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「てめぇ…、ふざけるのも大概にしておけよ…?」

「あっれー?いいんですか?そんなこと言っても?」

ここぞとばかりニヤニヤしながらそうヒューイに向かって言い放つ。

ちゃっちゃとティスカ公から指名手配の奴雇うから指名手配解いといて、と許可を貰い。頭を抱えるマーカスを尻目にハピを連れてフイ盗賊団のアジトへと一人で乗り込んでいった。

突然の訪問で爺がびっくりしていたが隣にいるハピを見て察してくれたようで頭を抱えていた。

そのまま家の中にさっさと入っていってざっとヒューイ達に説明。

ちょっとばかして公国の重要秘密をハピが見てしまったので俺の護衛という形の見張り付きの追放、そんな風に話したらさっきの言葉を言われた。

「いや、いいんですよ?別に俺はこのまま皆さんを捕まえて城に突き出しても。」

「うぅ…、皆ごめんなさい…。」

「くっそ…、本当にロクなことになりゃしねぇ…。」

ハピが涙目になりながらそう言う。我ながらゲスいことしてると思うが結構楽しんでる。

ヒューイもある程度俺の実力はわかってるので強硬手段に出てくる事はないだろう。机を挟んだ距離だがヒューイが攻撃してくる間に3回くらい拘束出来る自信はある。

「はぁ…、少しよろしいですか?リード殿。」

頭を抱えながら考えてたであろう爺が俺に質問してくる。まぁ、交渉ならこの人とするだろうとは思ってた。爺の言葉に素直にうなづく。

「まず、私達が受けれる報酬はどのようなものでしょうか?」

「普通に金による報酬、食費などはこちら持ち。」

「ほう、どれほどの報酬でしょうか?」

「少なくともこんなスラムで隠れて住むような暮らしはしなくていいような額はやろう。」

相場が全然わからんがここは強気にいくとこだろう。…まったく考えてなかったけど俺金欠だわ。早急に金策する必要が出てきたな。

「なるほど…。」

「後はそうだな…。指名手配の解除なんて…、どうだ?」

もうそんなのは解除されてると思うが、これを使わない手はない。

実際爺の目が一瞬ぎらりと光った気がした。…言うてもヒューイの顔にあからさまに出てるんだけどね。

「あれ?それってさっき…。」

「【しゃべるな】」

「…!!」

歌うようにはっきりとハピに魔力のこもった声をぶつける。

ハピがパクパクと口を開けるが言葉が出せてない。あぶねぇな、そういえばこいつも居たから知ってるんだったわ。指名手配されてんのは爺、本名はラークス。それとヒューイだけだったが、それの確認で連れて行ったんだわ。

「さて、どうしますか?…と言っても選択肢はないと思いますけど?」

「ううむ…。」

実際破格の条件だろうに、考えたふりをする爺。…まぁ無理やりってとこが納得出来ないのかもしれんが。

ここまでやってるんだからもうちょっと悪役振りたいので椅子で足を組み直す。

「…では皆さん牢屋にでも行きますか?」

「ちっ…。」

「まぁ、待つんじゃ。…わかりました。その条件でやりましょう。」

ヒューイが苛立ちを隠せないように立ち上がりそうになるのを爺が止める。

「それが無難な考えでしょうね。」

「ただ、少し問題点がありまして…。」

「…まぁ多少なら考えて…、なんやねん!さっきから!」

少し前からハピが肩を叩いてきている。交渉中なので無視してたが、音がポンポンからパンパンに変わってきたのでそっちに注意を向けるしかなかった。

見ると必死にハピが口をパクパクしてた。

「ぷっ…。あぁ、すまん。強めにやったから解除されてねぇのか。」

パッとハピに掛かってる魔法を解除してやる。

「も喋るなって言ったの…。あれ?声出てる!やったー!」

「はいはい、ちょっと静かにしててねー。大事な話ししてるからねー。」

「…さっきのやつもう一回やれませんか?」

はしゃぐハピを見て爺がそんなことを言った。実際喋れない時のが交渉が進んでたしな。

「まぁ、無視して。…その問題点は?」

「ちょっとひどい!僕だって色々意見を言いたいのに!さっきのだってもう…。」

「【俺がいいって言うまで喋るな】」

パッと言葉を封じてさらに土魔法でハピをババっと囲んで隔離。

これだけやれば静かになるだろう。

「なんだこいつ…。意味がわからんぞ…。」

「すごっ…。」

「すごいの?」

ヒューイ達が口々に感想を述べてくれる。まぁ、そんなことはいい。

「よし、これで静かになったんで続きを。」

「う、うむ…。まず旅がどこまでなのかわからないが、こちらにはまだ幼い子供がおる。…リード殿もそれ程お嬢と変わらないと思うが、厳しい旅にはついていけないじゃろう。」

「まぁ、そうなるだろうね。…ほぼついてくるだけでいいとは言え、そんな厳しい旅ではないはず。」

流石に霊峰まで連れて行くような事はしないのでほとぼりが済んだらさっさとティスカ公国に帰すなりすればいいはず。指名手配も取れてるし、それなりの給料は渡すので暮らしていけるはずだ。

「そうだな。なんなら俺が鍛え直してもいいしな。」

ぐるっとヒューイ達の方を見渡す。ヒューイも人並みくらいには戦えそうなのですぐにでも城の兵士達と同じように動けるようには出来るな。それと…、ロイとメルだっけ?こいつらは今はてんでダメっぽいけど鍛えりゃなんとかなる。ハピもだな。爺はもう歳だからな…、流石にどうなんだろ?

「それは…、ううむ…。こちらとしてはありがたいことでしょうが…。」

「あぁん!?こいつから?嫌な予感しかしねぇぞ?」

流石にヒューイから言葉が飛んでくる。ロイは何も言わず、メルはよくわかってない感じ。

「…。それと…、私は体力的についていけませぬ。」

爺がヒューイを目で黙らせるとそう話した。

「過去に色々無理をしていたので長旅は体が耐えれそうにないのです。」

「ふーむ、なるほどね。」

「ちっ、…嘘じゃねぇよ。もう長いこと爺は俺達の狩りには着いて来てねぇよ。」

若干疑う様な声が出てたのかヒューイがそう付け足す。

別に疑ってはないんだが、考えながら間を繋いだのでそれが出てしまったみたいだ。

マーカスよりも年上に見えるもんな。マーカスもこの頃腰が痛いって言ってたな…。

「となると、どうしましょうかねぇ…。あぁ、こうしましょうか。」

頭の中で色々と考えながら言葉を出していく。

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