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「…ふむ、君は色々な才能があるらしいね。どの道を進むかわからないがきっとうまくいくだろう。」

コールさんがそういってくれる。照れるやん。

村の人達はおーとかさすがだなと声がかかる。マーディとセリーは誇らしげな顔をしている。ラニとミュウは胸を張ってる、スケール全然違うけど。シェリーはまたなんかやってるなって顔してた。


儀式は何も問題なく終わる。

その日の夕食の時にマーディが、

「正名の儀式も終わったことだし、明日からは世間的には半人前だがうちでは一人前として扱うからな。覚悟しておけよ。」

「そうね、私は魔法を、マーディは剣術を教えましょう。」

「はい、わかりました!」

元気よく返事をする。結局本当に魔法戦士目指すらしい、そりゃ教会の人からのお墨付きだしね、物は試しってことだろう。

「私も頑張らなくちゃ!」

「坊ちゃんなら大丈夫でしょう。」

「リード君ならすぐに使いこなして見せそう。」

ラニは気合を入れ直し、ミュウはどこか安心したように。シェリーなんてもうなんでもできるでしょって顔してる。体術系はさっぱりなんだけどな!

「期待に添えるように頑張ります!」

と答えとく、本気で頑張るのは当たり前なので本音だ。


その日の夜も自己鍛錬を行う。

いつものように魔法をぶっぱしつつ眠りにつこうとすると。

(…お話きいてもらえませんでしょうか?力いらないですか?)

と毎回おなじみな声が聞こえる。よかったな俺は今日気分がいいから話くらいなら聞いてやる。

(しょうがねぇな、聞いてやるよ。)

その反応にびっくりしたのか念喋が止まる。まぁいつも適当にあしらってシャットアウトしてたしな。

(…ふははは、矮小な人間よ。我の力が欲しいんだろ?わかっているぞ!)

(切りますね。おやすみなさい。)

(すいません、調子乗りました。お話聞いてください。)

(すぐにつけあがるからそうなるんだよ。んで何?)

ちょっと不満そうな声が続く、

(私ちょっと竜ってものやってまして、人間に力を与えてるんですよ。)

(ふーん、大抵そういうのって邪竜とか悪い竜によくある話だよね。)

(!?よくわかったな。我は名は邪竜エンヴィス。闇の力を司り破壊の限りをつくす竜だ。)

(あっ、そういうのいいです。)

(はい。)

しゅんとした声が聞こえる。この邪竜曰く自分の声が聞こえる存在に片っ端から声をかけて力を分けてるらしかった。

(今までの人たちは二つ返事で力が欲しい、と。お前のような存在は珍しいな。)

(なるほど、そうやって力与えて操ってるのか、納得した。)

(!??そこまでわかるとは、よほど力のある存在らしいな、今まで我が気がつかなかったのが不思議だ。)

カマかけたらすぐにネタばらし、こいつちょろすぎない?一応おとぎ話みたいなので昔大戦争みたいなのがあってそれの敵の総大将みたいなのが邪竜だったはずだけどこいつなんだろうか?

(そりゃ生まれたばっかりだしな、念喋使えるようになったのも最近だし。)

(…は?お前人族だろ?歳はいくつなんだ?)

(5歳、ちょうど今日正名の儀式が終わったとこ。)

(…信じられぬ。人族でも才能があり、普通は何十年もかけてその才能を伸ばし我が声をかけるというのに。)

すごく驚いたような声が聞こえる。まぁ多分力をつけてきたやつに話しかけ、さらに力を与えて操り戦争とかやってそうだしな。

(そういうわけで別に力なんていらないよ、操られるとかたまったもんじゃないし。まぁ操られる気なんてサラサラないけどな。)

(…ちょっと自信無くしそう。)

(まぁ元気出せよ?今回は相手が悪かったんだろ。)

(…はい。)

その後もちょっと話を聞いてみると、やっぱり封印されてるらしく力を与えた存在にたよりその封印をとこうとしてるらしかった。

(ふーん、なんで封印されてんの?)

(…やっぱり邪竜だし?ちょっと破壊の限りを尽くしちゃったというか、大戦争起こしちゃったというか…。)

やっぱり本人だった。てかこいつ口調砕けてきたな。いい調子だ。

(どの辺に封印されてんの?)

(霊峰サラザールだな、光竜のやつにそこに封印されたらしい。)

邪竜もいるくらいだから光竜もいるか、大戦争の時のこっちの総大将だな。場所聞いてみたらかなり遠いらしい。

(その封印ってとけるものなの?)

(…とける、と我は思っている。そのために人族を操り力を蓄えてきている。)

力分け与えてるならそれ意味ないんじゃね?と思いつつもその後も話をする。

話していると結構わかるやつだった。

(ほう、その時はそいつをどうしてやったんだ?)

(そりゃ倒したさ。勝手に喧嘩ふっかけてきて自爆とか最高にカッコ悪いだろ?)

(確かにな。さぞ見ものだったのだろうな。)

前の人生のネトゲの話をする。こいつには別に話してもいいだろ。どうせ会うことないし、ひとりじゃ何も出来ないだろうしな。それに俺もこうやって気兼ねなく話せる存在は嬉しかった。一応邪竜には別の世界とは言わずに前の人生の記憶がある程度にしか言っていない。

(他にはもっとないのか?)

(あぁ、じゃあ恋愛関係でギルドが崩壊した話でもしようか、あれは今考えても納得できんな。)

(本当に色々な話があるな。面白い特技だな。)

作り話だとでも思われてるのかそんなこと言われる、まぁ別にどう思われてようがいいさ。俺は話をするだけだ。

(人族は同じことを繰り返すな。過去から何も学ぼうとしない。)

(あぁ俺もそう思うさ。ただそれもひっくるめて人族って感じがするだろ?)

(確かにな。面白いことを言うな。)

それはありがとう、と返し話を続ける。

そうやって夜が更けていった。

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