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「いやー!!!!」
ほらね、これはかなり厄介な問題ですよ。
次の日の朝にフランの家に行き、説明をしたら抱きつかれた。
ちょっとふっくらとしてる胸が当たる、おしいなー、心は反応しても体は反応しないんだもん。
「ちょっと行ってくるだけだから。まだ向こうで雇ってもらえるって決まったわけじゃないしさ。」
これは本当だ。さすがに俺も騎士団に入ろうなんて思ってないし向こうもいきなり入れてくださいじゃ困るだろう。
「いやー!!!一緒にいるの!!!しっぽも触っていいから!!!」
「マジ…。いや、そういうことじゃなくて…。」
一瞬もう行かなくていいんじゃねって手が伸びかけたがギリギリで踏みとどまる。ここで最終兵器出してくるとかこの子やりおる。
どうしたもんかと頭を悩ましていたら。
「おっ、どうした?夫婦喧嘩なんて珍しいじゃないか。」
フランの父親が来てくれた。これ幸いと事情を説明する。
「いや、実はですね…。」
「お父さん!あの女がリーのこと誑かした!」
挨拶したら出発するつもりだったのでレイニー達も来ていたがそれを指差して言い放った。フランさん…どこでそんな言葉覚えたんですか…。
「わたくし!?ちょっとリード!」
「いや、待って…。フランのお父さん違うんですよ。」
「…き、さ、まぁああああああああああ。リーはうちの娘をもらうって将来は決めてあるんじゃあああああ。」
フランのお父さんがちょっと意味わかんないこと言ってレイニー達の方に向かっていく。おいおい、普段フランのお父さん、俺のことベタ褒めしてくると思ったらそんなこと考えてやがったのか。
「姫様!」
そこをマーカスがすかさずブロック。男二人でガッツリと力比べが始まる。
「邪魔をするな!」
「ここは通しませんぞ!」
いい勝負じゃねぇか、フランのお父さんやるな。マーカスと引き分けてんぞ。
「おい、フラン。さっきのはダメだ。レイニーに謝れ。」
「だって!」
「だって、じゃない。ほら。」
「…ごめんなさい。」
「いいですわよ、まぁわたくしに取られたと勘違いさせてしまったこちらも悪いですわ。」
大人しく謝るフラン、普段はちゃんとしてるんだけどなー。
ニヤニヤと笑いながらレイニーも大人な態度をとる。なんだよ、その顔。
「でも!リーがいなくなったら嫌だ!」
「ほら、この村にも転送石あるだろ?あれで帰って来られるから。」
「…でも!」
「おいおい、俺が約束破ったことあるか?」
「…ない。」
基本的に約束は破らない、出来ないことは約束しない主義だからだ。ネトゲ廃人時代は信用で成り立つものもあるのでこれは昔からの俺の流儀だ。
「ほらな?…ちょっと、こっちにきてくれ。」
フランをちょっと端に連れて行く。レイニーとシェリーがごゆっくり、みたいな微笑ましい顔してる。お前らいつの間に仲良くなってんだよ。
「…いいか?今からちょっとフランにあるスキルを教える。」
「…?」
「念喋って言ってな、心の中で思い浮かべた相手と会話が出来るスキルだ。距離は空いてても問題ない。」
実際エンヴィスと遠距離電話してるしな。
「…どうやってやるの?」
「…そうだな。まずは深呼吸して、心の中に俺を思い浮かべるんだ。」
「…うん。出来たよ。」
言われた通りにするフラン、いい子だなー。
「そしたらその心の中にいる俺に心の中で話しかけてみるんだ。言うことはなんでもいい。あぁ、魔力を込めながらやるんだぞ。」
「わかった。」
フランが集中しはじめると魔力を通しているのがわかる。
(…ー…。)
「おし、その調子だ。」
出来そうだな。
(リー、大好き!!!)
【習得:教官 説明:教えを請う者の才能を開花させる。】
おっ、なるほど。今まで鑑定で見ることが出来たスキルを教えてただけだが新しいスキルを教えたりすると習得出来るのか。
なんてことを思ってたら目の前のフランは、顔がパアっと明るくなった後にものすごい赤面していた。
「…あー、んー。」
ちょっと気まずい。そりゃ嬉しいけど気まずい。
「…んー!!!」
ポカポカと赤面しながらフランが俺の胸を叩いてくる。
「痛いって、うん、俺も好きだから心配すんな。」
そういって頭を撫でてやった。ついでに耳を堪能する。
「…ん。」
そう言って大人しく頭撫でられてるフラン。かわいい。
ニヤニヤしながらこっち見てレイニーとシェリーがひそひそ話をしてる。あいつらあとでしめる。
「はー、はー、…お主やるな。」
「ふー、ふー、…貴様こそ。」
いつの間にかマーカスとフランのお父さんがお互いを認め合ってた。暑苦しい。




