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どうにかフランを説得し、条件付きで村を出ることが許された。俺って尻にしかれるタイプなのか?
まず、向こうに着いたらすぐにこちらに戻ってくること。
これは俺も考えてたから問題ない。どうやら転送石はトラベルワープのスキルで起動出来るらしく俺はまだそれを使ったことがなかった。
単純に行けるとこがなかったからだ。俺が知ってる転送石はこの村の一つだけ、出口となる転送石を知らないので使えるわけがない。誰かに違う場所の転送石までトラベルワープで連れて行ってもらってもいいのだが誰が子供を連れて行ってくれるだろうか、もちろん言ってみたけどダメだった。
次に、念喋で話かけたら話を返すこと。
まぁこれも問題はない。実際フランと話すのは楽しいからだ。
そして、将来フランを嫁にもらうこと。
これはフランのお父さんがいったことなのでもちろん却下。将来のことは誰にもわかりません。
「じゃあ、行ってくるね。」
「うん、いってらっしゃい。早く帰ってきてね!」
フランが抱きついて別れの挨拶をする。ふっくらとした感触を俺は一生忘れないだろう。
「…見せてくれますわね。」
「第一夫人は私なので。」
レイニーはふくれっ面を、シェリーは余裕な顔をしている。
「せやな、シェリーはんのことは愛しとるで。」
「ちょっとカチンときました。」
シェリーが俺にドロップキックをかます、俺はそれを余裕で右から左へと受け流す。
「あ、あとシェリーともちゃんと仲良くすること!」
フランが笑いながらそう言う。
「俺たちいつも仲いいよな?シェリー。」
「そうですね、ただ今は倦怠期のようなものです。20秒くらいの。」
左から右に、右から左に受け流しながらシェリーと会話を交わす。
少しの別れだが最後までフランは笑顔だった。
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「じゆうだあああああああああ。」
馬車の屋根の上に陣取り空に向かって叫ぶ。
「…何をやってるんですの。」
レイニーが呆れた顔を向けてくる。
「人生一度はやってみたいことベスト10に入る事…かな?」
「すいません、マスターは時々発作が起きるので。」
「はっはっは、リード殿はあの村から出たことがないと言ってましたからね。気持ちはわかります。」
「俺も初めて村を出たときはそんな感じだったなー。」
マーカスとウォードが共感してくれてる。ほら、普通のことだっての。
「あー、そうか。ちょっとやっとくかな。」
宝物庫からギターを出し少しチューニングをして音楽を奏でる。
某Fなんとか10のOPで流れる曲だ。魔物避けをするために魔力を込める。
「リードは楽器も弾けますの?」
「おう、まぁ聞いとけって。」
「…リード殿は多才ですな。」
マーカスが呆れた顔をしている。
「わたくしを満足させる曲を弾けたら認めますわ。」
「なんでお前に認められなくちゃいけねぇんだよ。」
「お、ま、え、じゃなくて、ちゃんと名前で呼んでくださらない?」
「ナンデレイニーニミトメラレナクチャナラナインデスカ。」
「…ふん、まぁいいですわ。」
棒読みで返事しとく、ギターで演奏を続ける。
「…悲しい曲ですわね。」
「…心に何か広がるものがありますな。」
「…こんな演奏は初めて聞きました。」
「今マスターはただ魔物避けのために弾いてるだけですからね、本当はもっとすごいですよ?」
三人共演奏に満足そうだった、なぜかシェリーが胸張ってんのかわからんけど。
「レイニーはこれが悲しい曲だってわかるのか?」
「当たり前ですわ。わたくしこれでも一応姫ですわよ?それとレイでいいですわよ、親しいものはそう呼びますわ。」
「…姫様。」
マーカスが諦めた顔してる。俺、向こうについたら公爵に、マーカスが頑張ってたって言ってやるんだ。
「おう、そういや、レイは姫だったな。」
「マスター、それは少しひどいのでは?」
「いやだって、あれだぜ?」
そういってレイを見る、一応ドレスのようなものを着ているがその腕には手甲のようなものがついてた。
「…言いたいことはわかります。」
「…だろ?」
「わたくしも一応戦えますから、これでも武闘家ですわよ?」
「いや、見りゃわかる。ちょっといいか?」
「はい?」
一応断りをいれる。
【レイニー=ムル=ティスカ】【646:9】【メイン職業:武道家4 サブ職業:魔法使い見習い1、冒険者見習い1、僧侶見習い1】
HP:57
MP:23 (23)
力:38
敏捷:37
健康:40
知識:21
知恵:25
威厳:40
運:11
【パッシブスキル:カリスマ】
【アクティブスキル:体術2、気功5、軽装備6、宝物庫2、風魔法1、聖魔法1】
THE、脳筋
体術ってのは多分格闘の上位スキルだろ。
カリスマは【カリスマ:生まれながらにして高い威厳をもったものに与えられる。】って説明だった。
俺も取れるんじゃねって思ったけど俺生まれたとき何回もおしっこ漏らしてたし取れるわけなかったわ。




