320
力:590
敏捷:580
健康:550
知識:510
知恵:540
威厳:450
運:320
【パッシブスキル:嗅覚、統率、念喋、咆吼、ブレス、分裂】
【アクティブスキル:風魔法3、四肢強化5】
…ケロちゃんにしとけばよかったか。
いや俺より強くなってね?




