表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
163/317

154

「お飲み物をお持ちしました。」

「あぁ、ありが…。うん。」

どこかで聞いた声だと思いながら扉に目を向けるとルクがお盆を手に立っていた。

すっごく敬語に違和感を感じる、仕事だから使ってる感がやばい。棒読みすぎる。

「ありがとうございます。それで、基本的な事は先ほどので全部なのですが。」

「あ、あぁ、そうだな…。」

なんとも言えない雰囲気で机の上でルクがカップに飲み物を注いでいく。

「応用としては本来魔物が持ってる…。」

「失礼します。」

「あぁ、ありがとうございます。…えぇっと、そうそう。本来の能力を強化してあげることも出来ますね。」

「それはデカイな…、例えば…。」

「失礼します。」

「…ありがとう。例えば、ただのゴーレムの体の表面を更に固くしたりとか?」

「そのあたりは簡単ですね。」

テンポが非常に悪くなってしまったが必要な情報を聞き取っていく。

「この辺りは操作する人の魔力次第なとこがありますので、基本が出来てるリード様なら問題はないかと。」

「フフッ…。」

リード様のとこでルクが軽く吹き出す。何やってんだこいつ。

飲み物を置いたならさっさと出ていけばいいのに、壁際に立って待機してる。

…興味が合って飲み物を持ってくるついでに見るって感じか。もうほぼ終わっちまったし、面白い事なんてなかったけどな。

ルクが入れてくれた飲み物を飲む。…まだまだ入れ方が甘いな。

「…まぁ、そのあたりは問題ないだろ。ここまで教えてもらえば後は一人でも十分かな?」

「そうでしょうね…。…最初はどうなるかと思いましたが、かなり貴重な体験が出来ました。」

「あ、そう?ならいいんだけど。」

ダンが飲み物を飲んで一息いれる。

「ふぅ…、…参考までに訊きたいのですが魔力を込める時に…。」

「ん?いや、俺から見て、別に変な所はなかったけど。強いて言えば…。」

「なるほど、つまりは…。」

「いや、それだと自分の手の届く範囲でしか…。」

「あぁ、迷宮全体を自分の一部と考えて…。」

「そうそう、それだと…。」

そこからはダンと一緒に迷宮作成の事についての話し合いが始まる。

ルクが話がわからなくてつまらなそうにしていたが、盗み聞きしてる輩には別にいいだろう。ちゃんとカップが空になったら飲み物を注いでたので仕事はしてたが。


「…やはり、かなり勉強になりました。」

「こっちもだ。専門家と話すと全然違うわ。」

「…時間が立つのが早いですね。もうこんな時間ですか…。」

「長々とすいませんね。」

「いえいえ…。それではそろそろ…。」

「お昼食べていけば?…いや、俺が言ってもいいかしらんけどさ。」

「…お客様なので問題はないはずです。」

それまで無言で立っていたルクが横から言葉を挟む。

「お、おう。だ、そうだけど?」

「…いや、遠慮しておきます。実は、早く迷宮を作りたくてうずうずしてるんですよ。それこそ食事する暇も惜しんで、です。」

「そこまで言ってくれるなら相当嬉しいことだわ。…あんまり無理しない様にな。」

まぁ、会話してる時に思ったが本当に迷宮に関してはがっつりと説明したりするから相当好きなんだろうなって、いいことだな。


「それでは、…また話し合いしましょう。」

「本来は俺が教わるだけだったんだけどな…。まぁ、わからんとこが出来たら訊きにいくよ。」

城の出口まで見送りに出る。何故かルクまで付いてきたが、言ってもどうせ、仕事ですからって言われそうなので放っておくことにする。

「…、んでなんでいるの?」

「仕事だからに決まってんじゃん。」

ダンを見送って頭を下げていたルクが頭を上げてそう言った。

「へいへい。どうせ、興味があったからついでにって感じだろ?」

「そ、そんなことないわよ!」

「図星じゃねぇか。まぁ、つまんない話だっただろうけどな。」

「うっ…、全然わからなかった。」

「そりゃそうだ。…早く魔法使いたいのはわかるが、基本知らんとどうにもならんぞ。しかも専門外の事をいきなり聞いてもしょうもないわ。」

「うぅ…。」

完全に図星だったんだろう。呻きながら顔を真っ赤にしていくルク。

「さて、どうするか…。シェリー達はどうしてんの?」

「さっきお昼ご飯食べてたから今はまた訓練所の方じゃないかな?」

「ふむ…。忘れないうちに迷宮作りしておきたいってのもあるが…、とりあえず飯が先か。…まぁ忘れる事なんてないし、その後は訓練の方でもいくかな。」

食堂に移動しよう。飯食いながらでも考えれるし、腹ごしらえが先だわな。

「全然意味がわからなかったんだけど、結局迷宮は作れる様になったの?」

「まぁ、ばっちしよ。…これを後はどうやって活かすかってのが重要なんだけどな。」

「ふーん、…なんにも考えてなかった…とか?」

「それはさすがにない。何個かは使い道を考えてあるが…、作るかどうかは状況次第だな。…いや、一個は確実に作るな。…お風呂を作る。」

「おふろ?お風呂ってあの?お湯が張ってあってそこに入るやつ?」

「なんだ、知ってんのか。」

あぁ、元々金持ちのとこにいたらしいし。知ってるわな。

「正直シャワーだけだと物足りないって言うかな…。おっさんとかレイとかは自分のがあるっぽいけど、流石に俺達が使うわけにもいかんしな。なら迷宮で作っちまおうと、そう思ったわけですよ。」

「…使い道としては凄く邪道っぽいけど、いいんじゃない?」

興味があるのかあまり否定的ではない感じ。

「どうなるかはまだわからんけどな。」

「…当然私達も入れるわよね?」

「まぁ、そうなるわな。」

「なら期待して待ってるわ。」

「まだわからんって言ってんのに…。」

足取りが軽いルクと共に城の中に戻っていく。…後は訓練所も作っておきたいな、一人で集中出来る場所が欲しいってのもあるな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ