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ごほんめっ!

「ついでにこの戦利品もありますけど…。」

そう言ってシェリーが宝物庫からデカイ斧を重そうに取り出しその場にバタンと落とす、その後これまたデカイ魔石を三つ取り出す。

「あぁ、そうか。…あれ魔族って魔石あるのか。」

「元々魔物みたいなものですからね。」

とりあえず魔石を受け取る。一番小さな魔石でもBランクの魔物の1、3倍くらいある。一番大きいので1.5倍くらいだ。これは中級魔族のやつだろう。

「これ俺が受け取ってもいいの?」

「そりゃお前たちが倒したんだからな。お前たちのものだろう。」

ティスカ公に確認してみたが俺たちの物にしていいらしい。

「じゃあ、遠慮なくもらっとくけど。…さすがにこれ換金はできねぇなぁ。」

「こっちで換金してやろうか。…信用してくれるならだが。」

「今更だろ。預けるわ、サンキュー。」

そう言ってティスカ公に魔石を預ける。結果はどうあれ金が出来たな、うん。

「んでこの斧か。…おもっ。」

試しに持ち上げようとして持ってみたが片手じゃ無理だ。両手でも重くて振り回せれるもんじゃない。

「これ軽々振り回してたもんな。あの筋肉…。」

よく勝ったな俺。

「まぁ、無理ですよね。そのまま持ち上げるのは。私もティスカ公に手伝ってもらって宝物庫にいれましたもん。」

「そうだなぁ。使えないこともないがちょっと面倒だな。」

そう言いながら全身に強化魔法をかけて斧を持ち上げる。うん、この状態だと振れるな。

ビュンビュンと振りながら使い心地を確かめる。悪くはない。

【鋼鉄の炎大斧】こうてつのえんだいふ、か。効果使ったの見てないが魔力込めると斧が炎を纏うらしいな。使えそうだが…。

「…お、おい。なんで持ち上げられてんだ…?」

「え?そりゃ強化魔法使ってだな…。」

「あっ、じゃあその強化魔法使ってれば今回みたいな大怪我することなかったんじゃないんですの?」

「へ?…あああああああああああぁぁぁ!!!そういえばそうだわ!!すっかり忘れてた!!」

俺どんだけ馬鹿だよ、そうだよ。聖魔法って治癒だけじゃねぇじゃん。強化魔法使っても武器とかに使う事がほとんどで自分の体にかけて限界高めるなんて考えてなかったわ。

すんなりとやったけど、これは…。

「マスター…。」

「主様…。」

「うわぁ、これは恥ずかしい…。」

「ま、まぁ、終わったことですわ!」

「そ、そうだな!」

「た、確かに終わったことですわ!」

呆れた顔のシェリーと銀。ティスカ一家が全力で慰めてくれてるのが更に心にくる。

「まぁいいさ!はよ、帰ろうぜ!!」

斧を宝物庫に入れて出来るだけ明るく言う。その行動も見ていて痛々しいと思ったが、これ以上無理だ。

とりあえずは一旦帰ろう。みんなで手を繋ぎ、ティスカ公が転送石に触れる。

「それじゃ、帰るぞ?【トラベルワープ】」


「ティスカ公!無事でしたか…。」

「公爵様!突然中継が途切れたので心配しておりました…。」

「姫様が血だらけだ…。」

「大丈夫なのか!?」

「きゃ!!」

転送石の前に帰ってくるとマーカスとダン、そして兵士たちと民衆が総出で迎えてくれた。

レイの姿を見た民衆が悲鳴をあげる。確かにこれはな。どんどん騒ぎが大きくなっていく。

「…、皆様!わたくしは無事ですわ!だからどうか落ち着いてください!!」

民衆の喧騒を切り裂くようにレイの声が響き渡る。しばらくざわざわしていたが次第に静まっていく。

「…すまないな!今回の迷宮探索を途中で帰ってきたりして!まずはそれを謝ろうと思う!」

ティスカ公が舞台に上がりそう言って頭を下げる。

「少し厄介なことが起きてな!迷宮の中に魔族が現れたんだ!」

「…そんな、…そんな馬鹿な!!」

ざわざわとまた民衆が騒ぎ出す。その中でもダンが相当驚いて声を荒げていた。

「落ち着け、ダン。大丈夫、お前が魔族と繋がってるなんて俺は考えてない。」

「し、しかし…。」

「今の驚きが演技だとしたら俺の完敗だが、これでも人を見る目はあるつもりだ。」

「公爵様…。」

「皆の者、聞いて欲しい!今回の魔族襲撃はダンの手引きではない!彼も被害者なのだ!それをわかってほしい!」

流石公爵。ダンの無実を証明しつつ、民衆を静める。

ちらりとダンのステータスを見てみるが変わったとこはない。一般的な迷宮職人がどうかしらんが優秀なんだろう。迷宮作成が7もあるな。

しかし、これだけじゃ無実ってわけにはいかないが…、ただ無実だった場合どうやってあいつらは迷宮に入り込んだんだって話になってくる。

俺も常時気を張ってたわけじゃない、むしろ気がユルユルな時が多いんだが。ただ今回は場所が場所だ。

あの巨体でさらに竜も連れて広場にある転送石を使い、迷宮に入り込む…。なんらかの効果付きアイテムだろう。

とりあえず俺の中でそう結論づける。どうせこのあと話し合うだろう。

「先ほどの話に戻ろう!魔族は俺たちが倒したので心配はいらない!それを証明することは難しいが…。」

「公爵様!私の作った中継用の魔物はちょっとやそっとじゃ壊れない様に出来てます!私の作った魔物たちでは壊すのは無理でしょう!それが今回壊されたってことはそれ以上の力を持った者がいたと言うことです!」

「そうか…、どうだろう、皆の衆!魔族が現れてそれを倒した!俺とダンの話を信じてくれるならその事がわかってもらえるはずだ!」

シーンとなった広場に不意に拍手が響く、それは次第に大きくなって俺たちを包み込む。

「ありがとう!すまないが俺たちもこの通り満身創痍で辛い!今は休ませくれ!後日詳しい話をする!一つだけ言うならば危機は去ったと言うことだけだ!!」

それを言い切りティスカ公が舞台を降りる。クラウ夫人がそれに付きそうように横につく。

「会議を開くぞ、少し厄介だ。」

「はっ。各国への連絡はどういたしますか?」

「早急に、この領地に現れたってことは別のとこにも出るかもしれん。注意するように伝えるんだ。」

「それとレイの着替えがいりますわ。」

「はっ。ウォード!城に走って会議の準備だ!メイドにも着替えの準備をするように言っておくんだ!」

「はーいさ。」

慌ただしくティスカ公達が城に向かっていく。

「あ、リード!!まだ礼をいってなかった!ありがとうな!お前がいなかったらどうなってたかわからんかった!!」

「おっさん声がデカイ!!」

律儀なのはいいがそんなのは後回しにしてくれていいわ。

「…わたくしからも礼を言わせてください。ありがとうですわ、リード。」

「…礼ならシェリーに言ってくれよ。」

「私なら散々感謝されましたわ。」

一人残されたレイが改めて礼の言葉をくれる。

「それよりもさっさと帰ろう。ここにいたら質問攻めにあうぞ?」

さっきから民衆の視線が痛い。

「…そうですわね。行きましょう!」

「ちょ、引っ張んなって!」

「あっ!それは私の役目です!!」

そう言ってレイが俺の手を持ち城へと走り出す。それをシェリーが怒ったように追いかけ、銀がやれやれといった感じでトコトコと後をついてくる。

これから大変そうだ。

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