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ははん、もうこれわかりましたわ。

「・・・その金使ってシェリー達買うって言ってんのか。」

「・・・多分そうだろうな。元々領主様は質素な暮らしを好んでいたし、蓄えるよりも使って領地の発展させていたからな。・・・蓄えはそうないはずだ。」

「クズにも程があるのでは?」

「シェリーの言う通りね。・・・擁護が出来そうにないわねぇ。」

吐き捨てる様にシェリーが言うのを母さんも肯定した。

「それで?リーはこれで終わると思うか?」

「いや、ないっしょ。絶対ちょっかいかけてくると思う。」

「だよなー。父さんも魔石の件で結構しつこくされててな、もう村長達と話し合ってて諦めようって話が出てるからな。」

「あー。・・・下手にするよりか素直に渡した方がよさそうだよなぁ。」

あれでも一応村の領主の息子だしなぁ。・・・てゆうかもう継ぐことが確定してるんだが。

「領主様はこの事知ってるんだろうか、この頃姿を見せないのも気になるが・・・。」

父さんの一言に心が沈む。・・・言う、べきだよなぁ。

「・・・領主様、もう長くないよ。もって数日だと思う。」

「何?・・・どういうことだ?」

父さんが驚き、俺の方を見る。

そこで俺は自分が見てきたことを素直に話した。


「・・・そうか。だから帰ってきてから様子がおかしかったのか。」

「領主様がそこまで・・・、気がつかなかったわ・・・。」

もうこれお通夜ですよ。父さんと母さんは領主様とそれなりに近い位置にいただろうから悲しむのは当然だろうが、他の面子もこの状態で元気にしゃべれってのは無理がある。

「・・・マスターでも無理なんですか?」

「魔力が足りないとかじゃねぇんだ。元々の状態がもう病に犯されてる状態になってんだよ。・・・目の前で手足が全部吹っ飛ぼうが助ける自信はあるが、元々ない手足をつけることは出来ねぇ。」

「・・・。」

シェリーがそれを聞いて黙ってしまった。魔力ってのは万能だが、時には勝てねぇわ。

「・・・だから息子が好き勝手に動いていると。」

「多分、そんな感じでいいと思う。」

「念の為に聞くが、・・・息子がそれに関わっていると言うのは?」

「ない。と断言出来ないけど、可能性としては0に近いと思うよ。そもそも領主様は持病の事知ってて隠してたんだし。」

まぁ、父さんの考えもわかる。息子が領主様を毒殺~とかでしょ?多分ないと思うわ。

そもそも息子のやつは最近までこっちにいなかったみたいだし、領主様が寝たきりになってから帰ってきたらしいし。

「そうか・・・。わかった、この件はこれで終わりにしよう。魔石の件はもう素直に渡すことにする。・・・リーの方は。」

「あぁ、そっちは俺がなんとかする。」

「大丈夫なの?ちゃんと出来る?」

父さんはもう決めたみたいだった。問題は俺の方だが、母さんが色々と心配してか不安そうな顔をしてる。

まぁ、出来るだけ穏便に行きたいですよね。・・・最後の手段だが、俺がもう裏から操るって手もあるからな。歌で定期的に洗脳して、・・・滅茶苦茶面倒だけど。

「あ、こら。その顔はロクでもないこと考えてる顔でしょ!ダメよ、リー!」

「えぇ、考えてないって!・・・普通にのらりくらりと躱すだけだって!」

「まぁ、リーも無茶はしないさ。・・・リーにとっての無茶ってだけだが。」

母さんに怒られた。・・・おっかしいなぁ、真顔だったはずなんだが。

父さんもそれフォローになってないと思います。

「さて、じゃあデザートでも食べるか!」

「はい、今日は焼き菓子ですね。フラン達が取ってきた果物を使ってエルとルクが作ったんですよ。」

空気を変えるように父さんがそう言うとミューが待ってましたとばかりにお皿を机の上に置く。・・・さっきからさりげなく机の上片付けてたし、流石ですね。

「ル、ルクが・・・?え、ちょっと待って、食べれる物になってる?」

「シェリーさんっ、叩いておいて!」

「はい。」

「おっと、言葉にしてたら当たる訳にはいかねぇよなぁ!?」

「ぐぬぬ・・・。」

ルクの席が遠いので代わりにシェリーに叩いてもらおうとしたんだろうが甘い甘い、俺が聞いてるのに避けないわけないだろ。・・・とはいえ、間髪いれずにシェリーの手が音を立てて頭上から背中の後ろを通っていくのは怖いんだがな。

「・・・次から目で合図で。」

「そうする!」

「ちょっと同盟強化するのやめてもらえませんかね・・・?」

「ふん。・・・てゆうか文句があるなら食べなくてもいいわよ。」

ルクがぷいっと不機嫌な顔で横を向く。

「いや、冗談冗談。」

「坊ちゃんはいらない様なので少し余ってしまいますね。」

「待って、ミュー!冗談だから、マジで。すみませんでした。」

「・・・はい、どうぞ。」

真顔でミューはこういう事するから・・・。まぁ、俺が全面的に悪いので謝りますけど。

にっこりと笑いながらミューが皿を渡してくれる。

謝られたルクはべ、べつにいいわよ・・・。とか呟いてたし、そんなルクを見てエルはくすくすと笑ってるし。・・・さっきの話の影響はそんなになさそうだな。

「・・・うん、旨いな。」

ルクがちょっとずつ料理を手伝い始めてるのは知ってるので味が問題ないってこともわかってる。

一応お約束ってやつですから、やっておかないとね。

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