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「すごいです!リー、強い!」
「危なかったけどな。それでな、フラン。」
「確かに、危なかったですね。」
棒読みなシェリー。
「今日のことはみんなには秘密な!」
「どうして?村に、魔物が出たって、言わないと。」
「さっきのは俺らがここにいたから襲ってきたんだろう。森に近づかなければ大丈夫だから。」
「そうなの?でも…。」
「いいから、森から魔物が出てきて襲われたなんて言ったらみんな心配するだろ?」
「…そうなのかな?」
「そういうことだ。」
「リー君が言うならそういうことなんです。」
シェリーがおかしいフォローをいれてくれる。
「わかった。内緒ね!」
フランもわかってくれたようだった。
「さっきのやつって魔法?初めて見た。」
「そうだな、水魔法の初期的なものだな。」
威力は桁違いだけど、と心の中で続ける。
「かっこよかった、こう水が、バババッて。」
フランが身振り手振りで魔法を表現する。めちゃかわいい。
「…ちょっといいか?」
「…?」
一応断りをいれて鑑定をする。基本的に初対面の相手に鑑定はしないようにしてる、敵とか胡散臭いやつはしらんけどね。
【フランシス=マーガレット】【646:6】【メイン職業:狩人見習い4 サブ職業:村人1、魔法使い見習い1、精霊術見習い1】
HP:27
MP:18 (18)
力:10
敏捷:8
健康:10
知識:7
知恵:6
威厳:3
運:10
【パッシブスキル:嗅覚聴覚強化】
【アクティブスキル:弓術2、調合1、採取2、罠師2、土魔法1、風魔法1、精霊会話1】
なるほど、普通だ。いや魔法使いの才能もあるらしいから優秀なのか?年下か…いいね、妹!
「ふーん、フランも魔法使えるんじゃないのか?」
「使えないよ、私狩人だもん。」
両親の仕事を手伝っているのだろう、手で弓の形を作りうつ真似をする。かわいい。
「…フランは魔法使ってみたい?」
「もちろん!…でも無理。」
どうしてそこで諦めるんだよ!才能はあるっぽいし練習すればいけるはずだけどな。
「フランさえよければ俺が魔法教えようか?うまく教えられるかわからんけど。その代わり弓を教えてくれ。」
フランの顔がパァッと明るくなる。
「いいの!?教えて欲しい!」
「そうか、これも内緒だぞ。」
「いいんですかそんなこといって。」
「いいんだよ。物は試しってことで一つ。」
「知りませんよー。」
シェリーも一応了承らしい。まぁ俺が教えるだけだしな。
「よし、じゃあ帰ろうか。」
「はい!」
「そうですね、早く行ってください。」
フランは明日から楽しみだとばかりにテンションが高い、シェリーは俺の肩に座って命令してくる。どっちがマスターだよ。
その日は村の入口あたりで別れて帰った。
翌日、フランが両親と共に家に挨拶にきた。
一応、昨日村で会っていることにしておいたから昨日のことがバレる心配はない。
フランのお父さんは狩人でマーディの仕事仲間の一員になるらしい、いい狩人らしく、そしてマーディと既に打ち解けてる。
「マーディの息子はイケメンだな、どうだ?うちの娘と仲がいいみたいだし…。」
「ばかやろう、まだ早えよ。うちの息子が優秀だからって今のうちにツバつけとくつもりだな?」
「さぁ?どうだかな?マーディの息子ってことはさぞかし優秀なんだろうな。」
「おいおい、悪い意味に聞こえるぞ。お前の娘もさぞかし優秀な狩人なんだろうな。」
「あぁ、俺の技術を受け継いでもらうつもりだからな、不自由はさせないぞ?」
「勝手に言ってろ。」
本当に今初対面なのって感じで打ち解けてる。と思ってたら実は元々知り合いらしかった。ならこの感じも納得だ。そのつてで村にもきたらしかった。
「こんにちわ、リーの姉のラトニスです。ラニってよんでね。」
「こんにちわ、私はフランシスです、フラン、とよんでください。」
ラニとフランが話をしている。ラニにとっては妹みたいなんだろ。村でも家でもおねえちゃんポジションはラニだ。
両親の挨拶も終わりフラン達は帰っていった。
「可愛い子だったね。」
「そうだね。」
ラニは別格の天使だけどな。と思いながらそう言っといた。
それからは毎日のようにフランと遊んでいた。みんな一緒のときもあるし、ラニとフランとシェリーと俺の4人?の時もあった。
もちろん、二人で特訓することも忘れずにやってた。
フランも経験値と熟練度を2倍まであげるのを忘れずにやっといた。
そのおかげか魔法もすぐに使えるようになったし弓の扱いも最初に比べて上手くなっていった。そりゃ俺のが上達は早かったけどね?
「リーに追いつけるように、頑張らなきゃ。」
「マスターはちょっとおかしいから気にしちゃダメです。」
「シェリーって最初の可愛さどこにおいてきたの?」
既にシェリーは俺が使役してることも話している、これも秘密だ。フランは秘密にすることが好きらしく、秘密と言う度にニコニコしている。
そんなこんなで二人の秘密の特訓は順調に進んでいた。