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「そういえば気になったんだけど、どこで寝るの?」
「え?」
「いや、ここにベッド三つしかないし。シェリーさんのでしょ?後私達のと、フランさんので三つ。」
部屋に帰るって部屋を見渡した、ルクがそんなことを言ってきた。
「あぁ、そういえば。…そうだよなぁ、何も考えてなかったけど色々とまずいよな。」
今までなら別にシェリーと一緒でも問題はなかったが、いや問題は大いにあったが。
フランだけならまだしもエルとルクがいるとこでシェリーと一緒なのは流石にまずい。
かと言って今からベッド移動させるのは色々と迷惑がかかる、今更だが。
「何してるんですか?寝るのでしょ?」
シェリーがポンポンとベッドを叩きながらそう言う、こいつ絶対にわかってやってるな。
「いつもはシェリーと寝てたんだが、流石にどうするか。」
「はぁ!?…。」
「えー!何それずるい!」
既に真ん中のベッドの上に陣取って寝転んでたフランがガバっと起き上がる。
「別にいいんじゃないですか?…何もないですし。」
「そこが問題じゃない気がしますが…。」
「もう俺もソファーで寝るのは嫌だぞ。体痛いし、何より銀の場所を取るのは忍びねぇよ。」
ピクンと寝そべってる銀の耳が動く、心配しなくてもそこはお前の定位置だよ。
「…、まぁそうだな。左から順番にエルとルクのベッド。そんで真ん中がフランで、右が俺とシェリー、それで俺が一番端っこで寝ればいいだろ。」
そういいながらシェリーをジェスチャーでズレろと示しながらベッドに潜り込もうとする。
「…。」
「あの?フランさん?」
無言でフランが俺の手を取って自分のベッドに誘導する。
「いやいや、流石にマスターはこっちです。」
反対側の手をシェリーが取ってシェリーも自分の方に俺を寄せる。
「…俺も疲れてるんで早く寝たいし、痛いんだけど。」
無言で二人共引っ張り合うので体が痛い。
「…埒が開きませんね。もうマスター真ん中でいいんじゃないですか?」
既にベッドは昨日のガールズトークで繋げてあるので一つのベッドみたいになってる。
つまり、エルとルクが一個使って、フランと俺とシェリーで二個ってとこか。
「…いや絶対寝れないって!ただでさえ疲れてるのに!いつものシェリーだけでもやっと慣れて来たって言うか!」
「…リー君、…ダメなの?」
「そ、それは卑怯じゃないですかね…。」
上目遣いでフランがこちらの様子を伺う、破壊力が高い。
「ほら、フランもこうやっていってますから。」
「…絶対楽しんでるよね。」
シェリーが嬉しそうにそんな事を言う。
「…まぁ、私達には関係ないわよね。」
「ふふふ、…明日も早いのでお先に失礼してもいいでしょうか?」
ルクが少し不機嫌に、エルが笑顔でベッドに向かう。
「おう、おやすみ。…マジで真ん中?」
「だって、シェリーさんだけずるいし…。」
「ほらほら、もう楽になった方がいいですよ?」
精一杯抵抗してみるが、これは徒労に終わるパターンだな。
ならばもう覚悟を決めて、寝た方がダメージは少ないんじゃないか?
「…はい、もうわかりました。寝ます。」
宝物庫から毛布を取り出して、ベッドの間に入って毛布に包まる。
せめての抵抗として。いや、色々とおかしいので芋虫みたいに毛布に固く包まった。
「…なんか思ってたのと違う。」
「まぁ、マスターはいつもこんな感じですよ。」
残念そうな顔でフランもベッドに戻ってくる。何が残念なのかこれがわからない。
シェリーもベッドに入ってくる。
客観的に見ると確かに、女の子に挟まれてる芋虫だから色気も何もないなこれ。
「はい、じゃあお休み。」
「…全然思ってたのと違う。」
「前にもましてガードが固くなってますね。…普通逆だと思うんですけどね。」
何か言ってるが俺には関係ないとばっさり切り捨てて、毛布にがっつりと頭も突っ込む。
うーむ、これなら寝袋っぽいものを作ってそれ使った方がいいな。…錬金でいけっかな?
この状態でも流石に、恥ずかしいのでさっさと寝るに限るな。