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「さて、次はプレゼントだな。」

「どうしますか?」

「んー、そうだな…。杖とかどうだろ?」

「確か杖はセリーさんから貰ってませんでした?」

「あぁ、そうだったな…。あんまり高価な物は買えないしなぁ。」

「…マスターが作ったらどうですか?」

「…、それでいくか。あんまり強力なのは作れんけどな。」

ラニは今の状態でも目立ってるらしいからな。

そこに意味がわからん効果付きのアイテムを追加したらいくらなんでもおかしいだろう。

俺が持つ分にはいくらでも偽造出来るが流石に離れたら俺の魔力がいつまでもつのかわからん。全力で込めても一ヶ月持てばいいほうじゃないか?

そうと決まれば材料を買う訳だが…。場所がわからん。

また兵士に訊くってのも手だが…、ゴルスク商会案内されそうなんだよなぁ。

出来れば行きたくない感じだ。エルとルクを雇った場所でもあるが、あっちもあんまり会いたくないだろうしな。…完全に押し付けてる感じだしな。俺が悪いんだけど。

「…何作るか悩んでるんですか?」

「それもあるが…、どこで材料を買うかで悩んでてな。」

「そろそろお昼ですし、何か食べながら決めたらどうですか?」

「そうするか。」

途端にお腹の虫が騒ぎ出す。…言われなかったら気がつかなかったのだが。

幸いさっきの店のように食べ物屋なら多くの店が来る途中もあった。いつものように食べ歩きではデートって感じがしないので流石に何処かの店にでも入ろう。…青春っぽくてそっちのがいいかもしれんが。

「どこか適当な店にでも入るか。」

「それならさっきなかなか雰囲気のいい店があったんですが、そこにしませんか?」

「んじゃ、そこにしようか。」

どうやらシェリーが目星をつけてくれてたらしい、俺はあんまり見てなかったので正直助かる。

「それでどんな物を作るんですか?」

「んー、あんまり大げさな物じゃなくて小物がいいな。」

「いつも通り錬金で作るってことですね。」

「そうだな、そのつもりだ。」

あれやこれや話ながらシェリーが目星をつけていた店にと向かう。

結局プレゼントはブレスレットにすることに。目立たないし、これならあんまり怪しまれないだろう。

そんなことを話しているとそれなりに立派な店の前でシェリーが足を止める。

「ここです。」

「あー、確かにいい感じだな。…看板見て決めたな?」

「それもありますけどね。」

果物の看板がぶら下がってる。なるほど、この店構えと看板なら納得だ。

不満なんてさらさらないので店に入っていく。…昼時なのにあまり席が埋まってないな、失敗しただろうか?

「…いらっしゃいませー。」

「…まぁいいか。問題は味だしな。」

「おかしいですね…。」

少し疑問を感じながらも空いてるカウンターに座る、店員も心なしか元気がないように聞こえる。

「なんにする?」

店のマスターらしき人が注文を聞いてくる、お酒のボトルなども置かれてるので夜は酒場にもなってるんだろう。

「あー、お勧めを適当に。シェリーは?」

「そうですね…。適当にお勧めの果物を少しと、あのボトルに入ってる物を。」

「適当ってのが一番困るんだが…、わかった。」

「値段は気にしなくてもいいんで。」

マスターは頭を掻きながら苦笑いしてそう言った、それでもちゃんと要望を聞いてくれる。

「…あれお酒じゃないか?シェリー大丈夫か?」

「前にも飲んでますから、大丈夫ですよ。」

「知らんかったわ…、果物酒みたいだな。」

「前にあれと同じような物を飲んだんですが、結構おいしくて気に入りました。」

「なんだ、これが目当てでこの店に来たわけじゃねぇのか。ならこれで気に入ってくれ。」

マスターがそう言いながらシェリーの前にコップを置いてボトルに入ってる酒を注ぐ、中の少し濁った液体がコップに流れる。…酒の匂いがする。

「ありがとうございます。…有名なんですか?」

「そりゃ、うちの看板商品だからな!これ目当てで相当客がくるぜ?…望んでない客もくるけどな。」

そう言いながらも少し視線をずらすマスター、…なるほどな。

視線の先にはこんな時間から酔いつぶれてるのか机に突っ伏してる男の姿が見える。

あんな大人にだけはなりたくないものだな。酒の力って怖いわ。

「ふぅ、美味しいですね。」

「そうだろ?坊主もどうだ?」

「お酒はちょっと…。」

「まだ早いか、じゃあこっちだな。」

そういって違うボトルを手に取りコップに注いでくれる。

「ほら、飲んでみろ。おっと、これは俺のおごりだ。こいつで虜にすれば後でいくらでも金が入ってくるからな!」

気前のいいおっさんだ。コップを手に取り、少し飲んでみる。…ジュースだな、うん。

素直に美味しい、城でも同じようなのを飲んだことがあるがそれよりもうまい。

「これは美味しいっすね。」

「そうだろ?これは全部俺が作ってるからよ、こいつが飲みたきゃ俺の店にこいってことだな!」

「確かにこれは虜になって店に通いますわ…。」

フラン達にお土産として2本くらいボトル買って帰りますか。持ち帰りで売ってるんだろうか?

「ほら、こいつとも相性はばっちりだ。お嬢さんにはこっちだな、果物を肴に酒を飲むならこいつだな。」

そう言って少し炒ってある豆を出される。シェリーにも切った柿のような物が出された。豆を食べる、…確かに塩が効いてていい感じだ。あまいジュースとよく合う。

「んー、始めての組み合わせですけどいい感じですね。」

「だろ?結構いるんだな、これが。果物と酒を注文するやつも。」

「こっちの豆もうまいっすね。」

「つまみでよく出すんだがな、甘い酒にも合うんでよく使ってるよ。いいだろ?」

いい人だ、俺達の割りと変な注文にも的確に答えてくれる。…肉のいい匂いがしてきた。メインデッシュだな。

「…ほらよっと、熱いから気をつけな。」

「これは美味しそうっすね。」

「うははは、そりゃ旨くなきゃ出さねぇよ!」

「そりゃそうっすね。」

出された肉のステーキをアツアツのうちにいただくとしよう。

「…、これはうまいわ。…それにこれにもよく合う。…おかわり!」

「おう、そうやって金を落としてくんだぞ。」

コップを突き出してジュースのおかわりを頼む。こちらの肉もよく香料が効いてて飲み物が進む。

ふと隣のシェリーがこちらに果物を差し出してくる。

「はい、マスター。…あーん。」

「お、おう。…ちょっとしょっぱいな。」

「それがこのお酒とよく合うんですよ。…ほら、マスターも。」

「え?これシェリー食べるのか?」

「別に食べれない事はないですよ?ほら、早く。」

「…ほらよ。」

流石にこれは恥ずかしい。店のマスターも次の食べ物を作りながらニヤニヤしてこちらを見てるし。

だが別にやれんことはないな。なんたってデートだしな、これくらいは当然だろ?多分。

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