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そこからはまぁ、ちょっと心を開いてくれたわけですよ。

俺も自分の事は喋らないタイプなんだが、頑張って喋った甲斐があったのです。

「そうか、シグニは子供のころから領主様に仕えているのか。」

「正確には、ケンプ様に仕えております。」

「ふーん、俺を呼んだのはその人なんだよな。・・・領主様は何してるの?そういえば前のお祭りにも顔出さなかったけど。」

ここの領主は見た目的に結構な年だったはず。それでも毎年欠かさず村の祭りとかには顔を出すくらい領主の鏡みてぇな人だったんだが、最近は見てないな。時々散歩と称して村の様子を眺めてるようなそんな人だった。

「あっ・・・。最近、体調が芳しくないようでして・・・。」

途端にシグニの顔が暗くなった。・・・地雷ですねこれは、間違いない。

「そうなのか。・・・早く元気になればいいな。」

「はい!ありがとうございます!」

とりあえずそう言うしかなかったがシグニはお礼を笑顔で言ってくれた。


「お、・・・あれ?結構ちっちゃいんだな。」

「あ、見えましたか?ここがイゴ家の屋敷です。」

中々こじんまりとした屋敷が見える、当然ゴルスク商会のがデカイし、俺んち4つくらい繋げたほうがデカいんじゃないか?

「領主様が作らせたそうですが、下手に大きく作るよりも費用が抑えれてよかったよと笑ってましたよ。」

「ほー。まぁ、掃除とか大変だしな。」

「はい、広いとそれだけで費用がかかりますから・・・。あっ、小さくても掃除は大変ですよ。」

そういってシグニがはにかむ様に笑った。

本当によく出来た子だな。・・・いや、俺より5つくらい年上だろうけど。

そして俺達を乗せた馬車が屋敷の前についた。

「えっと、馬車はこのまま待機しますのでここでお降りください。」

「ほい。・・・ありがとうございます。」

一応御者の人達にもお礼を言ったが無視された。シグニと俺を下ろしたらそのまま馬車が少し離れたとこまで進んでいった。

「すみません・・・。」

「まぁ、気にしないで。・・・んで俺はこのままでいいのかな?」

またシグニが謝ってる・・・、別にシグニのせいじゃないのに。

「はい、このままお連れする様にと。・・・一旦待合室でお待ちいただくことになりますが。」

「ん、大丈夫。んじゃ、案内よろしく。」

「はい!こちらです。」

笑って俺が答えるとシグニはすぐに顔を笑顔に変えて元気よく案内してくれた。

やはり、見た目は小さくても領主の館。センスがいい置物とかが置いてあって見た感じ質素なのに悪くない。・・・いうて俺のセンスが宛になるかは知らんが。


そうして案内された待合室でひたすら待っているわけだが。

・・・なんやろな、嫌な感じやな。

いや、このお屋敷が自体の雰囲気がお通夜っていうか。

シグニに案内されてる時にすれ違った他のメイドの人は通る時に頭下げてたが、雰囲気絶望みたいな。それにあれだ。

さっきから値踏みするような視線がやばい。・・・となりの部屋に一人、上に一人、窓の外に一人。・・・いや、こっちに危害加える感じじゃねぇから無視してるけど、気分はよくねぇな。

だから年相応の子供を演じながら置いてある菓子を食べながら待つ。・・・あんま美味しくねぇな、ミューの作る菓子のが何倍もうまいな。

総合的に見て、めっちゃ敵地っすねここ。・・・一応気を引き締めますか。

深呼吸してから屋敷内の気配を探る。

・・・んー、人の気配はあんまりしねぇっていうか。外の別の建物にめっちゃいるな。・・・この屋敷自体にはほんと数えるくらいしかいねぇな。

・・・シグニの気配がこれだから、やっぱりあの俺の家に来ていた着飾ってた太っちょはケンプ様でいいんだな。となりにあの護衛の気配もあるな。

と、シグニがこっちに移動し始めた。思ったよりも早く会えそうだ。・・・あんまりここに長居したくないしちょうどいいな。

そんな事を考えながら菓子を一口、・・・やっぱ、もういいや。


「お待たせしました。ケンプ様がお会いになるそうです。」

扉をノックしてシグニがそう言って部屋に入ってきた。それと同時にこっちに視線飛ばしていた奴らが消えていく。・・・いや、足音立てるなよ。聞こえちゃってるぞ。

「ほい。・・・んで俺はどうすればいいの?」

「えーっと、私も詳しい事は存じていません・・・。お話があるとだけ・・・。」

「だよねぇ。つうことは俺はそのお話を聞いとけばいいわけだ。・・・正式な礼儀作法とか知らないけど大丈夫?」

「あ、そこまでは求めていないと思います。」

まぁ、村の子供にそんなん求めるのはないよな。

とりあえずはまぁ、何時も通りにしとけばいいんだな。

しばらくシグニについていくとそこそこ大きな扉の前でシグニが止まった。

「・・・部屋に入る前に武器をお預かりしてもよろしいでしょうか?」

シグニが俺の腰の阿修羅丸を見てそう言った。

「あ、いや、すまん。こっちでしまうって事で勘弁してくれないか?・・・あんまり触らせたくないんだ。」

流石にそのまま普通に阿修羅丸をぶら下げてるわけじゃないが、一応武器と認識はする。

それを流石に領主の跡取りのトコに持ち込むのはまずいんだろう。

ただ、よっぽど信用してる相手以外には阿修羅丸は預けたくない。てゆうか触らせたくもない。

「あ、すみません・・・。見える状態じゃなく、締まってもらえればよろしいので・・・。」

シュンとしたシグニがまた謝った。いや、無理言ってるのは俺なんだけどね。

シグニの目の前で阿修羅丸を宝物庫に入れる。シグニが頷いたのでこれでいいんだろう。

「ありがとうございます。・・・それでは。」

そういってシグニが言葉を切った。

「リード様をお連れしました。よろしいでしょうか?」

と扉をノックした後にシグニがよく通る声で扉の向こう側にいるだろうケンプ様とやらに届く声で言う。・・・結構大きな声も出せるんだな。

「通せ。」

「失礼します。」

扉の向こうからひどくぶっきらぼうな声が聞こえ、シグニがそれに答えて扉を開いた。

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