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「・・・だからね、私達はリーが心配なのよ?いくらリーが色々な事が出来ると言ってもまだまだ子供なんだから。そこはわかってるわね?」
「はい、わかっております・・・。」
「リーがちゃんと連絡とかマメにしてくれるならお母さん達の心配も少しは軽くなるのよ?でもあなたは連絡も説明も下手なのよね・・・。」
「重々承知してます・・・。」
本当に結構な時間説教されてる。
既に父さん達の話も終わって、ハピ達はシェリー達と合流して家を案内されてるだろう。
父さんも母さんと一緒に俺の目の前にいるが母さんが言いたい事を言ってくれてるのか口をはさむ気配がなかった。
「・・・まぁ、そろそろいいじゃないか。」
「そうね・・・。私はもう言うことは言ったわ。」
「なら俺の番だな。」
父さんが助け舟を出してくれたと思ったら選手交代だったでござる。
そのまま父さんが近寄って来て、頭にガツンと拳が突き刺さった。
「いつぅ・・・。」
「心配してた分には届かないが、これでいいだろう。・・・リーもちゃんとわかってるだろうからな!」
ニッコリと笑いながら父さんがそう言った。
確かに今更言うこともないだろう、母さんが全部言ってるだろうし。
「それで本題に入るが、・・・リーを狙ってるって魔族。それはどうなってるんだ?」
「・・・。」
説教は終わりと言うことなんだろう。
これに関しては俺も話しておきたい。母さんも露骨に心配な顔してるしな。
「・・・俺もそれ程接触はしてないからあくまで予測だけど、それでもいい?」
「とりあえずはリーの好きなように話してくれ。」
「ん、わかった。」
さて、どう話すか。
「俺が出会ったのは二人の魔族で、片方はかなりの手練だと思う。もう一人はそれの主で魔王と思われる奴だった。」
「魔王・・・?いや、それはないだろ。魔王が活動してるなんて話は・・・、あの噂・・・。」
否定しようとしていた父さんの動きが止まる。
「いや、多分世間一般の魔王ってやつとは違うと・・・思う。少なくともそいつからは脅威なんかは感じなかった。・・・もう一人のがヤバイかったし。」
「・・・魔王は二人いるってことなの?」
母さんが眉を歪める。
「少なくともそいつが言うには大魔王ってのが別にいるらしい。・・・信じるならだけど。」
「大魔王、か・・・。それで?」
「んでそいつは俺にその大魔王を倒して欲しいんだって。」
「なによそれ・・・。」
「俺もサッパリわかんない。」
「・・・それだけか?・・・まとめると、魔族がリーの力に目をつけ、魔王を倒して欲しいと頼んできた、ってことか・・・。意図がわからんな。それこそ光竜に選ばれた勇者の出番だろうに・・・。リーはそんな事ないんだよな?」
逆に邪竜に選ばれてますよ。
「全くもって。勇者はなんか人族の勇者だからダメとかそんなことも言ってた。」
「・・・ダメね。考えても答えが出なさそうだわ。」
「他に話したことはないのか?」
「んー・・・、それくらいだと思う。」
俺はあいつらの考えてる事はわからん。・・・父さん達もそのようだ。
「・・・考えても仕方がないか。それで、リーはこの件に関してどうするつもりなんだ?考えてるんだろう?」
「ある程度は。・・・まず、相手側に危害を加えようとする意思が全くなかったってのが前提としてあるんだけど。次に接触したら話を全て聞こうと思う。」
「でも魔族よ?敵意がないなんてありえるのかしら・・・。」
「魔族にも色々あるんだろうさ・・・。リーが危害を加えるつもりがなかったと言うなら実際そうなんじゃないか?」
「それなりに気は張ってたからまず間違いないと思う。・・・それでも気を抜くなんてことはしないけど。・・・それで話を全部聞いた上で判断をしたいかな。」
「・・・それがいいかもしれんな。下手に刺激をするのもまずいだろう。」
「はぁ・・・、また心配の種が増えたわ・・・。」
「この件について村に被害が出る可能性がある、それはどうするんだ?」
そこだよな。
「・・・それに関しては全力で阻止するつもり。それこそ俺が招いた事なんだから命をかけ、っう・・・。」
ガツンとまた頭に拳が落ちてきた。
「命に変えてもとかそう言う事は言うんじゃない。・・・村も大切だがな、父さん達にとっては家族の命のが大切だ。・・・あまりこう言う事は言いたくないけどな。」
「頼むから簡単にそんなこと言わないで頂戴・・・。」
母さんの目に涙を浮かべている。
「・・・うん。とりあえずやれることはやるつもり。」
「そうか。・・・父さん達にやってほしい事があるんならちゃんと言うんだぞ?」
「あなたは何でも出来るかもしれないけど、何でもやる必要なんてないんだからね?」
そう言って母さんが俺を抱きしめてくれた。
「うん・・・。んじゃあ、早速なんだけど。母さんにはさっき言ったみたいに魔法を皆に教えて欲しくて、父さんにはヒューイ達に魔物とかとの戦いを教えて欲しい。後、手が足りないかもしれないk、ったぁ!!」
「・・・すぐに調子に乗るのがお前の悪い癖だ。」
またもや父さんのゲンコツをくらってしまった。




