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もうそれから姉ちゃんから怒られっぱなしですよ。
世話になった人に何してんだって。
はい、ごめんなさい。
「まぁ、今回はリーに直接の話だったから口出ししなかったけど。7騎士が出てくるなんて相当ねぇ。」
「あぁ、それそれ。母さんその7騎士ってなんなの?俺詳しく知らないんだけど。」
「私も詳しくはないけど・・・。アトラス国の実質トップ集団ね。権力的には王様の下ってとこかしら?国の為に動いてるらしいんだけど・・・。今回は個人的な要件だったわね。」
「え、滅茶苦茶えらいじゃん。・・・めっちゃタメ口聞いてたし、挑発しちゃってたんだけど?」
「まぁ、実際にそこまでの権力があるわけじゃないわ。ただ、実力で地位を与えられてるわね。・・・つまり、武力専門の国の勢力ね。」
「名誉会員みたいなもんか?・・・確か武器が皆違うんだっけ?」
「そうね、それぞれが一匹狼みたいなもので。剣、槍、鞭、棒、斧、弓、最後の一人はわからないけど、皆武器が違っているって話は聞いてるわ。」
何それめっちゃかっこいいじゃん。
「ディムルって人は槍の人?」
「そ、【死線】のディムルね。まぁ、意味がよくわかる二つ名よね。」
やっぱあれ二つ名か。どちゃくそかっこいいんだけど?
「まぁ、アトラス国がちょっと複雑に出来てるってのがあるのだけど。王を頂点として、7騎士と魔法団がその下についてる訳ね。・・・まぁ、そんな人に声をかけられたってことね。」
「いやー、マジかー。だったらあれだよな。そりゃ普通ならこんな田舎に住んでる子供なら二つ返事でついていきますわ。」
まぁ、しらんかった俺としてはそれが?って感じだったわけだが。
「まぁ、マスターが疎いのって今に始まったことじゃないですし?」
「リーはちゃんと勉強しなきゃダメだよ!」
「いや、優先順位があるから・・・。」
まるで俺が勉強してないみたいな言い方を・・・!めっちゃしてるし、流行の楽器とか?武器の形とか?魔物の事とか?・・・すまん、あんまり勉強してないわ。
「じゃあ、私皆に挨拶してくるね!お父さんとミューは仕事してるだろうし、後にするね!」
「いってらっしゃい。お昼はどうするの?」
「んー、適当に済ます!夕飯までには帰って来る!」
俺を叱り終えた姉ちゃんが村の方に行く。まぁ、本格的に向こうで暮らすんだろうし挨拶はするわな。
走っていく姉ちゃんを眺めながら見送る。
「・・・んで母さんさっき誰に魔力飛ばしてたの?」
「んー?お父さんによ?ちょっと頼みごとがあっただけよ。」
「あぁ、そうなの。」
あのタイミングで?・・・まぁ、完璧に返されたのでこれ以上追求しないほうがいいか。
「ていうか、シェリーの事全然気が付かなったな。」
「まぁ、これでもちゃんと人並みに魔力は抑えてますし。よほどじゃない限りバレませんよ、私は。」
ちょっと最後トゲがある気がするんですがそれは。
「エルとルク、昼食の準備を手伝って欲しいのですが。もう訓練は終わりましたか?」
「あ、はい。今向かいます。」
「はーい、今行きまーす。」
ミューが家から出てきてエルとルクを呼ぶ。
もうそんな時間か、・・・あんまり訓練してなかったな。まぁしょうがない。
そろそろメルが帰って来るかな?
今日は午前から雷風と狼達をつれて俺のお気に入りの場所に散歩しにいってるので距離的にはそろそろだろう。ちょうどいい場所にあるから教えたんだが気に入ってもらったので嬉しかった。
「・・・とりあえず敵対行動取らない限りはほうっとこうかな。」
「まぁ、そうですね。流石にあれ見た限りでは取らないと思いますが。」
なんとなしにシェリーにそう言っておく。とりあえず威嚇としては十分だっただろう。下手に突っついてくれない事を祈るしかないな。
・・・俺ネトゲ時代から今もずっと祈ってんな。
「はー、そんなことがあったのか。お前はいつも重鎮に目をつけられるな。」
「いや、笑い事じゃないからね父さん。」
「いや、父親としては誇らしいぞ?まぁ、経緯があれだとしても、多少はな。」
昼間あったことを父さんに話したらめっちゃ笑われた。
多少はその危機感を持ってもいいと思うんですが。
「まぁ【死線】なら大丈夫だろ。」
「ん?父さん知ってんの?」
「あぁ、いや。・・・悪い噂は聞かないからな。」
「そうなん?・・・まぁ、多少踏み込んだことしたけど。あっさりと手を引いた感あったな。」
「ま、リーが見たまんまだと思うよ。」
てことはまぁ大丈夫ってことか。噂ってのは結構馬鹿にならんからな。火のないところになんとやらだ。
「まぁ、それより。今日はどうだったの?」
「ん。あぁ、それについてだが。ヒューイ達のあの武器、お前の仕業か?」
「自信作です!」
「あー、やっぱりそうか。・・・まぁ、いいんだが。随分と尖った方向性の武器だな。」
「いや、元々ヒューイ達はメルを入れて4人でセットにして考えてたから。」
「・・・なるほど、てことはメルが遠距離か?」
「そういうこと。・・・チームワークはどう?」
「まぁ、まずまずと言ったとこか・・・。ヒューイはよく合わせているな。ロイも慣れてきてはいる。・・・まぁ、ハピはな。」
「あぁ、やっぱりあれ制御出来ない?」
「いや、下手に制御するよりも自由にやらせたほうがいい。こっちで合わせるのがいいと言うべきか・・・。」
「なるほど・・・。迷惑?」
「いや、そんなことはないな。実際に成果はあるわけだし。ちゃんと言う事は聞くからな、周りがわかってるなら結構な戦力になる。」
かなり心配だったが父さんがこう言うなら大丈夫なんだろう。こういうとこで嘘は付かないし。
「・・・実際メルが戦えるようになって、パーティを組ませたらどうなるか。楽しみだな。」
「まぁ、下手な奴らには負けないくらいには訓練してるからね。てことで、休憩終了!おら、さっさと立てや。」
それまで小声で話をしていたがやめて大声で指示を出す。
目の前には大分息が整ってきてはいるがまだ倒れたままの四人組。
「クソが・・・。」
「ま、待って・・・。水・・・。」
「むーりー、立てないー。」
「はぁ・・・はぁ・・・。」
四人とも違う反応でよろしい。
ヒューイがのそりと立ち上がるのを横目にロイに水袋を投げ、ハピを持ち上げる。・・・メルは頑張って自分で立とうとしてるな。えらいぞー。
「むりむりむりむり。」
「さっさと自分の足で立てや。・・・おい、こっちにもたれかかんな。」
脇の下に手をいれてハピを持ち上げたんだがそのままこっちに倒れようとしてくる。
「めんどくせぇな。・・・つうか、汗臭いんだけど。」
「わ!・・・なんでそうゆうこと言うかなー!」
いや、素直な感想なんだけど。なんかいい感じのシュチュエーションなのにぜんっぜんドキドキしないんだけど。
「立てるじゃねぇか。さっさと構えろ、次は俺が5分くらい相手すっから。」
「もー!!」
さっと飛び退いたハピを構えさせる。さっきまで父さんが相手してたので次は俺の番だ。
「とりあえず、退却戦を想定。こっからあの辺まで陣形崩さずに後退。・・・ほら、いくぞっと。」
回りを見渡して準備が出来たのを確認して、簡単に指示を出して俺も構える。
まぁ、夕食後の腹ごなしにはちょうどいいな?後で汗も流せるしな。




