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「えー、僕もリードと同じ武器が欲しい!」
「さっきの話聞いてましたか?マスターに自由にやらせると国宝がバンバン生まれるんですよ。諦めなさい。」
早速ハピがシェリーに宥められている。
ロイはなんとも言えない顔でこっち見てるし、逆にヒューイは勘弁してくれって顔してる。
メルは目が輝いてたけどハピとシェリーのやり取りで次第に収まってった。
「まぁ、俺専用だから本気出してたわけだし?…とは言っても皆の命を守るもんだからそれなりにさせてもらうぞ?」
「…それは私も賛成ですが、くれぐれも加減を間違えないでくださいね。」
「まかせろぃ!」
思いっきりキメ顔でそう言ってやった。
「あっ、ダメそう。」
フランがぼそりとそう言ったのを俺は聞き逃さなかった。
「…こんなもんか。元が鉄だしな、これ以上はちょっと難しいな。」
「…まぁ、及第点でしょうか。込めてた魔力的に。」
シェリーは注意深く見ていたみたいだが、他の奴らは自由にしてる。作ってもらってる本人達は一応見てるが何してるかわかってないだろうな。
元々4人の武器は模擬戦の時から考えていたのでそれを形にするだけ、あっさりと作り上げる。
フラボーの上に4人の武器が鎮座している状態だ。
「ほい、まずはヒューイの短剣から。」
「…滅茶苦茶気が進まねぇんだが。」
作業中も苦い顔をしていたヒューイが苦い顔のまま鞘に収まったままの二刀の短剣を受け取る。
「軽っ!」
「限界まで軽くしてみました!持ってる感覚がないくらいに!」
「いや、お前これは…。」
おいおい、それなりにしては自信あるんだぞ。そんな顔すんなや。
「説明しよう!耐久を下げずに限界まで短剣の重量を軽くし、ヒューイの戦法に合わせて臨機応変にやれるようにしました!!鞘の方が重いくらいには軽いぞ!」
「…。」
ヒューイが無言で鞘から短剣を抜き、その場で軽く振るう。
なんとも言えない顔のままこちらに向き直し。
「確かにイイもんだろうが…、こりゃ慣れるまで時間かかるぞ?」
「かまへん、かまへん。獲物変えたら慣れるまで時間がかかるのはこっちも想定内だ。」
「相当時間かかりそうだがな…。なんにせよ、もらえるもんはもらっておく。ありがとうな。」
「おう!」
困惑顔のままお礼を言われたのはちょっとあれだが、いい事をしたと見ていいだろう。
「んで、お兄ちゃんの方はこれな。」
「あっ、やっぱり俺のだったんだ…。投擲武器…かな?」
「うむ。まぁ短剣として使えんこともないけどな。」
そう言いながらロイに平らな爪状の武器、俗に言うクナイを一本手渡す。
全部で12本のクナイ、大きめのが6本、小さく投げやすくしたものが6本。
「…投げにくそうなんだけど。」
「万能やぞ!まぁ、サバイバルナイフ的な使い方が出来る。」
「…確かに色々と使えそうですけど。」
クナイをしげしげと眺めながらロイがそう言う。
「んで効果としてはな。ひたすら頑丈にしたのと、…ちょっと軽く魔力通してみ?」
「えっ、はい…。あっ、これはすごいですね。」
ロイが少し集中した後にクナイを馬車の床に置いたり、遠ざけたりする。
「魔力通した本人だけがそれの位置を察知出来る効果もつけといた。まぁ、俺とかになるとわかるんだが。…色々と有用性があるだろ?」
「確かに、投げた後に探すのが楽そうですね。」
ロイが感心したようにそう言った。
いや、俺が思ってたんはもうちょい違う使い方だが…。まぁ俺が皆まで言う必要はねぇな、自分で使いこなしてもらわないと。
大小合わせて4本づつ入れれるホルスターもついでに作ったのでそれと合わせてロイに全てを渡す。
ちゃんとお礼を言って腰につけてくれたので満足です。




