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「それでレイさんの訓練をしてたんですけど…。」

「あの時にリードを吹っ飛ばしたのは今でも悪いと思ってますわ。」

「よく言うぜ。結構な頻度でこっちに攻撃かましてくる癖に。」

「…まぁ、そういう時もありますわね。」

「むー、やっぱり私も着いていけばよかったなー。」

「かなりハチャメチャなことやってるね!それで、それで?」

「あ、あの主様が無茶して徹夜したのは話しましたっけ?」

いつの間にか俺も参加して話してしまってる辺りどうしようもない。

まぁ、でも振り返ると結構な事があったもんだな。ここに来るまでに。

「あれはしんどかった。…んで城の入口までついたけど。」

「もうちょっと話が聞きたいなー、なんて?」

「まぁ、そうなるな。…フランも聞きたいだろうし、何よりシェリーがおもしろおかしく喋りたいだろうしな…。」

「これはリー君が自分の事喋らないからだよ?」

「あら、よくわかってますね。」

レイもまだ語りたいだろうし、銀も色々と思うとこがあるのだろう。

満場一致って奴だな。

「はぁ、んじゃハピを帰らすのはその後で…。」

ふと妙な気配を感じて門の方を見る。

「…お前ら、戦闘準備しとけ。下手に動くな。…シェリーと銀は皆を守るように。」

門の方に足を向けながらそう言い放つ、シェリーと銀はすぐに俺の言った通りに動いてくれたがフランとハピはピンと来てない、レイもすぐに戦闘準備をするがどうしたらいいのかわからない様子だ。


「…当たり、ですかね?まさか、こんな少年だとは思ってませんでしたが。」

「…何が当たりなのかわからんが、…どちら様ですかね?」

兵士達がいるのに堂々と門を通り過ぎて歩いてくる、その様子を兵士達は気がついてない。それだけでも異常なのだが、俺の目で見ても全くわからない。神眼が通用していない。

「…ふむ、何かされてますね…。まぁ、いいでしょう。私の名前はハイルズ、以後お見知りおきを…。」

長身のその男はそう述べつつ、こちらに頭を下げた。

この場にふさわしいのかタキシードっぽい姿の男はこちらにまた目を向けた。

「…、俺はリード、別にお見知りおきしなくていい。」

「あぁ、つれないですね。」

油断せずに会話を続ける。相手の事がわからない。俺にとってこれ以上怖いことはない。…場所が場所だけに。

「…公爵に用事ですか?それなら通す訳にはいかないですけど。」

「いえ、当初の目的はそっちでしたが…。ここに来て目的が変わりました。」

流石に兵士達も気がついて俺達を囲むようにして集まってくる。しかし、逆効果だ。相手の出方がわからない以上俺の守る対象が増えるだけだ。このままだとまずい。

「ふーん、てことは俺が目的…かな?」

「多分そうでしょうね。…ここに来た魔族を倒したのは貴方ですね?」

魔力を全力で練りつつ、阿修羅丸を腰から外す。

間違いない、こいつも魔族だろう。…しかもこの前よりも強力な。

「あぁ、勘違いしないでください。争うつもりはありませんので。」

「…それを信じろと?」

正直こいつに争う気がないのは助かるがその言葉を鵜呑みにする程俺もお人好しではない。

「今日は主の命で見に来ただけですので。…それにまともにやりあっても得はないですからね。」

そう言いながら俺の後ろにいるシェリー達の方を見る。…こっちの戦力もわかってるか。兵士達に下がる様に手で合図をしながらシェリーに警戒を強めるようにアイコンタクトを送る。

「ふむ、下がらせますか。」

「目的が俺なら兵士達は関係ないからな。…そっちの都合がいいだろ?」

「まぁ、ゆっくりとお話出来るような環境ではないのは確かですね。」

もちろん、俺にとってかなり都合がいいように配置しただけだ。兵士達がいなくなれば俺も守る対象が少なくなって済む。

「なら場所を変えるか?目的は俺だろ?」

「それもいいでしょうが…。さっきも言いましたが、今回は見に来ただけですので。」

ダメだ、全然意図がわからない。かと言ってここで暴れてさせるのもまずい。どうにかこっから離したかったがそれもダメらしい。

「リード!!」

「来ちゃったか…。おっさん、そっからこっち来んなよ。」

兵士が告げ口したらしい。ティスカ公が城の方からこちらに寄って来ようとするがシェリー達の所で止まるように言い放つ。

「あぁ、公爵まで来てしまいましたね。少々大胆でしたかね。」

「正面から乗り込んで来らこうなるに決まってる。」

「そうですねぇ。私も主の命じゃないならこんなことはしないんですがね。」

「その主ってのは誰だ?そいつはどういう目的でお前をここに寄越したんだ?」

「それは言えませんね。ただ、主は大規模な魔力を感じたとこに行き、それを調べろと。そう仰っただけですね。」

「…なるほど、自業自得ってやつか。」

出来るだけ魔力を隠してたが、それでもやっぱりダメだったらしい。

「まさかその魔力の出処が子供だとは思いませんでしたが。いや、そちらの方が主は面白がりそうですが。」

「…まぁいい。それで目的は果たしたんだろ?どうするんだ?」

「そうですね…、帰らせてもらいますかね。」

「あぁ、そうか。それがいい。」

その男はそのままくるりと背を向けて門の外へと歩き出す。

これでいい。ここで争うとどれだけ被害が出るかわからない、相手がそのまま帰ってくれるならそれに越したことはない。…相手がわからないだけでここまで手が出せれなくなるものなのか。

「…あぁ、言い忘れてたわ。俺すぐにでも旅に出るから次にここに来てもいないからな。」

男の背中に向かってそう言う。

「あぁ、そうなんですか。まぁ、私は主に報告をするだけなのでどうするかは主次第ですけどね。」

「チッ…。なら、その主に言っとけ。これ以上関わってきたらどうなるかわからんってな。」

「…承知しました。それでは。」

男が門から出た途端に姿が見えなくなった。気配はまだ残っているが物凄いスピードで遠ざかっていくのがわかった。

「くっそ、こうなるってのはわかってただろうが…!!」

なるべく考えないようにしていたがここに来てそのツケが回ってきた。

ネトゲでも強すぎる奴は晒されるし妬まれるし狙われる。平和ボケしてたつもりはないが、それでも油断しすぎてた。

…とりあえずはここを離れる事にしよう。そう結論を出してシェリー達の方へ足を向けた。

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