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「これもついでにお願いします。」

「かしこまりました。こちらは金貨4枚と銀貨20枚になります。」

「…ちょうどで。」

「ありがとうございます。」

それなりに値段は張ったがまあいいだろう。メイド服の為ならばおしくはない。

カチューシャと紐を受け取りカチューシャは宝物庫に。そしてメイド服も受け取る。

「わー、可愛い服だねー。」

「せやろ?はい、これはフランに。」

「んー、…つけてくれる?」

そういいながら今までつけてた方の紐をフランが解く。

「はいはいっと。」

こうなることはある程度予想がついてたのでそのままフランの前髪をひと房掴む。

「ん…。」

「…こんなもんかな。」

途中で色っぽい声出すのやめてください、と心の中で言いつつ髪を括る。それなりにうまく出来たと思う。

「うん!ありがとね!」

「どういたしまして。…変だったら直せよ。」

「ううん、全然大丈夫だよっ!」

店員が微笑ましい感じでこちらを見ているのでさっさと帰ることにしよう。銀も外で待ってることだし。


「これで大体終わりだな。…帰るか。」

「うん、お腹も空いてきたね。」

「レイに任せてるけど、まぁ多分大丈夫だろ。」

昼過ぎに出るってことは伝えてるので昼食ついでにやると思われる。ていうか兵士達がそんなことをポロっと言ってた。

そんな他愛もない会話をしながら城へと帰ると既に中庭に馬車が置いてあった。

「ほー、…いいじゃん?」

「おっきいねー。」

頼んでおいたように少し大きめの、それで屋根のない木製の馬車があった。

外装はただの木箱だが、内装にはソファーらしき物が左右に置いてあり詰めれば片側だけで5人くらい座れそうだ。それでいて中央にもスペースが出来る、完璧な馬車だ。馬を操作する場所にも二人程座れそうだ。

「馬だー!」

「ふん、いいチョイスだ。」

そして、この馬車を引くために馬が二頭つないであった。ちょいとステータスを覗いてみるとダグホースって言う魔物らしい。城の馬車でも同じようなやつを見かけたのでこいつらは手懐けられてこうやって使われてるんだろう。城の馬車を引いてるような立派なのじゃないが全然大丈夫だ。

「ふむ、なるほど…。」

銀も気になるのか馬の前に立つ。妙な威圧感を感じるのか馬が嘶き少し暴れた。

「やめてやれよ、可哀想に。」

「えぇ…、普通に目の前に立っただけなんですが…。」

どうどうと馬を鎮めつつ銀の方を見る。確かに普通に立っただけでこれはちょっと困る。

「んー、しょうがねぇか。」

馬車の上に乗ったフランを見ながらそうつぶやく。若干馬車が揺れるのでフランがガクガクしてるが、そんな姿も可愛い。じゃなくて、このままだと色々と支障が出る。

「…。【古き盟友よ、我に力を貸したまえ、使役】」

目の前のダグホースに半分つづ自分の全魔力を与えつつ詠唱をする。

途端に光につつまれ二匹の姿が見えなくなる。

「よし、お前らの名前は今日から雷牙と風牙な。」

「「はっ、ありがたき幸せ。」」

姿形がすっかり変わった二匹のダグホース。もとい、グランドホースがその場に頭を垂れて居た。

頭には荒々しく尖った角。首元の鬣は真っ赤で立派に。蹄は大きくまるで鉄の塊のように。体全体が大きくなり、元々馬車を引くためにつけていた器具が引きちぎれていた。

「うっわー…。」

「主様の悪い癖が…。」

「え?いいんじゃね?」

これなら別に選択肢として間違えてない気がするけど、あれ?なんか俺おかしいのか?

「え?だってこれなら銀も怖がられないし、戦闘に巻き込まれたとしても自力でなんとかするぜ?それに疲れ知らずで馬車も引きやすいで?」

「またシェリーさんに相談もせずに…。」

「それ忘れてたわ…。」

あぁ、勢いでやっちまったけどまたシェリーに怒られそう。…まぁ、別にいいか。有能なとこ見せれば全然問題はないだろう。

「まぁ、これからよろしくな。」

「はい、私達。」「貴方の足になりましょう。」

雷牙と風牙が交互に喋る。…ふむ、俺の魔力を同時に半分流し込んだからこうなったのか、元々が双子だったのか。それはわからんが、もうこれだけで有能そうだ。

「後々皆に紹介するとして、…とりあえずここで待機してもらうか。」

雷牙と風牙はうなづくとその場にドシンと音を立てて座り込んだ。やばい、威厳がある。どこぞの黒い馬みたいだ。

「…我の後輩が出来たのは喜ばしい事なんでしょうが。」

「そういえば純粋な使役だとそうなるのか。まぁ、色々教えてやってくれな。」

「はぁ、わかりました。」

そのまま銀はストンと雷牙達の前に座り、俺達の事を説明してくれるらしい。これ傍から見たら食われる一歩手前っぽいな。

「先輩。」「よろしくお願いします。」

「まず、我らについてですが…。」

そのまま会話をしていく三匹。

「…なんか不思議な光景だね。」

「まぁ、これは流石に不思議って言うかどんな状況だよって感じだな。」

淡々と説明をする犬、それに相槌を入れながら質問をする化物みたいな馬。

もうこれわかんねぇな。

「…行こっか。」

「そうだな。ここは銀に任せよう。」

雷牙と風牙が突然現れたことに驚き周りに兵士が集まってくるが銀の姿を見て理解し、面白そうなので会話を聞こうとそのまま近くに集まるって具合になってる。

ついでにと兵士を捕まえてレイが何をしてるか聞くと訓練所の近くでバーベキューらしきものをやるつもりらしい。

外版立食パーティーって感じだな。城の人が誰でも来やすいように配慮して、そういう形にしたと、兵士が言っていた。うん、いいんじゃないか?

「様子見に行くか。」

「うん!楽しみ!」

とりあえずどんなもんか見に行ってからまた銀達を連れに戻ってこよう。

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