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それから数日は何もなく過ごした。

何もないってのは特別に俺が動く事がないってだけで普段やってることは皆欠かさずにやってた。

てゆうか俺の場合普通に過ごすってのが如何に困難なことか・・・、何かしら動いてないと気がすまないし。

それで狼達の名前が決まったらしい。

母狼がラフィー。子狼がサンヨとイチ。

・・・一応お兄ちゃんの方がサンヨで弟がイチだ。なんでこうなったのかはよくわからん。

まぁそれでもちゃんと名前を認識してくれて呼べば来てくれるし、流石に慣れてきたのかのびのびと暮らしてくれている。

ラフィーの方は徐々に行動範囲を広げてる様で村を普通に闊歩しているくらいだ。もちろん、うちで飼ってるってのは周知の事実になってるので問題はない。

首輪替わりにちゃんとスカーフも巻いてあるしな。ラフィーは紫、サンヨとイチは唐草色?っていうのかな、薄い緑っぽいやつ。似合ってて可愛い。

そろそろ猟犬として狩りに連れてってもいいかもしれんな。


「そういえば、今日お姉ちゃん帰って来るわよ?」

「は?いや、何急に。」

「連絡あったのよ。今日帰ってくるって。」

魔法の訓練中に母さんが急にそう言ってきた。

今まで姉ちゃんの話題を全然出さなかったのは多分ボロが出るのを恐れてたんじゃねぇかなぁ。俺達もあえて聞かなかったんだが。

「そうか。・・・母さん達はもう結果知ってんだよね?」

「まぁね。お姉ちゃんが自分でリーに報告するって言ってたから言わないわよ。」

それがもう合格してますって言ってるようなもんだが。まぁ、姉ちゃんの口から自分で言いたいんだろう。

「・・・私達はいつも通りでよろしいのですか?」

「いいわよー。ラニは別に気にしないと思うわ。」

「久しぶりにラニ姉ちゃんに会えるの楽しみだなー。」

「・・・どんな人なの?その、お姉ちゃんって・・・。」

皆自分の魔法を作り出す合間にお話する。

「マイペースよねー。あの子は。」

「リー君と違ってブレないでまっすぐ歩いてるって感じだよねー。」

「まぁ、俺とは似ても似つかない性格だなー。優しいし、見守ってる感強いし。」

口々に姉ちゃんのいいとこを言って行く俺達、天使だし。まぁ、贔屓目に見てますけど?家族ですし。

「魔法の腕も母さんと同じくらいだよね。」

「んー、技術ではまだ負けないと思うけど。その他はもうきついわねぇ。」

母さんが笑いながらそう言う。

「私はまだまだ叔母さんに勝てそうにないなー。・・・これでも成長してると思うんだけど。」

「ふふふ、まだまだ負けてあげれないわねー。これでも私もまだ成長してるしね。」

フランがちょっと悔しそうにそう言うが母さんは魔法使い専門だしな。

・・・まぁ、未だに魔力が上がってるし。やっぱりうちの家計って魔法使いに向いてるんちゃう。

「・・・まぁ、ここに二人も化物クラスがいるから威張ってもカッコ悪いけどね。」

母さんが苦笑しながら俺とシェリーを見る。いや、そう言われましても。

「・・・流石にこの二人は除外でしょ。比べたらダメだよ。」

「妖精と人族か怪しい二人だもん、無理がある。」

フランとルクがそんな事言うのをシェリーと二人して口を曲げて反論する。

「マスターと一緒にされるのは嫌なんですけど。」

「いや、人族やし。」

「大体あれですよ?私の魔法はちゃんと考えてやってますから。」

「いやいや、それだと俺が何も考えないで魔法やってるみたいじゃないですかー。心外ですなー。」

まぁ、大体何も考えずにイメージでやってるんですけどね。

「・・・まぁ、そんなことが出来るのはリーだけよ。」

「そうそう。マスターの魔法は雑に繊細ですから。」

母さんとシェリーが皆に言い聞かせるようにそんなことを言う。失敬な、魔力の消費に目をつぶればシェリーもできるだろうに。

「見てると器用にやるなーって感じだけど?」

「それは無理やり綺麗に見せてるだけですよ。」

「・・・そうなんですか?」

「・・・まぁ、言うて見た目とか格好とかにはこだわってますけど。」

「ほらね。この子は余分なことに魔力を使うのよ。」

いやだって大事じゃん?余裕がないときはそんなんなりふり構ってられんけど、余裕あるんだもん。そりゃするよ。・・・最近魔力使い切るのくっそきついんだぞ。

そういうとこにも魔力使うから成長するんすよ。・・・まぁ、効率はよろしくないけど。

「・・・話が脱線したわね。ラニはまぁ、会えばわかるわ。」

「まぁ、そうだな。会えばわかる。」

天使ってのがわかるよ。

「そうですか、楽しみですね。」

「んー、ラニさんって呼べばいいかな。」

エルとルクがそんな事を話してる。まぁ、その辺は会ってからにしてください。

今は魔法の訓練の時間っすよ。そっちに集中しようぜ。

「まぁ、俺もそろそろ新しい魔法でも考えるかなー。皆魔法の腕上げてるし。」

「また滅茶苦茶な魔法作るんですか?やめてくださいよ。」

「リーの魔法は規模が大きすぎるのよ。何よ、あの水龍の奴。なんであんなの作ったのか本当にわからないわ。」

ちょっとつぶやいただけなのにシェリーと母さんに突っ込まれた。まぁ、確かにそうだけどさ。

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