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いつもの人は朝勤務なので今日はいないが、別の人にミストの所在を尋ねると朝に新人を連れて依頼を受けに行ったらしい。

そうなると依頼を完了させて。ここに戻ってくるだろう。流石に新人連れて日数かかる依頼を受けてるわけないだろうし、失敗するってのも考えにくいしな。

視線を感じながら冒険者ギルドの待合の机を借りて待つ事にする。

「・・・なんでこんなに見られてるんですか?」

「まさかバレてるってことはないっすよね?」

「ないない。見慣れない奴らが来たから見てるだけだって。」

内緒話をするようにアインツとツヴァイがそんなことを言う。

流石にここでゴブリンだってバレてたらお話になりません。

「うー!」

「あんまり動き回るなよー。」

クフーが楽しそうに椅子をガタガタ揺らしながら回りをめっちゃ見てる。

見るものすべてが新しくて楽しいんだろうなぁ。・・・こうネトゲ初心者だった頃を思い出すわ。

意味もなく旨みのないクエストやったり。全体チャットで挨拶振りまいたり。高レベル狩場に突撃して死に戻ったり。町を探検したり。アイテムばらまいたり。

・・・もうそんな楽しみ方出来ねぇだろうなぁ。

効率廚に堕ちた悲しみである。

「ぁー!」

そんなことを思いながらクフーを眺めている。

・・・なかなか尊いな?心の尊いフォルダに保存やな。

「・・・その、ミストさんってのはどんな人なんですか?」

「あー、それ俺も気になってたっす。」

「んー、人がよくて腕もいい冒険者だよ。妻子持ちだし、冒険者の鏡みたいな人。」

うむ、こう改めて考えるとミスト本当に主人公だなおい。

「それならいいんですが・・・。」

「アインツはちょっと心配性なとこがあるな。」

「まぁ、大丈夫っしょ。ぬ、・・・リードさんが選んだ人っすからね。」

「ツヴァイは楽観的やな。」

「・・・。」

「・・・ドライはあれだな。寡黙だな。」

こう見るとバランスが取れてるように思える。

元々こんな感じだったんだろう。・・・ドライが会話に参加してない感じするが、喋ってないだけで聞いてちゃんと相槌を打ってる。

「ぅー。」

「・・・見て回りたいの?いいけど、他の人の迷惑にならないようにね?」

「あー!」

クフーが俺の袖を引っ張ってくる。どうやらちょっと近づいて色々見たいらしい。

まぁ、そんなに人もいないし。俺が注意深く見てれば問題ないか。自由にさせたいしな。

・・・無邪気なクフーを加えて4兄妹か、性格が見事にバラバラですね。

どうせならこう種族バラバラでもよかったかもしれないな。

それだと連携に支障出そうだからあんまりしたくないけど、・・・即席PTで連携取れるようになるのめっちゃ時間かかるしな。シェリーがそのへん上手いけど、・・・俺もやれんことはない。

理想は一人である程度出来て、パーティー組んだら相乗効果で戦力跳ね上がるってのがいいけど。

今んとこうちで出来てるの俺含めていないんだよなぁ。

どうしても一人一人の力量が高すぎて組むのに難儀する。

少数パーティーならあれか、俺、銀、シェリーの3トップが組めばいけるか。・・・俺らが組んで戦う相手がいるのかってのが疑問だが。・・・連携の練習しづらいってのも問題だな。

アインツ達はそれをかなり意識して訓練してほしいかもしれん。一人一人がそれなりに出来て、3人で組めば安心パーティー。

クフーは支援に特化して欲しい感あるな。誰と組ませても安定して戦果上げて欲しい。・・・冒険者としては考えてないからそのへんは魔物の時の特性頼みか。

「んー、あっ。クフー帰っておいで。」

「ぅー?」

そんなことを考えてたらクフーがトコトコ歩きまわって他の人のとこ行ってた。

他の人が食べてるのをジッと見るのはやめなさい。めっちゃ困ってるでしょう。

「・・・大丈夫なんですかね?」

「まぁ、他の事に興味持つのはいいことだからな。そうやって学んでいくもんだし。」

「確かにそうですが・・・。やはり人型とは色々違うんでしょうね。」

「んだなー。今までどっちかって言ったら人型、もしくは人に近い魔物しか使役してないからクフーの反応は新鮮だな。」

「今リードさんが使役してるのって、シェリーさん、銀さん、雷牙さん、風牙さん、んで俺らにクフーっすよね?・・・見事にバラバラっすね。」

「個性があっていいだろ?」

「そうっすけど、・・・シェリーさん、銀さんが他と比べて飛び抜けてるっすね。やっぱり。」

「せやな。あんまり考えて使役してるってわけでもないんだけどな。」

銀なんて最初移動用で乗りたいって考えてたしな。

「・・・。」

「ぁー!」

ドライがクフーを椅子に座らせてる。・・・あれ、この状況も結構尊いフォルダに入れるべき状況なのでは?無口な三男が無邪気な妹の世話を焼く。・・・ええやん。


そんなことをしていると、ミストが冒険者ギルドに近づいてくる気配がした。

周りに何人かいるのは聞いたとおり新人の奴らだろう。そのなかだとやっぱりミストが飛び抜けて強い気配するしな。

「・・・そう、習性を利用すれば罠にかけるのも楽だ。冒険者だからと言って体だけを鍛えるのは推奨出来ないな。」

「やっぱりそうですよね・・・。ミストさんはどこでそう言う勉強したんですか?」

「基本的に先輩達に聞いて回ってたな。冒険者ギルドで書物を借りて読んだりもした。自分一人で森に入って調べたこともあったが、あれはオススメ出来ないなぁ。」

そのまま待っているとミストと数人の新人が会話しながら冒険者ギルドに入ってきた。

「ほい、あれがミストさん。・・・まぁ、どれがミストさんかはわかると思うけど。」

アインツ達にそう告げると、すぐに見つけたようでジッとミストさんの方を見ていた。

クフーはとりあえずそっち見てるって感じだった。

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