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銀が真下から衝撃を受けて吹き飛ぶ、それと同時に二つの位置からのブレスも途絶えた。

「…、完敗ですね。以前と同じ方法でやられるなんて。」

「いや、かなり厳しかったんだけど…。【分裂】か?」

いつの間にか吹き飛んだ銀が消えて、正面のブレスを吐いていた銀だけが残っていた。

以前銀を使役した時に見たスキルを思い出し、銀に問いかける。

「やはりお見通しでしたか。切り札を使い、奇襲まで仕掛けたのに、軽く対応するとは流石でした。」

「ま、まぁな…。」

いや、実際心臓バックバクだった。ポーカーフェイスを保ってられてるのはひとえに意地だろう。

戦闘中に分裂の事なんて頭になかったし、銀の動きの後手に回ってた感が否めない。

それが銀から見て、余裕を保ってたように見えてたんだろう。

「しかし、主様の切り札と見られる異なる魔法を同時に扱うのも見れましたので我も少しは精進していると感じました。」

「ん、…あれ?普通って使えないの?」

「我も詳しくは知りませんが、主様のように複数の組み合わせで一つの魔法にする。それは以前に見ていましたが、あのように火魔法でブレスを防ぎつつ、水魔法で壁を生成、土魔法でこちらを迎撃。…全てを完全にコントロール、出来る者は少ないでしょう。」

「あぁ、マジか…。そういえば戦闘でそうやってた記憶がねぇな。」

つまり、俺の魔法で言うと。

火魔法と土魔法を合わせた【メテオシャワー】、これは前者。

さっきみたいに片手の先から【ファイヤービーム】を出しつつ、左手を翳し【ウォーターシールド】を形成し、向かってくる分裂した銀に対して【グレイブ】を出す。これが後者だろう。

一つ一つの魔法を単発で連発するのは今までよくやってたが同時に展開するのは確かに初めて見せたかもしれない。

「それにしても、もうちょい戦えたんじゃないか?」

「いえ、分裂すると戦闘力が極端に落ちてしまうので。先ほどの一発で既に満身創痍です。」

普通に地に足を付けて立ってる銀からはそんな感じはしないけどな。俺の心臓のが満身創痍だろう。

「切り札にと、思っていましたがまだまだ粗が目立ちます。動きが単調になってしまうのがダメでしょう。もう少し使うタイミングを…。」

「いや、結構いいタイミングだったと思うぞ?俺みたいに気配が読める奴じゃなかったら地上からの攻撃で終わりだっただろう。」

「いえ、それではダメでしょう。…それでは、主様の足元にも届きません。」

「そうか…?」

「はい。今回の戦いではっきりとわかりました。」

相変わらず銀は俺の事を買いかぶりすぎである。今回だってかなり危なかったのに。

ていうか、今まで俺に傷を付けたのは銀。お前だけだと言うのに。

「主様…。我のわがままを一つだけ聞いてくれませんか?」

「おん?銀からそんなこと言うなんて珍しいな。」

「少しお時間を頂き、主様の側ではなく。違う場所で自分を磨きたいのです。」

「…ふむ。」

俯いたまま銀がそんなことを言った。その表情はわからない。いや、犬だし元からわからんけど。

銀の考えはわからんが、俺としては応援したいとこではある。

しかし、時期がまずいといいますか。ここで銀に抜けられるのは非常に痛い。

さっきの奴らがまた来る可能性が高い、その時に銀が入れば非常に心強い。

いやでも銀がこうはっきりと俺に食事以外のことで言ってくれるのだから叶えたい。

雷牙と風牙を銀に少し鍛えてもらいたいのもある。

いやそれでもこちらを力強い眼差して見ている銀の意見を通してあげたい。

銀がいなくなるとして、夜の見張りとして…。

……………。

「よし!銀がそう言うなら許可しよう!」

「…よろしいのですか?」

「あぁ、銀にも思うとこがあるんだろ?その為に必要だと思うんならその通りに行動させてあげたいからな。」

「ありがとうございます…!」

たっぷりと長考して、それを全部吹き飛ばして許可を与えた。

元々無理矢理に連れてきたような所があるからな、ずっと俺の側で窮屈な思いをさせるのも酷だろう。銀だって元の大きさで暴れたりしたいだろうし。


その後、銀と今後の予定を話し合い。一週間に一度は念喋でお互いの安否の確認。一年後にティスカ公国で再会、そこで合流。お互い無理をしない。などなど、色々と約束を交わした。

銀がいなくなるとしたらかなり寂しくなるが、俺も精神年齢は大人だ。グッと我慢することにしよう。

皆に挨拶はいいのかと聞くが、決意が鈍りそうなので主様からお願いします、と返されてしまった。そりゃ皆止めそうだしなぁ、納得である。

「それでは、…いってきます。」

「あぁ、いってらっしゃい。」

先ほどの戦闘痕の残る森の中の小さな広場で別れを告げる。

銀は後ろを振り返らずに森の中をいつものスピードで走り去っていった。…全然まだ余裕あるやん。

俺もこの場から帰るとしよう。

かなり無理やりになってしまいましたが、ここで銀が別行動に移ります。

銀の描写も後々書きたいので銀外伝で何個か投稿していきます。

いやー、もうちょい上手く理由をつけたかったですね…。

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