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外伝5

「んー、いい天気ですわー。」

馬車に揺られながら帰り道を満喫する。

アトラス王から直々に顔を見せろ、との御呼ばれを受け、レイニーは気乗りしなかったがちょっとした気分転換もかねていた。

転送石を使えば一瞬で済むのだがあえて馬車で行くと、ティスカ公爵やマーカスに宣言し、ダメなら行かないと言い放ち、今回の旅行を勝ち取っていた。

「姫様にも困ったものですな。」

「それが姫様のいいとこじゃないんですか?」

マーカスとウォードはレイニーについて話している、人気も実力もあるのだがたまにこんなわがままを言うので困っていた。

「たまにですわ、それにこのところマーカスも部屋にこもりきりだったじゃない。気分転換ですわ。」

「私はいいのです。仕事ですので。」

「部下の体調管理がわたくしの仕事ですわ!…あっ、鳥さん。」

「私は姫様の部下ってわけじゃないのですが。」

マーカスの言葉を無視しながらぴゃーぴゃー鳴く鳥を眺める。

「珍しい鳥ですわねぇ。」

空を眺めながらそうつぶやいた。


「…!!姫様つかまってください!」

マーカスがそう叫んだ瞬間に火の玉が飛んでくるのが見える。

「魔物ですの!?わたくしも…!」

「いけません、馬車に隠れててください!」

火の玉が馬に直撃する。衝撃で馬車が揺れるがレイニーはそれをものともせずに飛び出そうとする。

するとわらわらと周りからゴブリンウォーリアが出てくるのが見えた。

「くっ、ウォード!そっちは頼んだぞ。」

「わかりました!」

二手に分かれゴブリンウォーリアを迎え打つ。

ウォードはまだ若輩者だが防御に徹すればゴブリンウォーリアには負けはしないだろう。

しかし数が多かった、4匹いるゴブリンウォーリアが二手に分かれる。マーカスも1対1なら圧倒できるが2匹相手だと少々時間がかかってしまう。

「ウォード、すぐに行くから耐えるんだ!」

「くっ…。なるべく早くお願いします!」

「わたしくしも戦いますわ!」

「ダメです!逃げてください!」

「逃げるなんてそんな…ウォード!危ない!」

先ほどと同じ火の玉がウォードに向かって飛んでいく、ウォードが慌てて躱すがその隙をつかれ、ゴブリンウォーリアの攻撃を受けてしまう。

少し離れたところにゴブリンメイジが立っている。最初の魔法を撃ったのもあいつだろう。

「グッ…。」

「ウォード!くっ、俺が相手だ!」

ウォードに向かっているゴブリンウォーリアの一匹をマーカスは引き付ける。これで実質3対1、いくらマーカスでも防御にまわるしかない。

「…姫様、お逃げください。近くに村があるはずです。救助を求めてください。」

「それはいけませんわ!二人を見捨てるなんて!」

「防御に徹すればまだまだ耐えられます。」

「そうです…。俺もまだまだやれますよ!」

ウォードもキズを負いながらも必死に耐えている。どう見ても長くは耐えられなかった。

(誰か…!誰でもいいから助けて!)

レイニーが空に願う。シュッ と風を切り裂く音と共にその願いは叶うことになる。

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