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「なんでしょうか?ご主人様。」

エルが素早くこちらに寄ってくる。ルクはまだ服を見てるみたいだ。

「この服はどうなの?」

そう言ってメイド服を指差す。これが受け入れられるかどうかにかかっている。

「これですか?…可愛い服だと思いますけど。」

そう言ってメイド服を見ているがあまり反応がよろしくない。これはなんとかしないと!

「でもこの前掛けとか作業する時にいい感じじゃない?」

「これを仕事中に着るのですか?…汚れてしまうと思うのですが。」

「呼んだ?…あれ?この服滅茶苦茶可愛いじゃない!」

怪訝な顔をしているエル、しかしルクがこちらにやっと来てメイド服を見て絶賛する。

正直予想外だった。

「そうだろ?この服なんてどう?」

「あんたにしてはやるわね!…でもこれスカートが短くない?」

「その辺は調整してもらえばいいさ。よし、決めた。これをお前たちの制服にしよう。」

「え?わざわざ合わせるのですか?」

「そりゃそうよ。3着くらいあればいいか。」

「そんなに…、それは贅沢じゃ…。」

「洗濯とか色々あるし、そのくらいは必要だろ。まぁ、普通の服もいるだろうし。そっちも選ばなきゃな。」

素早く言い切って店員さんにメイド服を仕立ててもらう様に告げる。気持ちが変わったら色々と面倒だ。

店員さんは快く引き受けてくれて、二人を採寸するために奥の部屋に連れて行ってもらった。ついでに普通の服も買わせてここで着るようにと言っておいた。これで問題はないな。

「そうですね。…先ほどの商品とオーダーメイドの服を合わせると、全部で金貨10枚になりますが。如何でしょうか?」

「はい、ちょうどだね。」

二人がいない間に店員さんに代金を支払っておく、結構高かったが自分の部下の身だしなみは大事だしな。うん。…俺もなんか買ったほうがいいのかな?

「お待たせいたしました。」

「どう?なかなかじゃない?」

そう言って二人が帰ってきた。二人共どこからどう見ても町娘の格好だ。うん、これなら文句なし。

「似合ってる、似合ってる。」

「あら、こんな美少女達が綺麗な格好してるのに反応がイマイチね。」

「自分で言うな。…なんかデジャブだな。」

正直シェリーとレイがいるし見慣れてるから全然問題ないな。メイド服だったら死んでた。

「んじゃ、他の品物も買うから行くか。ありがとうございました。」

店員さんにお礼を言って店を出る。メイド服の方は一週間程かかるらしいのでそれまでは待ちだな。

そこからまた広場に戻り必要な物を買い揃えていった。それこそ旅に出て外で野宿するのに必要な道具をだ。主に料理に必要な物をどんどこ買い揃えていったらそこそこお金がかかった。具体的には金貨5枚くらい。

今日だけで金貨50枚以上使ってんな。金銭感覚狂ってしまう。


「それで、あんたの家はどこなのよ?料理道具買ってばっかりだったけど、まさか野宿じゃないわよね?」

「失礼な、…俺の家じゃないんだけどな。部屋を借りてる。」

「宿屋ですか?それならばこちらの方向ではないと思いますが…。」

空がうっすらと赤くなっている時間帯、それなりに買い物を楽しんだ二人だったのかご機嫌だ。エルも口数が増えてきてるし、ルクもトゲトゲしさが消えた気がする。

城への帰り道でそんなことを言われた。

「いや、宿屋じゃないな。そういえば言ってなかったな。…まぁ、着くまで内緒でいいか。」

少し驚かせてやろう。特にルクには驚いてもらいたい。俺、ティスカ公とマブだぜ?

城の目の前まで来た。

「こちらがかのティスカ公爵様のお城ですか、立派ですね。」

「ここに英雄のティスカ公がいるのね、緊張するわね。」

「せやな。ただいまっと。」

「あっ、先生!お帰りなさい!」

門番に挨拶をする。いつの間にか先生の呼び名が訓練してない人達にも伝わってる気がするのは気のせいだろうか。いや、初めて見る顔の門番だし、気のせいじゃないな。

隣でエルとルクが目を丸くさせて驚いていた。

「え?」

「先生?歌の教師でもやってるの?」

「あー、家庭教師ってのは間違いじゃないな。」

そう言いながら門の中に入っていく。しかし、エルとルクは立ち止まったままだ。

「ん?ほら、行くぞ。」

「いいのですか?私たちが入っていっても…。」

「流石にお城に入るのは気が引けるわ…。」

「何言ってんだ。しばらくはここで住むんだから入らないと始まらねぇぞ。」

そう言うとまた目を丸くして驚いていた。気分がいいな、これは。


「先生、この前の魔法についてなんですが…。」

「あぁ、あれは俺のオリジナルだから真似しようとしても無理。他のやつも使ってこないだろうし、考えるだけ無駄だ。」

「先生!銀さんの毛が少し欲しいんですが!」

「銀に頼んでくれよ。俺は別にいいぞ。」

「先生ー!シェリーさんとお付き合いがしたいんですが!」

「それもシェリーに言えよ。ただ、あんまりしつこく言ったら五体満足で帰れないからそこは注意しとけよ。」

門から城に着くまでに兵士達が色々質問してくる。最近はこうやって訊かれる事も多いのでちゃんと答えるようにしているが大抵はくだらないことが多いのでスルーしてもいいかもしれない。

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