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外伝8

はい、これ普通に入れ忘れてました。

しばらくしたら指定の箇所にぶち込みます。

ティスカ公国の片隅、この国に一つしかない馬屋で二つの命が生まれた。

それは父親こそは一緒だが、母親は違ったが生まれた時間がほぼ同じ。

その時の馬屋は大層てんやわんやの大騒ぎであったが無事に生まれた二頭の馬はまるで兄弟の様に育てられた。

元々この馬屋はティスカ公の元にも送られる程の馬を育ててきた、そこで生まれた二頭にも当然同じ様に育てられて来た。

二頭もお互いを兄弟の様に慕っており、目を離すと二頭が固まって行動してるのがしばしばあった。

ただ、二頭の馬はそこまで血筋も能力もよくなく、城に出すには不向きと考えられ、一般で売ることを目的とされた。


「結構大きい所ですね。」

「へぇ、公爵様の所にも売ってますので、質は保証しますよ。」

「・・・なかなか見ない光景だな。」

二頭の馬が居る馬舎に声が響く、一人はここを仕切っている馬主だ。

もう一人は若い女の声で、柄が悪そうな男を連れていた。

「結局どのくらいの馬車になりそうなの?」

「あー、一頭でも引くことは出来そうだが・・・。」

「・・・リード君の事を考えるとまぁ二頭いたほうがいいでしょうね。」

「そんなに大きな馬車なんですか?となると軍馬でも問題なさそうですね。」

お金をもってそうな気配を感じたのだろう。馬主がここぞとばかりにいい値段のする馬を勧める。

「・・・とりあえず、ここから見せてもらうわ。」

「はぁ、かしこまりました。」

「・・・俺は馬なんてわから・・・わかんないですよ?」

「あぁ、リード君と接するような言葉使いでいいですよ。変に気持ち悪いので。」

「・・・そうか、わかった。」

言葉を交しながら男女が馬舎の中を歩いて行く。

その様子を馬達はおとなしく見ていた。

「・・・全然わかりませんね。どれも一緒にみえます。」

「まぁ、そうだろ。・・・聞くか?」

「・・・まぁ、少し乱暴ですけどこうしましょうか。」

そう言って女の方が馬主の方をチラリと横目に見る。

馬主が視線が女の方を見ていないのを確認し。

瞬間、馬舎の中を耐え難い恐怖が駆け抜けた。

「お、おいおい!お前らどうしたんだ。落ち着くんだ!」

一斉に馬達は暴れるように後ろの壁際まで下がっていった。

「うわ、えげつねぇ・・・。」

「こんなものですか・・・。あら、あの二頭は?」

未だに暴れてる馬達を横目に女が馬舎の中を歩いて行く、その後ろを男も続いていく。

そこにはお互い少しでも近寄ろうと壁越しに身を預けてる二頭の馬がいた。

「怯えてる・・・、のは間違いないですけど。・・・、この二頭はなんでこうなんですか?」

「あぁ!?ちょっと待ってくれ、それどころじゃねぇんだ!」

馬主は暴れる馬達を大人しくさせるのに必死なようだ。

「・・・やりすぎましたかね?」

「なんだかんだ言って似た者同士なんじゃねぇかな、あれと。」

「むむむ・・・。」

若干へこんだ様に見える女を怯えた瞳が4つその姿を捉えていた。


「んー、なんで急に暴れだしたんだか・・・。あぁ、その二頭は兄弟みたいなもんだな。生まれた日が一緒で同じ様に育ってきた二頭だな。」

「そうなんですか、・・・この二頭にしましょうか。」

「即決だな、おい。」

「まぁ、気に入ったと言いますか。ちょうどいいでしょう。」

「はぁ、この二頭でよろしいんですか?個々の能力としてはちょいと劣ってますが・・・。」

「構いませんよ。馬車が引けるなら問題ないです。」

「それは保証しますがね。・・・わかりました、ちょいと準備しますので。・・・馬具一式もこちらで?」

「はい、お願いします。・・・ヒューイ、お金は足りますか?」

馬主がその場を離れて馬具一式などを準備しにいく。

「足りてしょうがないな。」

「そうですか。・・・では残りのお金は経費として持っておいていいですよ。どうせリード君は忘れますし。」

「おいおい、適当すぎるだろ・・・。返せって言われたらどうするんだ?」

「どうせ旅の準備もろもろはヒューイ達を宛にするでしょうし、それの足しにするとでも言えばいいですよ。」

「あいつ本当に金に困ってねぇんだな・・・。」

「困ってないと言うより無頓着なんでしょうね。」

「・・・金を持ちすぎるとそうなるのか。」

「いえ、あれはリード君だけですよ。曰く、金は貯めてもしょうがねぇ、更新する要素が少しでもあるなら金に糸目をつけるな。らしいですから。」

「・・・すまん、意味がわからねぇ。」

「私も意味はわかってないですよ。」

そうしたやり取りを2頭の馬が見ている。そして、同時に先ほどのは本当にこの女が発したものだったのだろうか、と疑問を持ってしまう程に穏やかな笑顔を浮かべていた。

しかし、この二頭はすぐに思い知る。

これよりも大きな恐怖を、そして強大な主の姿を。

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