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「魔法の発動体にするために本人の血が欲しい、ってちゃんと説明すればいいのに。」

「それそれ、それが言いたかった。」

「あっ、そうなんですか。」

シェリーが補足してくれたので空気が柔らかくなった。

元々上手く魔法を扱うために魔法の発動体として杖が多く使われているが、その多くは実はそんなに適していない。

市販で売っているような杖だと、若干の魔力の効率がよくなる程度の付加価値しかないがオーダーメイドの杖では自身の血を混ぜて魔力の流れを更に効率良くするんだそうだ。

体内に流れている魔力と一致させることで自分の魔法も自分の体の一部と思わせるようにするのが目的だ。

俺らは別にそんなの使わなくても普通に使いこなせているが、レイが戦闘中に魔法をあんまり使えなかったので何か対策を、と思い色々調べた結果がこれだ。

「杖じゃなくて指輪にしたのは単に邪魔になるからだな。ここら辺は俺のオリジナルって事で。」

探せば同じような品物ありそうだが、まぁいいだろう。

「指先をちょっと切るだけだからそんなに痛くないと思う、それにすぐに直すから支障はないはずだ。…んで最初の実験台はエルで大丈夫か?」

「少し怖いですけど…、ご主人様を信じていますので。」

そんなことをエルが言ってくれる。これは失敗出来無いですわ。ルクが何か言いたそうな顔をしてるが、別に言わないとこを見るとエルに任せるようだ。


「じゃあ、手を貸してくれ。」

「はい…。」

「大丈夫、ちょっとチクッとするだけだから。」

俺が最初に作ったナイフを取り出し、エルの手を取り指先をちょこっと傷つける。若干エルが声を上げるが、そこは耐えて欲しい。

最初にエルは目を瞑ってその光景を見ないようにしていたが、あんまり痛くなかったのか拍子抜けした表情で指先を眺めている。

「…、よしじゃあこの塊にっと…。」

指輪状の塊の上にエルの指先を持っていき、そのまま手を逆さまにして血を何滴か垂らす。

「…、よしこれくらいでいいか。大丈夫だったか?」

「はい、…もういいんですか?」

「あぁ、あとは俺がやるから。」

「ふーん、大したことなさそうね。」

「大したことあったら流石にやらんよ。」

すぐに治癒して、布で指の血を拭いてやる。その様子をまじまじとみているルクが簡単そうにそう言う。

「…ふぅ、初の試みだがこんなもんか。なかなか難しいな、でもコツは掴んだ。」

血が乾かないうちに錬金で血を鉄に混ぜ込み、効果を付け足していく。

俺の魔力と混ざらないように注意するのが厄介だったが、少しくらいなら混ざっても大丈夫そうだったのであまり気にしてもしょうがない。

実験なのであんまり大した効果をつけずに魔法の発動体としての役目として指輪を生み出す。

「ほい、これで完成だ。サイズは合ってるだから一応ずっとつけておいてね。」

「はい!…あの、…つけてくれませんか?」

「…んん?」

出来上がった指輪を渡そうとエルに指輪を持った手を差し出すと、受け取ろうとしエルが手を止めてそんな事を言った。

「これはずるいですね。私も作ってもらおうかしら。」

「わぁー…、これ私にも作ってくれるんだよね?」

「えー、お姉ちゃん大胆だね…。」

「…。」

シェリー達が口々にそんな事を言い出し、当の言い出した本人は顔を赤らめて恥ずかしそうにしている。

確かにエルにしては大胆な事を言ったな。

「いや、別にいいけど…。」

「すいません、不躾なことを言って…。」

「かまへんで?…うん、まぁ素材が鉄だし、飾りっけがないがそれはしょうがないがよく似合ってるよ。」

まさか俺が付ける事になるなんて思ってもなかったので緊張しながら右手の人差し指に指輪をはめてあげる。元々人差し指にサイズを合わせてるので指輪はぴったりとはまった。

「ありがとうございます。…。」

エルが礼を言った後、その指輪を嬉しそうに頭上に掲げて眺めているので作ってあげた甲斐があるってもんだ。

「最初にお姉ちゃんだから、次は私ね!」

「私は最後にしようかなー、…最後の方が特別っぽいし?」

「あー、リードに付けてもらえるなら僕はいつでもいいかな?あんまり騒ぐと付けてもらえなそうだし…。」

「…、これはずるいです。今ほど魔法がうまく使えることが恨めしいと思ったことはないです。」

完全に乗り気なルクと考えたフランが騒ぎ、ハピが珍しく大人しくなり、シェリーが恨めしそうに俺に向かって小言を言ってくる。

いや、指輪が目的じゃなくて魔法使えるようになるのが目的だからな?

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