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「あの、大丈夫ですか?」

「だ、大丈夫だ。問題ない。」

アインツが心配そうにそう言ってくるが、大丈夫。まだ正気は保ててる。

「・・・?」

意を決してアラクネの方を見ると首を傾げてる。・・・見た目よりも行動がかなり幼い感じがするな。

「・・・とりあえず、下ろして?」

「うー・・・。」

もうこのまま体を預けたい衝動を抑え、頼んだらあっさりと地面に下ろしてもらえた。

・・・上半身がほぼ裸でえちぃのに下半身こわすぎやしませんかね。

「・・・まだ子供の蜘蛛の様ですが。」

「んー、危険はないっすねー。・・・使役したんすか?」

「・・・。」

「あぁ、使役した。・・・小さい蜘蛛だったからもうちょい小さいと思ってたけど、大きくなりすぎた。」

「ぅー。」

アラクネが下半身をもぞもぞさせて、小さくなろうとしてる。・・・いやさっきに比べれば十分小さいからね。

「これどうするんすか?・・・使役ってそんな簡単に出来るもんなんすか?」

「いや、どうしような。・・・とりあえず、お前ら回り警戒しといて?俺ちょっとこの子と話すから。」

「はい、・・・警戒はずっとしていますけど。」

とりあえず、回りの事はアインツ達に任せよう。

俺はこの子と話しよう。

「・・・名前どうすっかな?」

「ぁー。」

・・・なんだろ。

愛らしいなこの子。

今も俺と目線を合わせようと必死に体かがめてるし、・・・下半身に目を向けたら台無しだが。

・・・そういえば、まだこの子生まれて間もないんだよな。

シェリーの場合元々が妖精だったから使役して一気に知能があがった感あるが、この子は元々蜘蛛。

元々が違いすぎて急激に強化されても知能が追いついてない感あるな、つうことは体は大人、頭脳は子供ってことか。・・・逆ロリ?なのか?

「・・・クフー、とかどうよ?」

「あー。」

愛らしいアラクネを目の前に名前を考え、提案する。

クフーと言う名を気に入ったのか、またも両手を広げ、抱きついてこようとするのを鋼の意思で止める。

「待て待て。気に入ってくれたのは嬉しいが、その前にお話しようねー。」

「ぅー?」

「つってもお話出来ないっぽいんだよな・・・。こっちが話してる意味は伝わってるんだけど、喋れないっぽいな。」

抱きつこうとしながら可愛らしく首を傾げるクフー。

いや、元々蜘蛛だしな。・・・んん、ならなんで馬の雷風は喋ってんの?

・・・雷風は元々人族の近くで生まれたから?人間の喋ってるの聞いて育ったから?

あれ?じゃあ、森暮らしのアインツ達は?

・・・元々ゴブリン語みたいなの喋ってたから?喋るって習慣が合ったからか?

ラフィー達狼は・・・、使役してないのもあって、未だに言葉の意味まではわかってないっぽいしな。簡単なのは理解してるっぽいけど。

つまり、あれか。

元々蜘蛛で赤ちゃんで言葉が必要なかったが、俺の使役で知能が上がって言葉は理解出来るようになった。結果、喋れない。

ってことか?・・・合ってるか自信ないな、クフーが単に喋ってくれないってだけかもしれんし。

「・・・ま、悩んでも仕方ないか。・・・クフーは何ができるの?」

とりあえず、簡単に聞いてみる。

アインツ達はなんかもう普通にゴブリンっぽいってか人型にふさわしく、腕の力で木をなぎ倒してたりしてたが。

あいつらはなんだろ。強化型人族みたいな。力だけ強くなった戦闘素人農民みたいな感じだった。・・・まぁ、武器渡したら器用に使ってたけど。

「ぁー!」

「・・・派手にやるねぇ。」

クフーが嬉しそうに返事をして、六本の足を器用に扱い、尻を突き出し、糸を木に飛ばす。

そのまま力を入れて木を引っこ抜き、投げ、別の木に糸で括り付ける。

・・・つまり、強力な糸が使えて力が強いってことだな!ええやん!

「ぅー!」

「・・・うん、俺いる?これ。」

かと思ったら、器用に木に糸を飛ばし、それを伝って木から木に巨体を物ともせずに移動する。・・・俺を片手に抱きながら。

・・・つまり、運搬も出来ますよってことだな!

「ぉー!」

「・・・食えってことなの?流石に生は無理やで・・・。」

そのまま、巣っぽいのを作り出し、空を見始めたと思ったら空中に向けて糸を吐き出す。

しばらくすると、糸の塊が落ちてきて、中に鳥が生きたまま捕らえられてた。

・・・罠も張れて、対空砲出来ますってことだな!

「ぅー・・・。」

「食べるんだ・・・。」

残念そうにクフーが今取った生の鳥に下半身の口でかぶりつくのを見ないように目をそらす。流石にグロいです。

・・・まぁ、かなり思ったとおりの性能って感じかな。

無難につええな。・・・特に糸が強いな。

クフーに巣の上に降ろしてもらうとすぐに足が糸に絡まる。

粘着性の糸か・・・、クフーが問題なく移動してるのは蜘蛛だからか。普通のやつだとこうなると。

「あー!」

「遊ばないの。・・・え、食わないでね?」

足がもう抜けないので放っておいたらクフーが六本足を器用に使い、糸で俺をぐるぐる巻きにしていく。楽しそうに遊んでるのでいいんだが。・・・捕食されるエサってこんな感じなんだな、なんか新鮮だわ。

「だ、大丈夫なんすか?」

「あぁ、大丈夫。・・・むしろこれ気持ちいいかもしれん。」

ツヴァイが木の上から心配そうに声をかけるが、なんかこれ地味にあったかいし、包まれてると安心感があるな・・・。

捕食されるのは実は幸せなのでは?

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