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「ふぅ、あぶねぇ。…反省だな。」

「いつまで握ってんのよ!」

「痛っ、…すまんな。」

「べ、別にいいけど…。」

「ご主人様は冒険者でもあるのですか?」

冒険者ギルドの転送石に逃げるように帰ってくる。

受付の人が目を丸くしてるが気にしない、他の人もこっち見てるけど気にしない。

幸いいつもの人じゃなかったのでそこは安心だった。

「まぁ、そんなとこだな。」

「…それでここはどこなのよ。いきなり違う場所に飛ぶなんて聞いてないわよ。」

「あー、ここはティスカ公国だな。…とりあえずは生活用品か。」

「ティスカ公国…、あのティスカ公が治めてるところよね?」

「どのティスカ公かしらんが陽気なおっさんならそれだな。」

「はぁ?あんたあの英雄に向かって何言ってんのよ。凄いんだからね?ティスカ公って。」

「はいはい、知ってる知ってる。」

「その言い方!むかつく!!」

「まぁまぁ、ルクもそのへんにしておいて…。」

ワイワイガヤガヤと転送石の前でみっともない。すぐにここを離れたい。

「ちょっとルクは黙ってようか。」

「あんたに名前で呼ばれたくないわ!」

「…お嬢様、お黙りになってください。これでいいか?」

「お姉ちゃん!こいつ絶対私達の事馬鹿にしてる!」

「そんなことないから。」

「エルは馬鹿にしてねぇよ、そんなことより早くいくぞ。買い物しなくちゃいけねぇし。」

「私は馬鹿にしてるってことじゃない!!」

ピーピーうるさいルクをほうっておいてギルドを出る。エルはちゃんとついてきてくれるし、なんだかんだブツブツ言いながらもルクもついてきた。


「まずは服だな。…シェリーがいれば見繕ってもらえたけど俺だけじゃなぁ。」

「どうかしましたか?ご主人様?」

考えながら道を歩く。

現在買った時のままの服なので流石にきついっていうか。質素すぎるって言うか。

俺も対して変わらんが布の服よりはマシなはず。

「んー、…あっ。おばちゃーん、串焼き3つくーださい。」

「あいよー!…あら、どうしたの?その子達は?シェリーちゃんは?」

「ちょっとね。それでこの子達の服が欲しいんだけど何処かいい店しらない?」

「両手に花とは羨ましいねぇ!シェリーちゃんはこの事知ってるのかい?絶対怒るよ。」

ちょうど行きつけの店があったのでおばちゃんに服屋の場所を尋ねる、ついで感があるのは会話の流れってことで察してくれ。

代金を支払い串焼きをもらい、それぞれエルとルクに渡す。

「ほら、今場所訊いてるからちょっとそれ食って待っとけ。」

「いいのですか?私達は…。」

「関係ない関係ない。」

「もらえるならもらっとくわ!」

エルはおずおずといった感じで、ルクはすごい速さで串焼きを持っていった。

「食いしん坊め。…それでおばちゃん、どこにあるかな?」

「それならあそこなんてどうだい?あの宝石店の向かいにある店。」

「あー、あれ服屋だったのか。ありがとうございます。」

「いいって、いつも贔屓にしてもらってるからね!シェリーちゃんにもよろしくね!」

おばちゃんにお礼をいい串焼きを頬張りつつエルとルクの方を向く。

「ほい、じゃあ服買いにいくぞ。服。」

「え?私達自分の服ならありますけど…。」

「あぁ、宝物庫にいれてあるのか。…どんなやつ?」

「これと同じような物ですけど…。」

そういってエルが自分の服を見せつけるように引っ張る。…セーフ。

「みえ…、いや違う。流石にその服だとちょっとな…。俺が知ってるメイドはもっと普通の服着てたり、お揃いの制服みたいなの着てたぞ?」

「その方が珍しいです、普通はこのような服なはずですが…。」

「そうなの?まぁ、服くらいあっても困らんだろ。普通の服買うぞ。」

「そんな…、勿体無いです。」

「いいじゃない、くれるって言うんだから貰っておけば。」

それまで静かに串焼きを頬張っていたルクが話に加わる。黙っとけばそれなりなのに。

「まぁ、そうだな。」

「はぁ…。」

「早くいきましょ、どれ買ってもいいのよね?」

「お前は少しは立場を考えようか。」

ルクがエルの腕を引っ張って行こうとする。場所知らねぇだろお前。


「いらっしゃいませー!本日はどのような物をお探しでしょうか?」

騙された…。いや違う。俺が勝手にそう思っただけだ。

見るからに高級そうなラインナップ。そうだった。あの宝石店の前にあって普通で済むわけがなかった。

「あぁ、…この子達に適当な服が欲しいんだけど。」

「ご主人様、やっぱりやめときましょう。罪悪感がすごいです。」

「いいじゃない!こんな服もう一生着ることなんてないわ!」

申し訳なさそうなエルとフリフリとか付いた服に夢中なルク。

「なるほど、プレゼントでございますね?」

「あー、…そうなるのかな?俺は服の事よくわからんし。店員さんとお前たちで2、3着選んでこいよ。」

「えぇ、そんなに…?」

「太っ腹ねー、お金大丈夫なの?」

「初めてルクに心配されたのがお金の事とはな。…心配はいらん。」

そう言って二人と店員さんに任せるて逃げるように店を出ようとする。あのですね、下着とかも売ってるんで凄くですね、はい。

「…なん…だと…!?」

待つためのスペースだろう。椅子が置いてあったのでそこに座ると目の前にメイド服があった。

多少違いはあるが俺の目には狂いはない。紛れもなくメイド服だ。

エプロンドレスでミニスカート、ガーターベルトまである。そしてカチューシャまで置いてある。

「これは…、素晴らしい…。」

「…そちらの商品が気になりますか?」

「うぉ!…はい、ちょっと。」

完全に近づいて夢中になってたので近くにきた店員に気がつかなかった。

「こちら特注品となっておりまして、さるお方が自分の娘の為に発注したのですがその娘が嫌がりまして…。」

「なるほど、…これって注文したら出来るものですか?」

「はい、もちろんでございます。」

決まった、たった今俺の心の中で決定事項が出来た。

「おーい!ちょっと二人共こっちにきてくれ!」

それぞれ思い思いに服を選んでいた二人を呼び戻す。

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