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「だってさ。よかったやん。」

「・・・まぁ、俺も伊達に商人の真似事をしてた訳じゃないからな。」

複雑そうな顔でトニーが言う。

「・・・未来ある若者はいいですね。さて、準備が整うまでの間今回の取引についてお聞きしてもいいですか?・・・もちろん、よろしかったらですが。」

「はい?なんですか?」

「今回の取引、前の持論と食い違っていますが・・・。」

「あぁ、・・・そうだ。そのついでですが、転売って可能なんでしょうか?」

「転売・・・?ですか。」

まぁ、今回の取引はゴルスクにとって疑問になったんだろう。前に俺が語ったのと逆な事してるわけだからな。

まぁ、隠しててもあれだしぶっちゃけることにする。そもそもこの世界転売可能なのか?転送石でどこでもいけるわけだし、でも剣に加工して売るんだからどのみち利益は出るんだけどな。

「もちろん、商人の基本ですから出来ますが。・・・まさかあの鉄を?」

「まぁ、そういうことになりますね。」

「ふむ・・・。鉄、もしくは鉄製品は難しいと思います。消耗品ではありますが、需要に供給が追いついてないと言う訳ではないので。もちろん、地域によって様々ですが基本的に一定の価格で取引されてるでしょう。」

はえー、そうか。確かに言われてみればそうだな。

「紛争地域であればまだ違いますが・・・。その場合も鉄そのものよりも加工したもの、さらに言えば食料などのほうが価格があがりますね。・・・戦場でわざわざ料理屋を開くのもいるくらいですからね。」

おいおい、たくましいな。・・・てゆうかこれはあんまり儲からないって事だな?

「・・・仮定の話ですが。もしあれらの鉄を剣などに加工して売ったとして、出来上がりの質によりますがよくて金貨40枚・・・。もちろん、加工の費用などは省いてです。正直わりに合いませんね。」

あれ結構いいじゃんって思ったけど、加工費とか抜いてそれなのか。

買い取ってくれるとこ探したりするのにも時間がかかるわけで、そう考えたらあかんのやろな。

俺の見通しが甘すぎたな?でももう止まれねぇけど。

「わかりました、ありがとうございます。」

「・・・その様子では取引をおやめになる気はないのですね?」

「えぇ、まぁ頑張ってみようと思います。」

まま、少しでも儲けりゃええわ。てゆうか全部俺がやるんだし、材料費以外はタダみたいなもんだし。それなら全然採算はあうわ。

「そうですか。・・・おまたせしました。準備が出来たようです、こちらです、はい。」

ちょうどメイドがゴルスクに準備が出来たのを伝えたんだろう。

「よっしゃ行くぞ。」

「・・・まだ連れ回すのかよ、勘弁してくれ・・・。」

「いいじゃん、いいじゃん。」

トニーを連れて俺も後に続く、実際知り合いがいると気持ちが楽になる。

旅は道連れですよ。


「こちらが商品になります。お確かめください。」

「・・・結構多いなこれ。」

「当たり前だろ、金貨5枚分以上なんだから。」

でっかい倉庫みたいなとこに案内されて、そこの広間に鉄の塊がゴロゴロと広がれていた。

ザッと見て別に不備がなさそうなのを確認する。

「はい、大丈夫です。・・・これが残りの金貨です。」

「もうよろしいので?・・・はい、確かに。これが契約書になります。」

もうちょい確認に時間かけてもよかったかな?まぁいいや。

契約書もエル達の時と同じ様な感じだったので大丈夫だろう。確認してサインを交わす。

「はい、これでいいですか?」

「・・・はい。では交渉成立です、はい。」

よし、大丈夫だな。

とりあえず鉄の山をどんどん宝物庫に放り込んでいこう。

「あっ、もしよろしかったら料金がかかりますが人を雇って・・・、え。」

「え?あぁ、大丈夫ですよ。これくらい。」

ひょいパクって感じでどんどんしまっちゃうおじさん。

「お、おい。お前どれだけ宝物庫に入れれるんだ・・・。」

「え?・・・あっもしかして普通こんな入んねぇの?」

やっちまった感、いやマジか。容量知らんけど普通にまだまだ入りそうだけど。

てゆうか元々丸太とかトン単位で入ってるだろうし、他にもまだまだあんぞ。

「普通こんな入んねぇって言うか・・・、マジかお前・・・。」

「・・・いや、まぁ、これが限界だよ?」

トニーが若干顔を青くしながらそんなことを言ってくるのでかなり異常なんだろう。

・・・あぁ、だからあれか。ティスカ公とかは宝物庫に普段の武具とか入れてなかったし、ヒューイ達もテントとかは普通に馬車に積んでたわけだな?合点がいったぞ。容量の問題で本当に必要なもんしか入れてねぇんだな?緊急時の武器とか、日常でかかせない物とか。

「ま、まぁ、お客様のプライベートなので余計な検索はしませんが・・・。」

「・・・昔から魔法の腕前は凄いって聞いてたけど、魔力の許容量が凄いのか・・・。」

「トニー、余計な事は口を慎むように。」

「あ・・・、すいません。軽率でした。」

「あぁ、気にしてないですよ。」

一応そのへんはタブーなんだろう。一定の距離感を保って取引はしたいだろうしな。お客がどんな奴であっても金があれば客・・・とまではいかんが、一応俺はちゃんとした客だろうしな。

「・・・なるほど、それなら少し費用が抑えれますか・・・。ふむ・・・。」

「・・・ではもう行きますね?」

「あぁ、すいません。・・・よい商談でした。」

「こちらこそ。・・・おし、じゃあトニーも頑張れよ。なんかあったら手紙でもなんでもよこせよ、駆けつけてやっから。」

「・・・ん、お前も頑張れよ。・・・何してるかわかんねぇけど。」

トニーと拳を合わせて挨拶をかます。まぁ、今でも十分トニーは頑張ってるだろう。

「あぁ、そういえば。エルとルクはよくやってくれてますよ。選んだのがここで、あの子達でよかったです。」

去り際にゴルスクにそう言っておいた。

驚いたような顔したゴルスクだったがすぐににっこりと笑って頭を下げていた。

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