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「すまん、無理させすぎたか?」
軽く運動と思いながらもいつものペースでやってしまったら流石に雷牙と風牙がバテてた。
基本的に戦闘の訓練なんてしてきてないので突進など短調な攻撃だったのでそこを指摘しつつ二匹相手に闘牛みたいにヒラヒラ躱していただけだが、時には突っ込んできたとこを逆に利用して投げたりとしてたのでハードだったらしい。
「…銀さんとは。」「いつもこのような運動を?」
「あー、銀がいるときはもうちょいハードかなぁ。」
「やはり…、実力の差が。」「凄まじいですね…。」
「まぁ、銀は元々野生で生きてきてるしな。元が違いすぎるってのはある。とは言っても普通の魔物相手なら雷牙達でも能力でゴリ押し出来ると思うぞ。」
「そうなんですか…?」「急なので今一実感が沸かないですね。」
「強くなってるのはわかるのですが。」「自分達がどの程度かは不明ですね。」
まぁ、そうだろうな。今んとこ俺としか戦ってないわけだし。
その辺のゴブリンとかなら力いっぱい蹴り飛ばしたら穴が空くんじゃないだろうか。
ていうかこの辺りの地面も雷牙と風牙が踏み込む度にちょっと陥没してるからな。
フォーメーションを考えるとしたらまず雷牙と風牙が戦陣を切って走り抜け、その後に銀でかく乱。そんで後は俺達が魔法で仕留めていき、最後は残った戦力を白兵戦で仕留めるってとこか。
大規模な戦いはこれでいけると思うが…、実際俺ひとりでなんとかなるとかそういうのは考えちゃいけない。
少し考え込んでたら雷牙と風牙がどうかしたかと言わんばかりにこちらに寄ってきたので思考を止め、二匹を撫でながら朝食を取るためにテントの場所まで戻ることにした。
「ああああああぁぁ!!!そういえばエルがメイド服で支度してたやん!!なんで俺見てなかったし!!」
既に朝食の準備が出来上がった食卓について膝から崩れ落ちた。
あまりにも普通にエルが着こなしてて普通に準備してたから見逃してた。
「また何か言ってるし。」
「まぁ、病気ですね。」
ルクとシェリーがこちらを冷たい目で見てる気がするが、それよりも見逃したショックのがデカイ。
「そ、そんなにですか…?」
「うぅ…、いや、なんかもうね…。次から頑張るわ…。」
過ぎてしまったのは仕方ない。幸いにもエルとルクも普通にメイド服を着ているのでこれからいくらでもチャンスはある。食事の準備をしているメイド服エルを後ろからのんびり見る作業はまたの機会にしよう…。
その後朝食をおいしく頂き、テントなどの後片付けをして村へと進む。
ちゃんと言いつけ通り雷牙と風牙はペースを落としてくれてるらしい、若干進むスピードが遅い。俺との朝の運動が後に引いてるかもしれないが。
「よーし、俺の感じる範囲で人影なし。…次の訓練を開始しよう!」
ザッと周囲の気配を確認。森の中は相変わらず魔物の気配がするがまぁそっちはいい。進む方向になければいいんだ。
「マスターの範囲ってどれくらいなんでしょうね。」
「ん、そうだなぁ…。大雑把でいいなら森の中腹くらいまでか?」
「あほらしいな…。」
シェリーに聞かれたので答えたらヒューイに呆れられたでござる。
「その分精度とか落ちるけどな。…まぁ、そんなことよりっと。」
ゴトゴトと揺れる馬車から飛び降りて馬車と並行するように歩きながら説明をしよう。
現在、昨日と一緒の位置に皆座ってる。
「魔法の訓練だな。今回は俺に向かって魔法を放つ、より実践的な訓練にしようか。」
「…いいのか、それは?」
「いや、まぁ、危険なんだけど。万が一にも当たらねぇしな。」
「つまりマスターに魔法をぶち当てる許可がもらえた、と?」
「はいはーい、シェリーさんは雷牙と風牙に魔法の使い方教えててくださいねー。」
シェリーが舌打ちをかましてくる。いや、これは皆が魔法に慣れる訓練だから…。
「ご主人様に向かって魔法を撃つんですか…。」
「結構楽しそうね!」
「まぁ、当たんねぇから大丈夫。遠慮してたらその分魔法を便利に扱うのが遠ざかるだけだ。」
不安そうなエルにちょっと強めに言っておく。…ふむ、森から適当な魔物を呼んで俺が魔法で足止めをして、そいつに向かって皆で魔法でフルボッコ作戦もあったけどそっちを選ばなくて正解だったかもしれんな。エルが躊躇しそうだ。
俺の場合、まず体には魔法遮断で当たらないし、その前に全部阿修羅丸で切り落とすつもりだ。前の酔っ払いで検証済みだが、ちょっとやそっとの魔法じゃ反動もねぇしな。
「私無詠唱でやっていいの?」
「あぁ、これは魔法の数こなす訓練も兼ねてるからな。遠慮なく、どんどんぶつけて来てくれ。」
そう言いながら馬車から離れながら距離を取っていく、大体100mくらい取ればいいだろう。
「この辺を馬車と並行しながら歩いていくからどんどん飛ばしていいぞー。」
そう言って阿修羅丸を腰から外し、構える。若干俺の訓練も入ってる。
早速フランのサンドボールが足元に飛んでくる。それをすくい上げるように阿修羅丸で切り上げ、吸収する。フランは俺のこと信頼してくれてるのか、普通にやってくれるな。
「こんな感じで俺に当たる前に全部消すから、遠慮すんなよ。」
実演したほうが早かったかな、これは。阿修羅丸を見てハピが目を輝かせてるがこれは俺専用だからな!触らせもしねぇからな!ヒューイ達は目を丸くさせてたが、大丈夫と確認出来たのか詠唱を開始する。ルクも早速といった感じで、エルは恐る恐るだが魔力を練ってくれてる。
シェリーもしょうがないですねって顔をしながら雷牙と風牙に魔法を教える為にヒューイと場所を交代し、二匹に話しかけている。
うむ、全体的な魔法の訓練になるし、これはいい案を出したな。
ルクの検討違いの方向に飛んでいったウォーターボールを見ながら、やっぱりこうやってコントロールも訓練しないといけないな、と再度思った。




