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考えもなしに敵地に突っ込むとかただの脳筋じゃないか…。

「さっきの感じだとやっぱり厄介そうだしな。…あれが全力じゃないだろうしな。」

「少なくともマスターの魔力吸い込んでると考えるとまったく足りませんしね。」

複数回やってるしな…。

「…それでこれからどうするのかしら?」

ハイルズの片手に吊るされたままのシュルツェが険しい顔をしながらそんなことを言う。なんか可愛い。

「まぁ、こっちから乗り込んで行ってその途中で…っ!」

「…姿が見えなくなったらそりゃ動きますよね。」

海の上で見た馬鹿でかい城の中から魔力の塊が動く気配がする。

「場所が悪い。さっさと上がるぞ。」

「…こっち来てるって言うの?」

「主が邪魔なんで受け取ってもらっていいですか?」

「キャアッ…!!ハイルズッ!!」

言うのが早いかハイルズがこっちに向かってシュルツェを投げ捨てる。この扱いである。

しょうがないのでしっかりと受け取り崖から足を抜き取り空中に着地。

ハイルズはそのまま垂直の壁を指食い込ませて登っていった。…こいつ変態だな。

「手が滑って落とせばいいのに。」

「…本当に今余裕ないからそう言う事言うのやめて頂戴。」

「…煽りがいがないですね。」

即死ポイントでスタント決めたシュルツェは声が震えてる。

「そこまでにしとこうぜ。…来るぜ。」

「はいはい、かっこいいかっこいい。」

若干城の方を睨みながらそんなことを言ったら煽りの矛先がこっちにきたでござる。

「…うわ、こんな事になってるなんて…。」

「…まるで魔力そのものですね、これ。」

城をぶち破って出てきたのは黒い霧状の塊、もうこれ魔力の塊だ。

「…臭そう。」

「…この状況でそんな言葉出てくるの貴方くらいよ。」

「はいはい、来ますよ。避けてくださいね。」

だって、モワモワしてるしシュウシュウ音してそうだし。あれ絶対臭いよ。

失礼な事を考えていたからなのか、塊から魔法が飛んできた。


先ほどと同じ様な魔法の連打に大きく迂回しながら陸地を目指す。

あの状態で見えてんのか知らんが狙いが正確になってるのでギリギリで躱すなんて余裕のある行動は出来ない。

「それで目に自信ある二人にはどう見えますか?」

「本体見えないからわからん。」

「…ごめん、見る余裕ない。」

掠れるような声がシュルツェから溢れる。かなりの速度で避けてるから酔ってそう。頼むから吐くなよ、マジで。

【魔力の黒い霧】【1112031】

雑ゥ!・・・いやこれちょっと多すぎでは?俺の20倍くらいあんぞ。

「見事に魔力の塊だな。あれ削らんとちょっと無理だな。」

「では削りましょうか。」

言うのが早いかシェリーが黒い霧状の塊、・・・黒塊でいいか。

黒塊の下の海から水の槍を生成し、ぶつける。

「・・・効果薄いってか半分くらい吸われてる。」

「うわ、めんどくさ・・・。」

「吐きそ・・・。」

マジで待てシュルツェ。

魔法の玉を避けながら崖の上でのんびりとこっちを観戦しているハイルズの方向に進路を変える。

「こっち来ないでください。」

「うるせぇ、お前も働けや。」

慌ててハイルズが逃げようとするが既に黒塊の射線上に誘導済み。

背を向けて逃げようとしていたハイルズも覚悟を決めて魔法を拳ではじき出した。

「とりあえず壁になってて。」

「無理です、避けさせてください。」

「はぁ、しょうがないですね。迎撃に回ります。」

ハイルズの背後に着地し、タンク扱いしようとしたら断られた。

ため息をつきながらシェリーが俺の肩から飛び立ち、元の姿に戻る。・・・いや違う、大人の方に戻るだ。元は妖精だ。

そのままハイルズの後方でハイルズの弾ききれなかったものだけ相殺していく。

「出来れば私より前に出て欲しいのですが!」

「私は後衛ですので。前に出るのは最終手段ですから。」

そんな二人のやり取りを聞きながらシュルツェをそっと地面におろしてやる。乱暴に下ろしたら文句と一緒にゲロまで飛び出しかねない。

「・・・うぇ、・・・状況は?」

「割りと想定してた中で悪い方だな。」

うん、準備すらさせてもらえなかった。

なんなん、ラスボスなら城の王座で待ってるもんでしょ、普通。何壁ぶち破って出てきてんの。クソイベかよ。

「マスター、こっち来てます。」

「きついので下がっていいですか!?」

後ろからシェリーの特に焦ってない普段通りの声とハイルズの迫真の声が聞こえる。・・・いや、お前普通にまだ余裕あるだろ。

「・・・本当に魔力の塊ね。」

「だろ?・・・ただちょいとおかしいけどな。」

「何が・・・?」

「いや、とりあえずお前さんはここでジッとしといたほうがいい。」

「ちょ、ちょっと待ってよ!こんな何もない場所に居ろって言うの!?流れ弾が飛んできたらどうするのよ!」

立ち上がろうとした俺の手をギュッと握ってくるシュルツェ。あー、まぁ、そりゃ怖いか。

「・・・あー、本当はめっちゃ嫌だぞ。本当は触らせたくないんだからな。」

「な、何を・・・。」

腰から阿修羅丸を取って、鞘から抜き、シュルツェの手に握らせる。

「ほんとマジで頼むから地面とかに当てるなよ、目の前で構えてるだけで防いでくれるから。」

「え、これなんなの・・・。こんな武器見たこと・・・。」

しっかりとシュルツェを座らせて阿修羅丸を構えさせる。

「頼むぜマジで。」

そう言い残し、マジマジと阿修羅丸を見るシュルツェを残し黒塊の方を向く。・・・割りと距離縮まってんな、急いで前に出るか。

「ちょ、これおもっ・・・。」

「ふぁあああああああああああああああっく!!!!」

黒塊を見据えて足を踏み出した瞬間、カツーンとした音と共にシュルツェの声が聞こえた。

絶対許さねぇからな、糞大魔王!!

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