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「次はどこで騒動を起こすつもりですの?」

「そんな人をトラブルメーカーみたいに…、いや実際そうなんだろうけどさ。」

レイがそんな事を言ってくる。失礼な奴だ。

嫌味な感じは全くなく、笑顔でそう言われるので別に悪い気はしない。

「いつもの調子でやってると絶対何か起きますもの、…自業自得ですわ。」

「まぁそうだな。」

「…もっと言いたい事あったんですのに、いざとなると出てきませんわね。」

ちょっと顔をしかめてレイが言う。

「まぁ、今生の別れってわけじゃないしな。案外どこかでばったり会うかもしれんしな。」

「…そうですわね。」

にっこりと笑ってそう告げてやる。むしろ普通に戻ってくるしな。

「…また会う時まで。」

「ん…。」

レイが手を差し出してくるのでその手を取り握手する。

するとその手をレイが引っ張り、俺の耳を顔の傍にまで持っていき。

「婿としてこの国を継ぐならいつでも待ってますわよ。」

「…。」

と完全に不意打ちをかましてきた。焦って一歩引いてしまい、完全にポーカーフェイスも崩れてしまっただろう。

「ふふふ、最後にしてやりましたわ。」

「…今のはずるいわ。」

若干顔の赤いレイがにこりと笑いながらそんなことを言う。これは一本取られたどころの話じゃないな。


「…よかったのか?」

「…はい、あれが今の私の精一杯ですわ。」

ティスカ公がレイにそう呟く。

「それにしても最後の最後までドタバタしてましたわね。」

「結局そのまま行ったけど、いいんじゃね?あいつらはあんな感じでさ。」

クラウ婦人が門の方を見ながら言う。

見た目が変わった二頭の馬をどうするか迷った挙句、城から堂々と出ていけばティスカ公関連だと民衆に思われる。そういう結論に達し、リード達が普通に門から出て行ったばかりだ。

「…さて、対リード用の作戦でも考えっかな。」

「その前に普通の仕事でしょう。…わたくしは迷宮に行きますけどね。」

「いや、それはずるいわ。それなら一緒に行こうぜ。」

「じゃあ、二人で仕事を終わらせましょうか。」

「そうするか。…いい加減マーカスが怒ってるしな。」

ティスカ公とクラウ婦人が仲良さそうにそんなことを言いながら城に帰っていく。

「…今の私では、リードについていけませんが…。折角リードに力をもらったんですもの、私は強くなりますわよ。」

一人残ったレイが門から出て行ったリードの事を思いながらそう呟いた。


「いやー、案外大丈夫だったな。」

「マスターの口がうまいだけでしょう。…本当にそういうとこだけ起点がきくんですから。」

いざ出発の時に姿形の変わった雷牙と風牙をどうするかでひと悶着あったが、堂々と町を進み町の門から出れたので案外皆見てないんだろう。

街の門を出るときに門番から少し話しかけられたが口から出まかせをべらべらとしゃべりながら服の間からチラッとティスカ公の印のついた手紙を見せるといった行為をするとすんなり通してもらえた。もちろん、別に手紙には何も書いてないどころか中身すら入ってないのだが。

「…それで、行き先はどうするんだ?」

「あー、まずは村に帰りたいな。つうことで道なりだな。」

転送石ですんなり帰ろうとも考えたが、ちょっと時間が欲しかった。

お姉ちゃんへのプレゼント作らないといけないし、ヒューイ達が馴染む時間も欲しい。

「…だとさ。」

「「御意。」」

ヒューイは現在御者台に乗ってもらい、一応は馬を操る振りをしてもらってる。

雷牙と風牙にも銀と同じように普通の馬みたいな見た目に変われるように訓練しないとな。

大きな馬車なので一応場所は広い。現在の席順としては、ヒューイが一人御者台に載って、その後ろに俺とシェリー、足元に銀、左の席にフランとハピが、右の席にはエルとルクが、後ろの席には一応見張りとしてロイとメルが座ってる。なんか普通にフランとハピが仲がいい。

「…うん、めっちゃガタガタするな。」

「馬車ですからね。前に乗ったのはレイ用のやつですから、色々と特注品だったんじゃないですか?」

「あー、そういやあれ全然揺れてなかったよな。…こっちで改造するか。」

これはお尻が痛くなりそうだ。シェリーがちゃんとした椅子をチョイスしてくれて助かった。

こちらでスピードを落としましょうかと雷牙と風牙が言うが、このままのスピードでお願いした。現在普通の馬車よりも少し早い速度なのでその分揺れてるが、このくらいは我慢だろう。

「さてと、ここらで一旦整理しますかね。」

そう皆に声をかける。そのままの状態でいいので聞いて欲しい。

「まずは俺達の故郷に帰る訳だが、それまでの予定と言うか目標を立てておこうと思う。」

このペースなら二日くらいで村につくだろう。なのでそれまでにやれることはやっておこう。

「まず一つは、野営になれること。…これはほぼ俺とエル達の問題だ。」

「…そうですね、流石に今までにない経験です。」

「そうね。…お城のベッドが早くも恋しいわ。」

はええよ、ルク。

エルとルクは未経験、俺も今までティスカ公のとこに行くまでの間しかしたことがないので若干心配だ。フランは泊まり込みで狩りに行くことがあるので何度か経験してるらしい。

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