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遠くから赤ちゃんの泣き声らしき悲鳴にも似たなにかが聞こえる。

そりゃそうだな、トラックが突っ込んできたんだし結構な事故だろう。


(俺生きてんのかな?意識あるし辛うじていきてそうだな。でも体動かねぇし、目も明かねぇ。)


あの見晴らしのいい場所での事故だったので見物人が集まってんだろう、と思いなんとか目をあけようとするが開かない。

どうせ写メとか撮って「やばくね?これ。」とか言ってんだろな、と動けないのでしばらく思考を止める。


(いや…動けないって感じじゃないな。鈍くだけど動けてるな、なんか体変だけど頑張ってみるか。)


ぎこちなく、ゆっくりと体を動かしていく。


(あれ?俺ちっちゃくね?手とか足ちぎれたか?それなら死ぬか。しかもちゃんと指とかあるっぽいしな。)


かすかだが指に意識を向けていくとそこにはちゃんと指が動く感触がある。


(てかこの声俺のじゃね?声全然違うけど自分で喋ってるのと同じ響き方っぽいし。)


かなり聞きづらいが自分で叫んでいるようだった。

しかし、これは自分では止められそうにない、心ではなく体が反応してるようだった。


(まぁあの事故だったし、そりゃ叫ぶわな。痛覚ない程の事故だぜ?いや、それにしては意識はやけにはっきりしてんな。…これが走馬灯ってやつか…。)


諦めたように意識を放棄しそうになったが自分が何かに抱きかかえられてるような感覚がわかってきた。

救急車でもきたのかな?と思い、再度目をあけようとする。


(…開けられそうだ。…まぶしっ!)


目を恐る恐る開いてみるとまず大量の光が流れてきた、それに合わせたかのように声が大きくなっていく。

これ自分が出してる声だとしたら相当恥ずかしいな、いやでも事故じゃしょうがない。と自分を納得させる。


(…外人さん?珍しいな。)


光に慣れてきた目の前には髪の毛が金色なイケメンがいた。

俺が目を開けたのがすごく嬉しそうでさわやかな笑顔を浮かべていた。

顔を見た感じは20代前半といったところだろう、なぜかほっぺたにキズがあったりと精悍なその顔はどことなく力強く感じる。


(…やだっ、…私キュンキュンしちゃう…。)


などと事故ってるわりには余裕を見せる思考がたくましい。

金色イケメンは俺を抱いているのか周りに目を向けて、俺の体を起こしたようだった。

次に目に入ったのは長い黒髪の女性だ。結構美人だ。美人度92くらい。

いつもならドキドキしてしまうとこだが事故った衝撃のがでかかったのか全然そんな感じではなかった。

金色イケメンが俺の体をその女性に渡す。


(…いや、気のせいじゃないな。俺縮んでるわ。少なくとも人から人に軽々渡されるくらいには。)


どっかでアポなんとかって薬飲んだのか?と思い起こしてみるが当然そんなことはない。

あったとしても徹夜でネトゲするためのエナジードリンクくらいだろう。


(…俺の手…か…?これ…?)


慣れてきたのがまだ狭い視界の中にはちっちゃな手が自分の体から生えているみたいだった。


(…おい、これ俺赤ちゃんじゃねぇか!!!!!)


より一層大声が部屋の中に響き渡る、どうやら心では制御してるつもりでも体が全然制御できていないらしく、うまく感情をコントロール出来なかった。

かすかだが自分で指を動かしてみると自分の思ったよりも鈍くゆっくりとだが指が動く


(おいおい、マジかよ。どうなってんだよこれ…。昔の記憶をもって生まれてきたって話聞いたことあるけどそれか?…いやでもあんなん信じられ…あっ!!!!)


大声はさらに続く。


(転生ってこれかよ!!ゲームじゃなくて本当に転生しやがった!!どういうことだよ!!!)


感情に振り回されて体が反応するかのように動き出す。

抱いている男はおー、元気な子だと言わんばかりに抱き直したり女性の顔を見て口を動かしている。


(じゃあ、この金色イケメンは俺の父親でそこの美人さんは母親か?外人さんに生まれ変わったのか俺は…。)


落ち着きつきながら思考を続ける。

もしも、これが夢ではなく本当に転生だとしたら。

いつの間にか泣き声は聞こえなくなっていた。


(…あかん、急激に眠た…。)


意識が途切れていった。

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