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そのままシェリーとのデート、…って言っていいのかわからんくらい普通の散歩だ。

手を繋いでるのはデートっぽいんだけど、それ以外は至って普通。

「マスター、あれは何してるんですかね?」

「ん、…何してんだろうな?なんか焼いてるみたいだけど。」

「聞いてみましょうか?」

「いや、待て。…あぁ、なんか丸焼きにしてるっぽいな。…鳥だな。」

「へー、あんな風に焼くんですね。」

「香料とか詰めて焼いてるな、…デモンストレーションみたいなもんだな。」

「デモ…、なんですか?」

「要するに、店の前であぁやって大々的に宣伝することで人呼び込むってことだな。」

「あぁ、変な言葉使わないでくださいよ。」

「難しいんだよ、色々と。」

「ふーん…。」

「おっ、剣が店先に並んでんな。…まだまだだな。」

「流石に店先に並んでるのが粗末な物だったら問題でしょう。…それにマスターからしたらまだまだでも多分そこそこの物なんでしょう?」

「どうだろ?…確かに俺が今まで見てる武器っていい物、もしくはトールのやつしかないからな。…普通がわかんねぇ。」

「それを調べる為にも入ってみますか?」

「調べたってなぁ…。今後俺が使うことはなさそうだしな。」

「…まぁ、それもそうですね。」

「それよりも俺は新しい服が欲しいな…。」

「確かにかなりくたびれてきてますし。…ルク達にも新しい服買ったんでしょう?」

「あー、訊いたのか。」

「色々話ましたから。」

「…それじゃあ、まずは俺の服見るってことでいいか?」

「そうしましょうか。…どの辺なんでしょうね?」

「少なくともこの一角にあると思うが…。」

普段の様な会話をしつつ、目的を決めていく。そろそろ俺もイメチェンの時が来たな。

何しろずっとこの服だ。なんの飾り気もないシャツとズボン…、迷宮に一般人として乗り込めたのも納得である。

それにところどころほつれてきてボロが出てる、自分で縫ったりしてたがそれも限界だろう。

周りを見渡してみるが兵士の姿がなかなか見つからない。しょうがないので来た道を戻りつつ広場にいた兵士に話かける。

「すいません、訊きたいんですが…。」

「あー、君も最年少の魔法使いを見に来たのかい?それなら…。」

「いえ、それなりにいい男物の服を探してるんですけど…。」

「あぁ、勘違いしてすまないね…。…それならこの道をまっすぐ行ったところの右側に店がある。大きな看板だし、すぐに気がつくはずだ。」

「ありがとうございます。…最年少の魔法使いってなんでしょうか?」

「ん?…昨日魔法団に入った子がいるんだよ。朝からその子を見ようとする人が多くてね。」

「なるほど…、ありがとうございました。」

「はい、いい買い物を。」

思いがけずいい話が聞けた。試験が近いって言ってたけど昨日だったのか、この頃帰ってなかったから知らんかった。…フランが何も言わなかったってことは受かるまで秘密って感じか。

「受かったみたいですね。」

「あぁ、流石俺の姉ちゃんだよな。」

「マスターが色々やったってのもありますけどね。」

「それも含めて姉ちゃんだから。」

「身内にとことん甘いですねぇ…。」

「そうか?みんなに優しいリードさんだろ。」

「そうですね。」

「だから真顔やめろ。」

兵士に訊いてる間黙ってたシェリーと話しながら服屋へと足を向ける。

「いいんですか?見に行かなくても?」

「フランが何も言わなかったってことは大方秘密にしてて後で言ってびっくりってパターンだろ。」

「あぁ、なるほど。…でも知っちゃいましたね。」

「そこだよな。…まぁこっちは当然受かるって思ってたしびっくりのしようがないな。」

「確かに。」

「それでも喜ばしいけどな。」

「何かプレゼントでも買っていきますか?」

「おっ、流石。…服の次はそれでいいか?」

「もちろんです、私も嬉しいですからね。」

「…なんかデートなのになんか違う感じがするな。」

「これも一つのデートでしょう。」

「そんなもんかねぇ…。」

会話が進むと次の目的も自然と出てきた。元々ノープランだったのでこれはこれでいいかもしれない。これに関してはシェリーの方からの提案だし、嫌な顔も特にしてないしな。


「ここですね。」

「確かに大きい看板だな…。」

その店はひと目で服屋とわかるように服型の看板がでかでかと立ててあった。

ここまでデカイと逆に邪魔な気がするが…、まぁ関係ないな。

「いらっしゃいませー!」

扉を開けると中から元気な声が聞こえてくる。…うーむ、嫌な予感。

そのまま中に入り中を見渡す、…俺のサイズはこっちかな?

「流石に品揃えがいいですね。」

「そうだな。…どれにするか。」

「これとかどうですか?」

シェリーと一緒に店の商品を物色する。すると案の定店員さんが近づいてくる。

「お客様、お悩みでしょうか?それならこちらなどどうでしょうか?」

「いえ、大丈夫です。自分達で見ますので。」

「失礼しました。…ごゆっくりと。」

珍しくシェリーが店員を拒んだ。俺としては助かったんだけどな。

他の人の買い物ならいいんだが、俺の物を買う時にこう店員さんが来て色々言われるのは苦手だ。…特に服はな、…前世のな。

「珍しいな、シェリー。」

「…そうですか?これなんてどうですか?」

特に顔色も変えずにシェリーが服を差し出す。

「赤って…、流石に目立ちすぎじゃない?」

「…確かにマスターは赤って感じじゃないですね。…これはどうですか?」

「あぁ、確かにこっちのが俺っぽいな。でも普通の無地で白い奴がいいんだけど。」

「うーん、青色のが似合うと思うんですけど…。」

「…まぁ、一着だけってのもあれだしな。それも買おう。」

「それがいいですね。…ではこちらも。」

「うん、なんかシェリーが選んだほうがいい感じだな。」

「そりゃいつもマスターを見てますので。好みなんて一発ですよ。」

「最初のやつ微妙だったよね?」

「…あれは試しにやっただけです。」

なんかシェリーが選びたがってるように感じたので任せてみる。

流石にいつも一緒にいるだけあって俺に似合うように服を見繕ってくれる。

普段着として3着程買い揃えて俺の買い物は終了。値段も安く、金貨一枚でおつりがくる。

「あっ…、それとこれも。」

「そんなもの使うんですか?」

「ちょっとな。」

大きめの黒のコートを追加で買う。前々から欲しいと思ってたとこだ。…主に隠密行動の時に。

「ありがとうございましたー!」

お会計を済まし、元気な店員の声をバックに店を出る。

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