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俺が説教されてる間に引越しは既に終わったらしい。

前の部屋よりも広く、少しだけランクが下がったが鏡など必要な物は揃ってるので問題はなかった。

むしろ人数が増えてる分こっちのが過ごしやすいだろう。

ベッドが3つで俺とシェリーの分、エルとルクの分、そしてフランの分。銀はいつも通りソファーで寝るのだろう。

いつの間に仲良くなったのか女共はガールズトークに忙しいらしい。

てゆうかレイもずっと一緒にいるんだけどまさかここで寝るのか?

ポツンと取り残されてる俺と銀。別に寂しくなんてないんだからね!

「なぁ、銀…。俺どこで選択肢間違えたんだろうな…。」

「選択肢…ですか?うーん、生まれた時からですかね?」

「銀って時々凄く心に突き刺さる一撃食らわせるよね…。」

「自分で前に自分の存在自体がおかしいって言ってたじゃないですか。」

「それもそうなんだが…、んー。」

流石にあの中には混ざれる自信はないので銀とこうして話してるのだが思いがけない一撃を食らってしまった。

仕方ないのでお仕置きという名のブラッシングをしてあげることに。

「あぁ、心が落ち着く…。」

「…まぁ、気持ちいいからいいんですけどね。」

そうこうしている間に、皆はベッドに入り込んでそのまま喋りながら寝るみたいだった。完全に蚊帳の外で笑えない。

「…もうここで寝るしかないじゃん。」

「主様…、今日はそこ譲ります…。」

「すまんな…。」

銀が俺の膝から降りてソファーの足元で丸くなる。

銀に物凄く申し訳ないが今日はここで寝るとしよう。俺の威厳ってなんだろうな。


「…少し体痛い。」

久しぶりにベッド以外で寝たので体が痛い。ベッドに目をやるとみんなまだ寝てるみたいだった。そりゃまだ日が昇ってないしそうなるか。昨日は結構遅くまで話してたみたいだしな。

「主様、おはようございます。」

「あぁ…、おはよう。まだ寝足りないならそこ使っていいから、俺は少し体動かしてくるわ。」

「それではお言葉に甘えて…。」

ソファーに銀が移動する。体をほぐすためにも外に出て運動をしておこう。

幸いこの部屋にも窓はあるのですぐに外にいける。

窓を開けてまだ薄暗い外に飛び出た。


「うん、このくらいの暗さなら別に大丈夫か。そんなに高く飛ばなきゃいいだろう。」

昨日作ったフラボーを試してみよう。宝物庫から取り出して地面に置く。

その上に乗っかり少し浮かす。そのまま前進。

「おぉ、やっぱりホバー移動っぽくていいな。」

そのままその辺をスイスイと移動する。

うん…、低空飛行なら別に問題ないな。バランス取るだけでいけそうだ。

速度出した時と上空を移動する時は流石に固定しないと無理っぽいな。

試しにそのまま上に上がってみたが風が吹くと流石に厳しい、それに空中ってのが少し怖い。

「…人に見られたら言い訳が面倒いし、降りよう。」

今日はここまででいいや。まだ夜が明けてないと言っても見回りの兵士はいる。

見られてまた質問攻めに合うのは勘弁である。

そこからはいつも通り、準備運動。後やっておかないといけないのが素振りだ。

前の練習用のショートソードとは使い方が全然異なるのでそこはきっちりしておかないと。

少し重い阿修羅丸を腰から外し、鞘から抜いて手に取り軽く振るう、完全に自分専用で作ってあるので手にフィットするが自分の思い描いたようにはまだ振れそうにはない。

妖精魔法で細めの木を生やして、それを上から順番にスッスッっと横薙ぎに切っていく。素早く、丁寧に。それを10回程繰り返し、また木を生やして上から切っていく。

自分の思い通りに切れるまで繰り返す。

「…こんなもんか。」

輪切りになった木の山が出来上がるまで夢中で阿修羅丸を振るっていた。

自分で作った物だと流石に愛着が沸く、もっとうまく使ってやりたいって気持ちが高くなる。

木の山を火魔法で消し去り、刀身を少しチェック。

自分で作ってなんだけど惚れ惚れするくらい綺麗な刀身だ。

「…うん、いいな。」

鞘を拾って阿修羅丸をしまう。…気をつけないとこれしまうときに手を切るな。注意しておこう。


「あらマスター、いたんですか?」

「…帰ってきたらこれだよ。今戻ってきたんだよ。」

朝日が昇ってそれなりに体を動かしたので部屋に戻るとシェリーに嫌味のような一言を言われた。

「さくばんはおたのしみでしたね。」

「ふあー…。眠いですわ…。」

「遅くまでお喋りしていましたからね。…ほら、ルクも起きて。」

「…後五時間ー。」

どうやらすんなり起きてるのはシェリーだけらしい。珍しいが毎回キチンとした時間に起きてる気がする。死屍累々、もといだるそうな三人を眺めて一言放ったがスルーされてしまった。

「あれ?フランは?」

「まだ寝てますよ?」

「あぁ、そうか。…フラン達は昨日来たばっかりだったな。エルも寝たかったら寝ててもいいんだぞ?」

「いえ、折角お仕事をもらってるのに初日からそれではいけません。ほら、ルク!」

「…うぇー。」

ベッドにまだフランが寝息を立てて寝てるのが見える。かわ、いややめておこう。

エルはルクを強引に起こして身なりを整えている。

「水魔法でも顔にぶっかけて無理やり起こそうか?」

「それではいくらなんでもルクが可愛そうです…。ほら、顔洗いにいきましょう。」

「うぁい。」

「朝からぶっかけるなんて…、いやらしい。」

「シェリーさんは朝から何を考えてるんですかねぇ…。」

「さて、わたくしも部屋に戻らないと…。昨日はそのまま寝てしまいましたので色々とひどいですわ…。」

いつも通りなシェリーに軽くツッコミをいれつつ、皆自分達のすることに移っていく。

「さて、フランを起こさないとな。」

「そうやって寝起きを…。」

「シェリーさんの頭は朝からお花畑なのかな?…ほら、フラン。朝だぞ。」

フランが寝ているところに行き揺すって起こす。

「うぅん…、リー…君…?」

「おう、朝だぞ。」

「なんで、リー君がここにいるの…?…えいっ。」

「おぅふ。…寝ぼけすぎだ。」

「あいたっ。…あぁそっか。」

フランを起こしたら寝ぼけてそのまま抱きつかれた。不意を突かれたがチャンスと思いがっしり抱きしめようとしたが後ろから殺気が放たれたのでフランに軽くチョップをお見舞いして起こしてやる。

ちっ、合法的に抱きつくチャンスだったのに。

それでようやく頭が働いたのかフランはふらふらと自分の状況を理解したみたいだ。

「…顔洗ってくる。」

「あぁ、エル達と一緒に行っておいで。」

そのままふらふらとエル達についていくフラン。

「…。」

「いや、あれは不可抗力じゃないっすかね。」

「別に?何もいってないですけど?」

「雰囲気が物凄く俺に言いたいことがあるみたいなんですけど…。」

「あら、そうなんですか?」

「助けて銀!シェリーが鬼なの!」

「さて、我も少し運動してきますね。」

颯爽と俺を見捨てて窓から去っていく銀。裏切り者め。

「…誰が鬼ですか?こんな可愛い妖精を捕まえて…。」

「ひいぃ。…眉間に皺がよってるぞ、ほら。笑って笑って。」

「そうですねぇ…。マスターを殴って笑うことにしましょうか。」

「まぁ待て、…今日デートするか?」

「またそんな…。するんですか?」

少し反則な気がしたけど切り札を切ることにした。

一瞬不意を突かれて真顔になったシェリーだったがその後少し表情が和らいだ気がした。

「エルとルクも来たし、フランも何故か来ちゃったし。何より、約束をあんまり先延ばしにしたくないからな。…まぁ、都合が合えばだけど。」

「まぁ、都合が合えば別にしてもいいですよ?」

そう言いながらもシェリーの顔は少しニヤけてる気がする。

「ティスカ公とかあの辺は大丈夫なの?」

「たった今予定が無しになったので大丈夫です。」

「それ大丈夫って言わないんですけど…。まぁ、ティスカ公だしいいか。」

「そうですよ。…さて、私も少し散歩してきますね。」

そう言ってシェリーも窓から外に出て行った。足取りが凄く軽やかだった。流石シェリー、チョロい。…しかし切り札使っちまったな。まぁこれから忙しくなりそうだし、最近シェリー怒らせてばっかりだったからその償いも兼ねて思いっきり遊ぶとしよう。

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