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「ははっ、何真剣な顔して言うのかと思ったら…。」

「本気だぞ?レイを連れて行かないか?」

ティスカ公が真面目な顔をして再度そう言った。

「…、悪いがそれは出来ない。」

こちらも真剣に考えて少し間を置いてそう答えた。

これから向かう先は危険が多々ある。それどころか邪竜を復活させたとなると反逆者として名が広まる可能性が高い。それに公族のレイを巻き込むわけにはいかない。

なるべく大事にするつもりはないが、もしそうなってしまった場合レイの、いやティスカ公の立場も危うい。ここに世話になっている時点でその可能性があるが、ティスカ公が上手く俺の存在を隠しているので大丈夫だろう。

それにレイ自身の気持ちも大切だろう。嫌われてはないだろうが、ここの生活から離れて俺達について旅についてくるとは思えないしな。

「…そうか、理由を聞いてもいいか?」

「危険な旅になりそうだからな。俺が守れる保証もないし、それにレイを巻き込むわけにはいかんだろう。」

「…そういえば旅の目的を聞いてなかったな。どこに行こうとしてるんだ?」

そうくると思ってた。ティスカ公なら話しても大丈夫だろうが、これは隠しておいたほうがいいだろう。知ってるのと知らないとでは大分立場が変わるだろうから。

「色々な国を回ろうかと思ってる。それこそアラジー大陸にも行くかもしれんな。」

嘘は言ってない。ただ詳しく話してないだけだ。魔族のいる大陸に行こうとしてる輩に娘を預けようとはしないだろう。

「…まぁ、お前なら可能だろうな。しかし、うーむ…。」

「一人娘だろ。わざわざ危険な旅について行かせなくてもいいだろ。」

「それは最もだがな。…いっそのことレイの婿になってこの城を治めるってのはどうだ?」

「なんでそうなんだよ。なんで皆俺を娘とくっつけたがるのか、これがわからない。」

流石に冗談だろう。気分屋の塊みたいな俺に政治なんてできるわけがない。…いや、ティスカ公が出来てるなら俺も出来るか?レイに嫌がられたら立ち直れそうにないから勘弁願いたいが。

「それにレイの気持ちも考えてやらんとな。」

「それ本気で言ってる?」

「そりゃそうよ。ポッと出てきた強いだけの男だぜ?それと結婚て。」

「いや、お前の強さは桁外れで、しかもだけじゃねえけど。…全然気がついてないのな。」

「はん?何がよ。」

「いや、俺が言うことでもないしな。…これだけあれならこの先も問題なさそうだな。」

ティスカ公が何やら後5年くらいは持ちそうだとかなんとかぶつぶつ喋ってるが意味がわからないので置いておこう。

「んで用事はそれだけか?レイの件はお断りってことで。」

「まぁ、ダメ元だったし問題はない。むしろここからが本番だな。」

サッとまた真剣な顔に戻るティスカ公。

そこから俺とティスカ公だけの会議が始まる。爺の処遇や非常時に俺がどう動くのかの確認だ。

結論から言うと爺には普通に仕事をこなしてもらい、普通の評価をしてもらう。つまりいい仕事をすれば普通に昇格していくって感じだ。

俺はとりあえず爺とはすぐに連絡が取れるように念喋を教え、すぐに帰ってこれるように前にティスカ公から貰ってすぐ使った転門石を何個か用意することにした。これは一度実物を見てるしすぐに作れた。持っててよかった迷宮職人。

その後も色々と兵の訓練を時々指導するなど、ティスカ公との取引は続いた。

もちろんタダでというわけにもいかないのでいくらかの報酬も出るので俺としては満足だった。


「ただいまですよっと。」

「…随分遅かったですね。」

それなりの時間ティスカ公と喋っていたので起きてるのはシェリーだけだった。銀もいつ寝てるかわからんから多分起きてるだろうが。

「それで、ティスカ公との密会はどうでした?」

「なんか引っかかる言い方だな。まぁ、有意義だったとだけ言っておくわ。」

シェリーが読んでいた本を閉じてベッドの方に向かう。俺を待ってたのか、別に先に寝ればいいのに。

俺も今日は疲れたのでこのままベッドで寝よう。昼に風呂入ってるし、起きたら入ればいいか。

「今日も疲れたけど、明日からも疲れそうだな。精神的に。」

「私もフォローはしますけど、マスターが頑張ってくださいね?マスターが巻き込んだんですから。」

「うーむ、適当に頑張る。」

ベッドに倒れこむとシェリーがこちらに寄ってこようとしたので素早くバリケードを張って自分のスペースを確保する。疲れてんのに容赦がない。

「もう、別にいいじゃないですか。抱きついて寝るくらい。」

「それ全然体の疲れ取れねーから。」

それ以前に寝れそうにない。

すぐ横にはフランもいるし、だんだんと俺の寝るスペースが少なくなってる気がしないでもない。

明日からは野宿が待ってるのでこんなことにはならんだろうと祈りつつ眠りにつくことにした。

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