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「久しぶりに家に帰ってきたのに中に入るのに半日かかった件について。」
「誰も邪魔してないですよ。」
「・・・確かに?てゆうか流石にせめぇな・・・。」
「まぁ人口が一気に元々の2倍以上になればそうなるわよね。」
「・・・夕飯は外で食べるか。リーが椅子とか用意すればそこまで手間じゃないだろう。」
「・・・シェリーやっといて。もう今日働きたくない。」
「はいはい、別にいいですよっと。」
夕飯まで時間があったので家族の団欒をさせてもらう。まぁ、ミューは今もまだエルとルクに色々な説明してるのでこの場にいないのだが。ついでに料理の準備もしてるっぽいので邪魔をしてはいけない。
家の中のリビングの椅子が圧倒的に足りないので俺がまた残業をして簡易的な椅子を作り、リビングに並べたがくっそ狭い。
元々来客が来た時にも使ってた部屋なので広かったが流石にこれ以上は物が置けない。
シェリーが窓際に行き、外に向かって魔法を使う。
「椅子は中の持ってけばいいですよね?」
「そのほうがいいな。そんな手間じゃないし。」
「相変わらずあなた達の魔法はトンデモないわね。」
「あの馬小屋数分で作れるなら村の修復頼んでもいいか?悪くなってる建物がいくつかある。」
「うん、いいよ。村の為なら時間あけるし。」
あー、家に帰ってきたって感じがする。
こうやって部屋で夕飯の準備を待ちながら雑談するとか心が落ち着く。
「なんかリードの雰囲気が違うね。」
「両親の前だからだろ。いつもみたいに傍若無人って訳にはいかねぇだろうしな。」
「・・・こう見てると本当に年相応の子供に見える。」
「・・・。」
そこの人達聞こえてますよ。
「はっはっは、さっき話には聞いたけど随分違うだろ?小さくてもなめられないようにしてたんだろうな。」
「ちょっと父さん!俺の居る前でそういう事いうのやめて。」
「私達の前じゃ優等生だものね?」
「母さん・・・、やめて・・・。」
これは恥ずかしいですよ。シェリーも笑ってんじゃねぇよ。
「どっちかって言ったらあっちの方が素のような気もしますけどね。」
「どうだろうな?友人への付き合い方はあっちの性格のが素って感じか?」
「あー、確かに。そう言った方が正しい気がしますね。」
「ちょっとこれは恥ずかしいですよ!」
「変な言葉使いになってるわよ?」
家族にガッツリといじられる。
「・・・これがあのティスカ公と対等に話してたんだよな。」
「あの人偉いのか分かんなくなってきた・・・。」
ハピとヒューイがそんなことを言う。確かにあれは偉く見えないね、・・・偉いっけあれ。
「そりゃあ、あの人が本気で戦ってるところ見たことない人は皆そう言うからな。」
「えっ、父さん見たことあるの?」
「あー、昔ちょっとな。今でこそ、領地もらって公爵って立場もあるからな。・・・昔のあの人はいつもギラついてた印象があるな。・・・まぁ、そうでもないと一代で公爵なんて立場には成れんよ。」
「へー、めっちゃ気のいいおっさんだったけどなー。」
「・・・リー、ティスカ公はよかったかもしれないけど、普通の貴族にそんなこと言ったら処罰されても文句言えないわよ?」
「うん、そりゃティスカ公だからこそ言ってる。」
あの人以外の貴族と付き合いは持ちたくないわ。絶対めんどくさいし。
「まぁ、貴族にも色々いるから気をつけないといけないぞ。特にリードとシェリーは、な。」
「私もですか?」
「当たり前でしょう?・・・私達はあまり詳しくないけど、シェリーや銀ちゃん以上の使い魔がいる気がしないわ。」
「まぁ、確かにそうですが。・・・どのみちマスターをどうにかしない限り私もどうにもなりませんよ。」
「まぁ、シェリーはリー以外には使役されないだろうしな。」
「俺の言うことさえ聞かねぇ時あるしな。」
「マスターの言うこと全部聞いてたらどうにかなっちゃいますよ。」
なんだろシェリーが俺とか他の人の言うこと素直に聞く姿が浮かばないんだが。
「食事の用意は外でよろしいですか?」
「あぁ、よろしく頼む。・・・さて、皿出しくらいは手伝うか。」
「あ、あなたは休んでていいわよ。私が行くから。」
「じゃあ、私も行きますか。ついでに机の微調整もしたいですし。」
さっきの会話を少し聞いてたんだろうルクが父さんに聞いてるが、まぁ、うん。
母さんとシェリーが台所の方に行こうとする。
「あ、私達がやるので大丈夫ですよ。」
「まぁ、そう言わずに。皆で一緒にやったほうが早いでしょう?まだ慣れてないでしょうし。」
「そういうことです。」
ルクがやんわりと断ろうとするのを母さんとシェリーが気にするなと言った感じで食器を外に運ぶ。
「・・・俺達も手伝ったほうがいいか。」
「まぁ、今日はお客様って事でいいじゃないか。」
「そうっすかね?」
「ん、お客様って立場初めてかも・・・。」
「言うて君一応城に来たときその立場になってるからね?」
「あっ!そういえばそうだった!」
「まぁあれは嘘で手に入れた偽りのお客様だったけどな・・・。」
「い、いいじゃん別に!」
「その話は気になるな。」
ハピをからかってやると父さんが興味を示してきた。
「あー、俺の仲間とかでっち上げて言って城の中に案内されてた。」
「ほー、よくそれで城の中に入れたな。」
「あんまり怪しまれなかったよ?バトルウルフの事とかリードの名前出したら案内されて・・・。」
「まぁ、それなら俺の関係者と思われるわな・・・。」
「・・・リーの城での働きが気になるな。あんまり自分の事を話さないからな。」
「いやいや、めっちゃ仕事してたよ?・・・ほんとだって!」
「いや、疑ってはいないんだがな。その仕事の内容が気になるんだが。」
「あーっと。何やってたっけ・・・。レイの訓練と新兵の訓練と、あと城の修繕とか雑用か。」
「そんなことまでやってたのか。姫様の訓練だけだと思ってたが。」
「雑用までやってんのか。」
「だって一応居候みたいなものだし・・・。時間あれば色々やるよ。」
今までそういうこと言ってなかったから父さんもヒューイも驚いてる。
言うて私は謙虚に生きてますよ。
「そういえばお城出る時にメイドさん達にめっちゃ感謝されてたね!」
「あー、そういえばそうだったな。」
「そうそれ!!あれが俺の仕事の成果っすよ!!」
「ほー、それは良い事だな。うん、誇らしいな。」
ここはドヤ顔ですわ。父さんに褒められるのは嬉しいです。
「こいつは恥ずかしがって自分からは言わないからな。何かあったら言ってくれたら嬉しい。」
「うっす。」
「はーい!」
「えぇ・・・、俺の前ではやめてね。マジで。」
チラ裏でやってほしい。
「さー、そろそろごはんよ。皆移動してちょうだい。椅子も持ってね。」
ちょうどいいとこで母さんがごはんの合図をしてくれる。ナイスカット!




