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気配を隠し、森を走る。文字通り木から木へとさながら忍者のように、

「本当にマスターって…。」

「かっこいいだろ?憧れてたんだよなー、こういうの。」

「はいはい、かっこいいですね。」

「素直に褒めようぜ。」

森と道の境界線あたりの木の上で止まる。

「魔物に襲われてるみたいですね、…商人でしょうか?」

「さて、どうだかな。あの騎士みたいなのは結構やるらしいぜ。」

気配を読み数を数えてみる、馬車を守ってる人間が2人とその馬車から出ようとしているのが一人、魔物は5匹いた。

人間のうち一人は怪我をしているようで青い顔をしながら剣を振るっている、よく見たら馬車を引いてる馬も怪我をしていて動けないようだ。

魔物3人相手に一人で頑張っている騎士はそこそこ腕がいいらしく、魔物を寄せ付けない戦い方をしている。後ろにはまだ一匹魔物が控えている。どう見ても劣勢だった。

「さて、やりますか。」

「…私の出番ないようなので休んでますね。」


宝物庫の中から弓と矢筒を取り出す、木で出来たそれは【疾風の弓】と言う名の錬金で作った効果付きアイテムだ。軽い力でも矢が疾風のように飛んでいくらしい。俺には関係ない効果だけど。

矢筒から3本の矢を抜く、こちらも一本一本錬金で作ったその名も【風きりの矢】。風の魔法がかかっていて魔力を込めて目標に当てると風魔法が発動する矢だ。

鑑定で魔物を見る、ゴブリンウォーリアが4匹とゴブリンメイジが一匹だ。ゴブリンウォーリアは前戦ったコボルトライダーより少し強い程度だったがゴブリンメイジはそれよりも弱いが厄介なことに魔法が使えるらしい。多分馬に魔法を当て動けなくしたとこを襲ったのだろう、頭脳派か。

「…いくぞっと。」

一息で3本の矢に魔力を込め、打つ、それと同時に木から飛び降り馬車に向かって走る。3本の矢は ヒュッ と音を立てて飛んでいく。

見事に騎士の相手をしていたゴブリンウォーリアの頭を射抜く、眉間に刺さった矢はそのままウィンドカッターを発動させズタズタに顔を引き裂く、騎士が何事かと周りを見渡す。

それを横目にもう一人が相手をしているゴブリンウォーリアに木剣を振り上げる、今回は水の魔法を使い、木剣を保護している。保護と言うか氷で剣の形作ってるので既に別物であるが…。

袈裟懸けに切りつけ、ゴブリンウォーリアを二つに分ける。

騎士は二人とも何が起きてるのかわかってないようで唖然としている。


「大丈夫か?怪我してるだろ。」

青い顔の男に治療魔法をかけてやる、顔色がみるみるよくなっていき、鎧で見えないが多分キズもふさがっているだろう。

「…君は?」

「____。ファイアーボール!」

「自己紹介はあとで。」

ゴブリンメイジが慌てて魔法を唱えてくるがそれを剣でかき消すように振るう、いや別に遮断してるからしなくてもいいんだけどこの方がかっこいいしね?

「会話の最中に魔法とばしてくるとかいい度胸じゃねぇか?あぁ!?」

言葉が通じてないとわかってるが一応威嚇しておく、すると。


【習得:威圧 説明:魔力によって相手を威圧する。】


おう、久々だなと思いながらも試してみる、ガンを飛ばすようにゴブリンメイジを威圧してみる。

「____!?____!!」

なに言ってんのかわからんけど絶叫してんのかな?

後ろの人達を待たせるのも悪いので一瞬で近づき股下から一気に剣を振り上げ真っ二つにしておいた。


「…ふぅ。」

「…マスター、やりすぎですよ。」

「いいだろ?どうせ村の人じゃないんだからバレても問題ないって、いざとなったら…な?」

「何が、…な?ですか、そんなことするつもりないくせに。」

「わからんぞー、追い詰められたらな。」

シェリーと世間話をしながら馬車のもとに行く。

「…どういうことなんだ?」

「…助かった。」

「何が起こったんですの?」

意味が分からないといった感じの騎士と安堵した騎士、それと馬車から飛び出してる女の子の姿があった。

「あ、助太刀しましたが大丈夫でしたか?」

見た感じ初老な騎士に話しかける。もう一人の騎士は若いらしくマーディと同じくらいだろう。女の子は俺と同じくらいか?

よく見たら女の子すっごいかわいいじゃねぇか、金髪がくりんと内巻きにロールしてるのが似合ってる。

「あぁ…危ないところだった。感謝する。君は?」

「いえいえ、名乗る程の者ではないですよ。森は危険なのであまり近づかないでくださいね。それでは。」

そうそうに身を翻し去ろうとする、後々厄介になりそうだしね?

「お待ちなさい!」

女の子が俺を呼びつけるが無視してスタスタと去っていく。

「姫様…!」

足が止まる、ピタッと。

今聞き間違えじゃないなら姫って言わなかった?

(シェリー、今姫様って言ったよな?)

(言ってましたが…。また何か悪いこと考えてる顔して…。)

どんな顔だよと思いながら振り向くことにする、これはチャンスだ。


「まだ何か?あぁ、そこの人はもう大丈夫ですよ。治療魔法は完璧なはずです。」

「違いますわ!わたくしもお礼を言いたいのです。何か施しを受けたらそれと対等なお返しをしろ、父上がおっしゃってましたわ。」

「別にさっきのでいいんですけど。」

「そうもいきませんわ!わたくしが納得してませんの!」

「姫様。少しよろしいですか?」

初老の騎士が遮る。

「自己紹介が遅れました。私の名前はマーカスといいます。現在…姫様の護衛で自分達の城に帰る最中でした。」

おっしゃ、コネゲット!心の中で叫びながらガッツポ、表情は崩さないように。シェリーやめろその顔。

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