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「待ってましたわ!リード!」

「おう、おせーじゃねぇか!」

訓練所の方角に足を進めていくと既に宴会が始まっていた。

シェリーが魔法で用意したであろう、木製の椅子と机が所々に散りばめられており。そこに料理が置かれ、兵士達が皆それを味わうといった感じでくつろいでいる。

メイド達も料理を運びつつ、料理を味わっているようで正に全員参加の宴会だろう。

中央には一際デカイ机があり、そこにティスカ公爵とクラウ婦人、そしてレイが座っており、ついでにシェリー達もそこにいるようだ。

「はえーよ、既に出来上がってんじゃねぇか。」

「シェリーさんに許可はもらいましたわ。」

「流石シェリーだ、主役おいてけぼりとはやるな。」

「褒めても何も出ませんよ。…それよりちょっと気になることがあったんですが。」

皮肉を投げつつ机の上に乗っかってる料理を摘む、行儀悪いかもしれないがここで行儀の話をしてもしょうがない。

シェリーが若干険しい顔をしながらこちらに寄ってくる。

「何やら大きな魔力を感じたんですが。…マスター、また何かしましたか?」

「いやー、ちょっとね。使役をね…。」

「早速バレちゃってるね。」

隠してもしょうがないのですっぱりと白状する。若干言葉が尻すぼみになっていくのはしょうがないことだろう。フランは無情にも巻き込まれると判断したのかレイの方に行き、座って料理を楽しむみたいだ。

「はあぁぁ…。」

「いや、まぁ、言い訳をさせて?」

「…一応聞きましょうか。」

たっぷりと長い溜息をついたシェリーを宥めながら説明を開始する。

「いや、シェリー達の買ってきた馬なんだけどさ。銀の姿を見て怖がっちゃってさ、それでどうせならってんで使役しました。」

「…いつも思うんですが、マスターは説明不足なんですよ。それで理解して納得するのは私達くらいですよ?」

まぁ、確かに端折ってる感はかなりある。が、それはシェリーが理解してくれると判断しているからであって、決してめんどくさいからではない。

「おいおい、痴話喧嘩か?いいぞ、もっとやれ!」

「おっさんは黙ってて。まぁ、これも俺達の旅を円滑に進める為だと思ってさ?」

「今更どうこうできる事でもないでしょう。…それで?馬車は気に入りましたか?」

「それはもちろん。流石シェリーだと褒めるよ。」

ティスカ公の茶々を遮りつつ、シェリーに話を続ける。おっさん酔ってんなこれは。

「それで、その子達はどこにいるのですか?」

「今は馬車の所で銀が色々説明してくれてる。…こっちも始まってるみたいだし、連れてきてもらうか。」

そう言いながら念喋で銀を呼ぶ、程なくして小さい銀が大きな雷牙と風牙をつれてくる。

周りからどよめきが起こるが、先頭の銀を見て察してくれるのがいいな。

「主様、大体は説明終わりました。」

「うん、ご苦労さま。」

「お初にお目にかかります、雷牙と。」「風牙です。」

「お銀から聞いてると思いますが、私はシェリーです。」

「「シェリー先輩。どうぞ、よろしくお願いします。」」

大きな体を伏せながら雷牙と風牙がシェリーに頭を垂らす、礼儀が出来た子達なのでシェリーの機嫌を悪くさせる事もないだろう。銀は既に料理に気がいってるのでその辺の物をつまみながら銀専用のお皿に盛ってあげる。

「おいおい…、ちょっとこっちにも説明してくれよ。」

「あぁ、ちょっと使役して仲間を増やしただけだから。気にすんな。」

「いやいや、おかしいだろ。…どこの魔境だよ、ここは。」

ティスカ公がこちらに向かいながら雷牙と風牙を見上げる。伏せていてもデカイのでティスカ公でも見上げる形になってしまうのが、悩みどころだ。…ていうか、今はまだいいが銀と同じように体を変化させてもらわないと困るな。そっちは早急に覚えさせよう。

銀と同じように適当に料理を皿に盛り付け、雷牙と風牙の前に置いてやる。礼を述べつつ、食べてくれたので扱いは銀みたいな感じでいいんだろう。


そのままティスカ公達の席に陣取り、料理を堪能しながら会話に混ざっていく。

ひっきりなしに兵士達が挨拶しにくるのでそれの対応をしながらなので案外大変だ。

これも俺の人徳の結果だと思うと嬉しくもあるので雑には扱えない。

「今度こうやって訓練の幅を広げたいんですが、どうでしょうか?」

「それなら、走りながらやらせたほうがいいんじゃないかな。スタミナもつくだろうし、何よりそれだけだと調子に乗りそうだ。」

「なるほど。」

「本気っすか?やっぱり容赦がないっすね…。」

「どう考えてもこっちのがお得だろ。とりあえず、ながら作業には慣れさせたほうがいいな。」

教官の意見に少し手心を加えるとウォードがうめき声をあげる。

「んで、リードはここを離れたらまずどこにいくんだ?」

「いや、特に考えてないけど。とりあえずは故郷に帰って、そこからのんびりと旅かねぇ。」

「本当に何も考えてないんだな。なんか紹介文でも書いてやろうか?」

「いらんいらん、変な事に巻き込まれそうだし。」

「あー、言って思ったがどう書いていいのかわからんな。」

「ありのままを書いたらそれこそリードの邪魔になりますわね。…それを考えると確かに難しいですわね。」

「めんどくさい立場だな、本当に。」

ティスカ公とクラウ婦人と今後の事について少し話す。確かにめんどくさい立場だと思うが、それは公爵であるおっさん達が関わったらの話だ。普通に旅をするならどうにでもなるだろう。


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