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その後色々な出店に立ち寄り商品を漁りつつ、進む。

あのおばちゃんはやはり特別なので別れの挨拶はしたが他は別にいいだろう、お腹を満たすだけでさっさと次に向かう。

「リー君いつもこんなに食べてるの?」

「いつもじゃねぇけどな。大抵は城で食べるけど、気分次第ってとこだな。」

「…リー君の金銭感覚が心配だよ。」

「いやー、俺も最近そう思う。」

ここに来てからかなり出費が増えた。

一応独り立ちなので当然だとは思うが、稼いだ分がすぐに飛んでいくのは如何なものだろうか。いやでも皆を養わなくちゃならんし、…父親か。

「…お金大丈夫?ずっと買ってもらってるけど…。」

「かまへん、かまへん。これでも稼いでるしな、こういう時は男が出すもんだろ?」

「んー、あんまりそういう事言って欲しくないけど…。」

「ふむ。まぁ、必要経費ってことで。」

フランはおごってもらう事が申し訳ないみたいだ。

だが、旅についてくるなら現状戦力として数えていいはずだ。規格外の奴が出てきた場合は除くが。

フランの性格的にただついてくるだけじゃなく、色々と仕事をすることを考えたら俺も色々と出すべきだろう。

いわばこれもお給料の一部だ。現物支給になってしまうけどな。

「うー、でもでも…。」

「はいはい、この話は終了。」

「もー、そういう事言う!」

「次のとこついたからな。」

会話を無理やり切って目的地についたことを知らせる。トールの店についたからだ。

あと行くとこと言ったらこことミストさんとこと…。あぁ、あっこも寄らなきゃならんな…。まだ出来てなさそうだが。

「…鍛冶屋さん?ってことは…、トールさんだっけ?」

「そうだな。俺の師匠で一番弟子。」

「それちょっと意味がわかんない…。」

言ってて俺もよくわからんが、本当にそんな感じだからしょうがない。


「いらっしゃ…。あぁ、リード君か。今日はどうし…、あれその子は?」

「おはよう。はい、挨拶。」

「おはようございます!フランシスって言います!」

「あ、あぁ。僕はトール、えぇっと…。」

トールがこちらに目を向ける。…なるほど。

朝なので人もなし、むしろまだ開店してないようなもんだ。

「あぁ、フランは色々知ってるから大丈夫だよ。」

「…リード君の弟子になるのかな、色々とお世話になってるよ。」

「はい、聞きました!リー君が迷惑かけたみたいで…、すいません。」

「あれ?なんだろ…、リード君の知り合いなのに常識が…。」

「俺達は常識人だろ!いい加減にしろ!…、そうでもないか。」

「ごめんごめん、冗談だよ。迷惑かけてるのはこちらだよ、リード君には本当にお世話になってるからね。」

笑いながらトールがそう言う。いや、絶対本音だろ。

「リー君は無茶苦茶するから絶対迷惑かけてると思うんです!」

「んー、…。僕の場合はその無茶苦茶に救われた、ってとこがあるからね。その点は大丈夫だよ。」

「そうなんですか?それなら、いいのかな?」

「結果オーライってやつやな。」

フラン達の会話に耳を傾けながら商品を物色する。まぁ、そこそこの品物になってきてるな。

「それでリード君はどうしたんだい?今日は予定にないはずだけど。」

「あぁ、ちょっと予定が早まってな。俺達旅に出ることになったんだ。」

「それは…、急だね。」

「襲撃受けちまってな。被害はないんだが、このままここにいたら皆巻き込むことになりそうでな。」

「…。それは大変だね。」

割と軽く言ったがトールが真顔でそう言った。

「それなりに対策してるし、ここが戦場になる事はないと思うけど。その辺も含めてって感じだな。」

「それは、引き止めれないね…。」

「まぁ、今生の別れって訳でもないしな。このまま腕を磨いていけば親父さんを超えれるだろう。」

「…そう言ってもらえると嬉しいよ。」

「あ、後ティスカ公にトールの事言っておいたからそろそろスカウト来るんじゃね?」

「え。ちょっと待って!何吹き込ん…。最近兵士達が来るのはもしかして…!」

「兆候ありだな。よかったな。」

「えぇ…、これはいい事なのかな…?」

「やっぱり無茶苦茶して迷惑かけてる!」

若干戸惑ってるトール、そして俺に怒るフラン。

「い、いや、公爵様に認められたと思えば…。いいのか、な?」

「せやな。あぁ、それとちょっと鉄の在庫って余ってる?」

いい方向に持っていけばそうなるな。

それとちょっと考えていた案をここで出す。出来れば自分で量産したかったが、もうこの際いいや。

「い、いっぺんに色んな事言われても…。どのくらい必要なんだい?」

「そうだなぁ。…剣が3、…いや5本作られるくらいだな。」

「それなりにあるね。うーん…。」

流石にこういう話になると顔が真剣になるな。頭の中で色々と計算しているんだろう。

「全部は無理だけど、2本分くらいならあげれるかな?」

「2本か。…ん、いや金は払うよ?」

トールがキョトンとした顔をする。

「あ、そうなのかい?」

「流石に無償でもらう程俺も畜生じゃねぇよ!」

「い、いやー。…うん、じゃあ2本分は今まで世話になった感謝の印として、後の3本分だけお代をいただくよ。」

「誤魔化しやがったな。…いや、別に全部払うって。」

「いいんだよ。これくらいは、ね?」

そう言ってトールは店の奥に引っ込んでいった。物を取りに行ったんだろう。

「…いい人だね。」

「まぁ、俺の目に狂いはなかったってことやな。」

「でも主様結構適当に選んでましたよね。」

「いや、あれは運命だった。って事にしておこう。」

こういうタイミングで銀は突っ込んでくるから返しもバッチリである。

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