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「くっ…。」「角はなんとかなくなりましたが…、っ…。」

「油断するとニョキって生えるな。」

雷牙と風牙がシェリーの【妖精特性】や銀の【形態変化】のようにスキルによって大きさをある程度変えれるように特訓中である。

その横で阿修羅丸を引き抜いて手のひらの上で木片を弄びながらその様子を眺める。

「まぁ、銀達は元々魔法とか使えて魔力の使い方わかってたがいきなりは厳しいよなぁ。」

「面目ないです。」「コツさえ掴めばなんとか…。」

どちらも体の大きさが安定してない。まぁ、そんなに急ぐこともない。すれ違う奴らが目を丸くするだけだ。

そんなことを思いながら木片を軽く放り投げ、「…【神速】」と呟く。

視覚を限界まで高めて腕の行方を見定める。

木片がゆっくりと落ちていく様を眺めながら阿修羅丸を振り抜く。

腕がぶれ、遅れて木片に割れ目、その後俺の周りに突風が吹く。

「…本気でやるとやっぱみえんな。」

これじゃダメだ。全然制御出来る気がしない。もう少しスピードを落としてでも安定させないといけない。

実験の結果。通常の状態で【神速】は早すぎて手におえない。半分程のスピードに落としてやっと目で追えるスピードになる程度だろう。俺でさえこれなので普通の人じゃ半分でも目に映らないと思うのでよしとするか。

「しばらくはこれでいいとして、感覚掴まないとな…。」

あとはこのスピードに俺が慣れるだけなんだが、使いどころが全くないとこが痛い。

銀がいるなら…、いやこのスピードだと流石に銀もついてこれるかどうか…。

これは自主練案件ですわ。やることが多すぎて後回しになりそうだが。

「夕食が出来ましたよー!」

エルの元気のいい声が聞こえる。いつの間にかテントも出来上がってるし、フラン達も戻ってきてるみたいだ。

「まずは腹ごしらえだな。…雷牙達って普通の飯食べれるの?」

「はい。」「元々は草食でしたが、使役によって雑食になりました。」

「あぁ、それならよかった。…てゆうかパーティーでも食ってたな。いきますか。」

普通に何も考えずにあの時食べさせてたな。


「あぁ、そうだ。これ渡しとかないと。」

「何これ?」

「…あぁ、あの時の服ですか?」

俺が作ったかまどモドキを囲みながら食事を配ってるルクとエルにメイド服を渡す。

「カチューシャとかまだないんだけどな。」

「やはりこんな素晴らしいのを作業用にするのは…。」

「いいんじゃない?こいつが良いって言ってるし。」

今この二人はお城で働いてた時の服は返しているので普通の町娘みたいな格好をしている。普段着として買ったやつだ。

「やっぱり一目でメイドだってわかる格好しなきゃな!」

「趣味が入ってそうなのが気に入らないけど。…可愛い服だし着なきゃ損だよ、お姉ちゃん。」

「…そこまでいうなら…。」

「ささっ、早速テントで着替えてもらって…。」

実際に誰かが着た所を早く見てみたい。エルもルクも似合いそうだし、エルはもちろん素朴な感じで栄えるだろうし、ルクも黙ってれば可愛い部類に入る。

「えっ!…今からですか?」

「えっ、そりゃそうでしょう。」

「…もう夕食食べたらあとは寝るだけですよね?」

「…、ふぅ…。」

それを言われたら俺も上手い返しがでない。

なのでエルとルクを目の前で膝を折り、地面に手を付けて。

「お願いします!!」

地面に頭をこすりつけた。

「うわぁ…。」

「え、あ、そんな!頭をあげてください!」

ルクがドン引きし、エルも若干引きつつも俺に駆け寄る。

後ろの方でもシェリー達にドン引きされてそうだけど気にしたらダメだ。

ここは恥とか全て投げ捨てる時だ。

「っ…!!全然動かない…。」

「お願いします!!」

エルが必死に起こそうとするが俺としても引くことは許されない。

「…これ着るまで動かないわね。」

「わかりました!着ますから!」

「…ありがとう。」

ルクの呟きを聞き取ったエルが観念したように着ると発言する。

エルから着る発言を勝ち取ったので頭をあげる。

「もう…、そんなことで頭を下げないでください。」

「いや、重要な事だから。」

「はぁ…、もういいから行こう?お姉ちゃん。」

膝についた砂を払いながら困惑したエルと心底呆れたルクを笑顔で手を振ってテントまで見送る。

「いい仕事した…!」

今俺は最高にいい笑顔をしていると思う。

「何やってたんですか?後ろから見てても気持ち悪かったですよ?」

「あれも一種の戦いってやつだ。もちろん俺の勝利だけどな。」

シェリーが顔をしかめながらそんなことを言ってきたので格好良く返す。

周りを見渡すと皆シェリーと同じような顔をしていた。

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