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「朝ですよ。起きてください。」

ミュウの呼ぶ声が聞こえる。

眠い、非常に眠い。昨日はちょっと調子にのりすぎた。結局寝落ちするまでに邪竜とやらと話し込んでいた。

体は5歳児なのに調子のりすぎた、まだ意識が覚醒しきってない頭をなんとか機動させる。

(おはようございます、マスター。ねむそうですね。)

(あぁ、おはよう。ちょっと夜更かししすぎた。)

(また何かこそこそやってるんですか?)

(まぁそんなとこだな。)

シェリーが朝の挨拶をしてくる。シェリーの中では俺はどうなってるんだろうか、世界征服企んでると思われてそうだ。

「おはようございます!」

「はい、おはようございます、嬢さんも坊ちゃんも起きてください。シェリーさんもですよ。」

「…おはようございます。」

「おはようございます。」

みんな起き出す。ラニは毎日元気いっぱいだ。シェリーもいつものように挨拶をする。

「坊ちゃん眠そうですね、昨日は正名の儀式だったから興奮して眠れなかったんでしょうね。」

ミュウが微笑みながら声をかけてくる。邪竜と昔話してました!なんて言えるはずもなくそういうことにしといた。

「顔を洗って朝食ですよ。」

「お腹減ったー!」

ミュウが部屋を出て行く。ラニも元気にそのあとに続く。

「私たちもいきましょう。」

「…おう。」

ふらふらしながらそのあとをついていった。


「おい、リー。大丈夫か?ちょっと顔色悪いぞ。」

「そうね、病気かしら?」

「寝不足らしいですよ。昨日は色々ありましたからね。」

「少し興奮して眠れなかっただけだから大丈夫です。」

「…そうだな。今日から訓練をはじめるが午前は俺も仕事があるからな。寝とけ。」

「今日から色々はじめるんだからしっかりしなきゃね。」

「…はーい。」

ここはお言葉に甘えとく、朝食を食べたらすぐに寝ることにしよう。シェリーにはラニと一緒に遊びに出かけてもらおう。

マーディの仕事は村の何でも屋って感じだった。冒険者時代の経験で森の魔物が増えすぎないように管理したり、村長のお手伝いをしたりと村に欠かせない仕事だ。ちなみにセリーは専業主婦だがミュウもいるし家事はすることがあまりないので魔法使いの経験を生かして簡単な治癒魔法(聖魔法の一種)や村の手伝いをしている。

今日は剣術の訓練開始だしね、怪我しても嫌だし体調管理はしっかりしとこう。魔法の訓練も始まるけどそっちは思いっきり手を抜かないといかんだろうしな。加減が大事。

聖魔法に関してはあまり使えてない、何しろ特殊だからだ。攻撃魔法と補助魔法と治癒魔法があるらしかったが何しろ全然使わない。

基本人の使ってるとこみないと自分では使えないので身近なセリーしか使い手がいないのだが、攻撃魔法と補助魔法を使ってるとこみたことない。

そりゃ日常で攻撃魔法なんて使わないし補助魔法も使わないだろう、あんまり魔法に頼ってないっぽいしね。俺のケツ洗うのは魔法使ってたけど。

治癒魔法は結構見てる、原理的には怪我した部分を魔力で代用するような感じ。ちょっとくらいの怪我なら一瞬で治るっぽい。指とかちぎれてても元通りに治してた。

魔力で作った体とか大丈夫か?って思ったけどどうやら魔力は万能らしい、その魔力を使った部分をそっくりそのままコピーするみたいなもんらしい。

だから治療魔法で指とかはやしても普通の指と変わらないし、錬金で物を加工するときもそうだ。物量保存の法則無視した物が出来上がるのもそのおかげだ。全力出したら一つの小石から砦が作れそうだな。そんなことやらないけど。


「それでは、剣術の訓練を開始する!」

「お願いします!」

マーディが嬉しそうに、本当に嬉しそうに声を上げる。楽しみにしてたんだろうなってすごくわかる。

「ほら、この木剣はお前の物だ。父さんが一生懸命作ったんだぞ。」

とちょっと歪な形の木剣を手渡してくる。

「うわー、ありがとうございます。」

本心からそうでた。これは宝物にしよう。

「…よし、ではその剣をこのように握りこう構えるのだ。」

満足そうに頷くと型を作り構えるマーディ。

「こうですか?」

見よう見まねで型を試す。おぉ、案外様になってるんじゃない?

「そうだ。そして力を込めて振り上げ…、振り抜く。」

マーディが力を込めて目の前で素振りをおこなう。風を切る音が聞こえる。剣が見えなかった。本気でやってんなこの人。


【習得:限界反応 説明:その個体の反応を超えるものを捉える場合に習得。】


おっ、久々の天の声。とか思ってたらマーディの剣筋がはっきりと見えてきた。なるほど、こういうことか。

「ほら、リーも続け!まずは素振り100回だ!」

「はい!」

とばすねー、と思いながらも元気よく返事をして素振りを開始する。

「…筋がいいな、もう少し軸足に気をつけて、…そうだ、そのまま手だけじゃなく腕全体を使うように…。」

マーディのアドバイスを聞きながら素振りを繰り返す、黙々と素振りの事だけを考えながら剣を振るう。

「…俺より剣筋鋭くないか?いやまだ素振りだしな、俺のアドバイスのおかげだな。」

あぁ、そうか。今は職業を戦士見習いに変えてるし上達めちゃくちゃ早いのか、いやでもここで手を抜くのも変だよな、と思いながらも素振りをする。

「よし、やめ。この素振りは毎日繰り返し行う。当然数も増やしていくから覚悟しろよ!」

全然疲れてないけど一応肩を上下させながら呼吸を繰り返し疲れてますよアピール。

「…はい。」

「じゃあちょっと休憩な。目で見るのも訓練だぞ。」

とマーディは素振りを続けていた。まぁ大人だしね?息子にいいとこ見せたいんだろ。今日は気合が入ってる。

その後も防御の型やらなんやらを指導してもらって終わり。

かなり充実した一日になった。まだ終わってないけど。

「今日はここまでだな。思ったとおり筋がいい。これならすぐに父さん超えられてしまうな!父さんも頑張らなきゃな!」

ワハハと笑いながら言うマーディ。まだまだ勝てそうにないけどすぐに超えそう、実戦じゃあそうもいかないだろうけど。

「頑張ります!」

ちょっと疲れたかなって感じで今日の剣術修行は終わり。次は魔法の訓練だ。

「私も剣術ならおうかなー。かっこいい。」

ラニもそんなこといってた。


「疲れてるならやめとこうか?」

「いえ、魔法の修行も楽しみだったからやりたい!」

次はセリーの番だ。正直全然習うことなさそうだけど経験に勝る物はないからな、何かヒントがあるかもしれない。

「じゃあ、まず深呼吸をして、そして精神を落ち着かせるの。」

「はい。」

「そして心の中に水を描いてみて、その水を体を巡らせるようにして手の平から出すイメージをするの。」

「…はい。」

「しばらくすると頭の中に詠唱が浮かんでくると思うわ。それを唱えて手の平から水が出れば成功よ。」

「…頑張ってみます。」

苦労してるように見せかけながらウンウンと唸って魔法使う振りをする。

ラニでさえちょっとの水出すのに3日くらいかかってたから俺もそんなもんでいいだろ。最初にラニが出来たとかいって手の平見せてきたときは汗かよってくらいしか水出てなかったしな。

魔法についてはゆっくりと出来た振りをしよう。慌てることはない。

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