外伝2
ラニとリーが外に遊びに飛び出していった、その様子を眺めながら。
「…本当に不思議な子ね。」
「…あぁ、あの子は天才なのかもしれないな。」
「歌もうまいですし、もしかしたら魔物使いの才能もあるかもしれませんね。」
セリーとマーディとミュウは、そっと息を吐く。
前々からリーの行動には色々と不思議なことがあった。
「あいつ抱いてる時に一瞬その事わからなくなって、ベッドの上慌てて見た、なんてエピソードもあったな。」
マーディが苦笑しながら言う。
「ハイハイしだした時から目を離すとすぐにどこかいってしまう子だもの。魔力の素質もあるみたいだし。」
セリーがため息と共に言う。だがその顔は誇らしげだ。
「おいおい、男の子には剣術を教えるって約束だろ?ラニが魔法使い目指してるじゃねぇか。」
「それはリーに聞いてみないとわからないでしょ?あの子の意見を尊重したいわ。」
「あいつこの前、剣触らせてって言ってきたし憧れてると思うんだけどなー。」
「いいじゃない。剣もやらせて、魔法もやってみたら。もしかしたらあの子両方使いこなせるかもよ?」
「そんなこと可能なんですか?でも坊ちゃんなら…と思ってしまうのはちょっと買いかぶりすぎですかね…。」
マーディとセリーがリーに何を教えるかと話しているとこにミュウも参加する。
「そりゃいいな!剣と魔法を使いこなす!さながら魔法戦士ってところか?」
「簡単に言わないでちょうだい。魔法使うのも一苦労なんですからね!」
「坊ちゃんなら可能でしょう。子供の成長は無限大ですから。」
「ほら、ミュウも賛成だよな?あいつももう5歳になる。正名の儀式が終わったら色々訊いてみようぜ。」
「…そうね、まずは半人前の儀式からね。それが終わったらリーに訊いてみましょう。」
「坊ちゃんももう、5歳ですか…、時が経つのは早いですね。」
3人でわいわいと話ながらそれぞれ仕事を再開する。
メイドの立場であるミュウは普通のメイドとはかなり違っていた。
元々ミュウは奴隷であった。それを冒険者時代にマーディとセリーが稼いだ金を使い買い取ったのであった。
二人はすぐにミュウを奴隷から解放し、自分達の家で生まれてくる子供を世話してやって欲しい。と頼んだのであった。
ミュウにとって、あのまま別の人に買われ奴隷のまま過ごしていたと考えたらまさに命の恩人だった。
ミュウはこの二人に尽くすことを決め、二人もミュウを可愛がり、血は繋がっていなくとも家族だった。